「日本の家 1945年以降の建築と暮らし | 東京国立近代美術館」は、戦後日本の注文住宅のデザイントレンドが邸別体感できる、大規模な世界巡回展覧会
東京竹橋(皇居の近く)東京国立近代美術館で開催中の、「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」に行ってきました。
この展覧会は、日本の建築家が設計した1945年以降(戦後)から現在までの、主に前衛的な注文住宅を邸別に紹介したものです。
こんな盛り沢山な住宅建築の展覧会は初めて見ました。
午後の2時くらいから閉館時間の5時までの約3時間見学しましたが、じっくり見られないくらいのボリュームがありました。
実物大の名作住宅の模型には入れますし、著名な住宅に住む施主のインタビュー映像も多数ありますので、これから注文住宅を新築する方、大規模リフォームをする方も参考になるかもしれません。
ではレポートします。
展覧会は東京竹橋の東京国立近代美術館で開催中
展覧会の場所は、東京竹橋の東京国立近代美術館。竹橋は、公官庁+オフィス街。職場でもない限り、竹橋駅で降りることはないと思います。
東西線の竹橋駅は、毎日新聞東京本社が入るパレスサイドビルと直結されており、竹橋駅1b出口徒歩3分に、東京国立近代美術館はあります。
ちなみに、パレスサイドビルの設計は日建設計であり、林昌二がチーフアーキテクトを務め、日本建築学会主催の「日本の近代建築20選」に、戦後建てられたオフィスビルとして唯一選定されています。
本日から東京国立近代美術館入口外で、お酒の飲めるスペースもオープンするらしく工事中でした。美術館に入らない人も一杯飲むことができます。美術館が運営する期間限定バーだとのことです。
ローマとロンドンで大好評の住宅展覧会が巡回してきた
この展覧会は、ローマのMAXXI国立21世紀美術館とロンドンのバービカン・センターで開催された後、日本の国立近代美術館で開催中。
「日本の家」は世界的にみても特殊であり、注目度が高いようです。その一因がパンフレットに書いてあったので、転記しておきます。
日本の家は、建て替えサイクルが早いため、施主の世代交代が常に行われている。若い世代は建築家のこれまでの実績をよく知った上で依頼してくるため、新しい家が生まれる場合、それはさらにラディカルさを増す。
ラディカル(radical)の意味は、「過激なさま」や「急進的なさま」。
「日本の家 1945年以降の建築と暮らし | 東京国立近代美術館」では、いわゆる建築家の過激な家が見られます。
ザックリ入場者の1/3が外国人であり、なかでも建築学生が多いという印象でした。
平屋の実物大模型の中に入れる
会場の中には、「斎藤助教授の家/清家清設計(1952年)」の実物大模型が展示されており、中に入ることができます。
この平屋の家の見どころの1つは、柱の位置であり、構造的合理性と空間流動性、双方の観点から念入りに決定されています。(チラシより)
施主インタビュー映像が多数、一般消費者も楽しめる
一般的な住宅ではない「過剰さ」のある住宅に暮らす、様々な施主インタビュー映像が興味深いです。
施主インタビューで共通して語られるのは「住みやすくはないけど、魅力的な家」だということ。
変わった家が欲しくて、前衛的な著名建築家に依頼した施主ばかりですから、自己満足度と他人からの注目度が高いのは当然の結果。
例えば、上原通りの住宅/篠原一男設計の室内の斜めの柱は、どう考えても邪魔だし、室内に収納がないのは生活しにくいと思いますが、そんな状況を住みこなしているのが凄いと思いました。
他人から名作住宅だと評価されているのも、施主の満足度が高い一因でしょう。
塔の家(とうのいえ)の間取りとシンプルさはつくづく凄い
日本の名作住宅に必ず登場する塔の家(とうのいえ)/ 東孝光設計。
狭小住宅としておそらく最も有名な住宅だと思います。
敷地面積は12畳。家が建てられないのではないか?と思うほど狭い都会の狭小敷地で、家を縦に伸ばし吹き抜けで豊かな空間を造り出すことで、狭さを感じさせない住宅になっている。
神宮前という土地の魅力も相まって、一泊してみたいが無理なら一度は体感してみたいと思わせる住宅である。
東京神宮前のワタリウム美術館の対面に現存し、外観を見学できることも魅力を増している要因です。展示されていた住宅の中で、最も魅力的な住宅だと思いました。
都心のわずか6坪弱(20m2=平方メートル)という狭い敷地に、地上5階・地下1階を搭状に積み立てた鉄筋コンクリート構造。玄関を除けば、トイレも浴室も含め扉が一切なく、間仕切りもない。吹き抜けで開放的な空間設計が狭さを感じさせず、都心に住む醍醐味を満足させ、東の師坂倉準三の師であったル・コルビュジエの主張する「新しい建築の5つの要点(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面)(近代建築の五原則)を踏まえている、と言える。
完成から40年以上が経つ建物でありながら 現在も見学者が後を絶たないほど、建築史上において多くの建築・建築家に影響を与えた建物の一つとして知られる。搭の家wiki
今日のわかった
数多くの模型、原寸模型、施主インタビュー映像、写真、図面、本の数々と盛りだくさんな内容。
「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」は注文住宅建築関連の仕事をしている人はもちろん、これから家を建てる、リフォームする人も参考になる大規模な展覧会。
お盆休みに見学したらいかがでしょうか?住宅が好きな人なら、見学は3時間以上必要だと思います。
日本の家 1945年以降の建築と暮らし 概要
■会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
■会期:2017年7月19日(水)~ 2017年10月29日(日)
■開館時間:10:00-17:00(金・土曜は10:00-21:00)
*入館は閉館30分前まで
■休館日:月曜(9/18、10/9は開館)、9/19(火)、10/10(火)
■観覧料:一般1,200(900)円 大学生800(500)円
■アクセス:東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分。宇都宮駅から竹橋駅までは、JR湘南新宿ラインを使って約2時間です。
〒102-8322 千代田区北の丸公園3-1
展覧会に合わせて本も出ています。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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