私が設計施工した断熱性能Q値1.35、C値1のお客さんのお宅に宿泊した感想と室内温度
今週末の日曜日、1月15日には宇都宮市にも最低気温がマイナス8度の最強寒波が来て、ガッツリ冷え込みそうですが皆さんいかがお過ごしでしょうか?
私は先日の土曜日、1月7日の夕方6時半から翌朝9時くらいまで、お客さんのお宅、「猫と暮らす大屋根の家 SI-house」に1泊させて頂きました。お客さんの住む暖かい家と、自分の住む寒い家と比較しながら、率直な体感と感想をレポートします。
滞在した時間帯は、会社員が平日、家に居る時間とほぼ一緒。ですから普段の生活を想像して頂けたらと思います。新築・リフォームを含めて、自分が造ったお客さんのお宅に泊まったのは初めての経験でした。
お客さんに「宿泊させてください」とは言いませんのでご安心をw
最初に言っておきますが、私は家を造らせて頂いたからと言って、お客さんに「泊まらせてください!」とか、図々しいことは言いませんのでご安心ください。
今回宿泊させて頂いたのは、お客さんから「吉田さん、自分の造った家に泊まったことが無いでしょうから、1泊してみませんか?泊まってみて気が付くこともあるでしょうから。」とお誘い頂いたからです。
住宅会社や設計事務所の社長やスタッフが、引き渡したお客さんの家に泊めてもらうのは珍しいことであり、ありがたいことだと思っています。
お客さんのお宅に宿泊体験させて頂く上で、興味があったのはこの3点
お客さんから家の温かさ、過ごしやすさは聞いておりましたし、完成見学会を行った時に朝から日中の暖かさは体感済でした。宿泊し寝心地も体験したかったというのがザックリした本音ですが、具体的に興味があったのは以下の3点です。
●1つ目は、断熱性能の高い家で寝ると、具体的に自分の身体がどのような状態になるのか? 断熱性が高い家で寝た時にはデメリットもあるのか? というのが、とても興味がありました。
これについては、少し下ネタになりますが、宿泊体験して身体に分かり易い変化が起きたので、レポートします。
●2つ目は、お客さんの暮らし方を見てみたかったこと。具体的には本棚や収納等の、暮らしに直結する家具等の使われ方です。
●3つ目は、猫の状況です。猫の様子については、施主からも写真が送られてきて、これまで何度もブログに書きましたが、実際に猫柱(キャットツリー)を上下する猫の様子も見られたらと思っていました。
宿泊させて頂いたお客さんのお宅の断熱性能と、住宅会社を選ぶ時の重要な選択基準について
ちなみに、この家の断熱性能は、熱損失係数Q値1.35・隙間相当面積C値1です。
「高断熱・高気密住宅」という言葉は、一般ユーザーにも認知されており、省エネで冬暖かく、夏涼しい家、健康に暮らせる家の代名詞のようになっています。しかし、各住宅会社が造っている「高断熱・高気密住宅」にもレベルがあり、住み心地や省エネ性能に大きな差があることを知っている人は少ないようです。
住宅業界で「高断熱・高気密住宅」という言葉は、ザックリ断熱性能と気密性能が高めの住宅を指しているだけであり、ピンキリです。「その程度の断熱性能で、高断熱・高気密を名乗るのか??」という住宅会社もありますので注意が必要。
ですから、今日は断熱性能面での住宅会社の選択基準を教えます。Q値とC値の、2つの数値は小さくなるほど高性能です。
高断熱・高気密住宅を謳っているハウスメーカー・工務店・建築設計事務所は多々ありますが、「高断熱・高気密住宅」という言葉だけでなく、断熱スペックである熱損失係数Q値をシュミレーションソフトで出したデータと、隙間相当面積C値を実測値を見せてもらうことで、他の住宅会社と比較するのが、住宅会社を選ぶ時の重要な選択基準の1つになると思います。
Q&Aサイトを見ると、断熱材の種類に重点を置いて住宅会社を選んでいる人がいますが、下記に示す断熱性能Q値とC値をクリアした上で、断熱材の種類を考えるのが合理的です。いくら良い断熱材を使っていても、薄くて効果がなかったり。分厚い高性能な断熱材を使っても、断熱材の施工方法が悪かったら効果が減るので本末転倒だからです。
デザインや自然素材・造作建材の仕上がり具合も重要ですが、断熱性能は家の暖かさ、寒さや燃費等、住み心地に直結しますので超重要なのです。今日のブログは、実際に引き渡した家の住み心地、寝心地をリポートします。
栃木県宇都宮市では、家の断熱性能はどのくらいが良いのか?
温暖地である栃木県宇都宮市では、Q値1.5以下にすると、間取りや採光環境にもよりますが、夏冬エアコン1台ずつ程度で、40坪程度までの家なら超ローコストで全館冷暖房できると言われています。
西方氏「温暖地ではQ値1.5 寒冷地ではQ値1.3。延べ面積40坪以下の場合は、上手に設計すれば超ローコストで全館暖房が可能になる。」出典
「栃木県宇都宮市での家の断熱性能はどのくらいが良いのか?」については、ブログを書きました。
栃木県宇都宮市で床下エアコンを設置するにはQ値1.5が必要?!。床下エアコンの快適性と設置状態を連続写真でご覧あれ
私の普段住んでいる住宅の断熱と着衣量はどのような状態なのか?寒い家の人はユニクロ重ね着が多いと思う
ジャミラってこれ出典
ちなみに、私の会社兼住宅は、築28年の鉄骨造4階建て。外壁ALC100㎜。壁と天井には厚さ5センチのグラスウールが入ってる程度の店舗併用住宅です。もちろん30年近く前ですから、気密工事は行われていません。当然、窓もアルミサッシの1枚ガラスなので冬は結露します。30年前の北関東では、住宅会社にも家を断熱するという概念がほとんど無かったと思います。
室温は、暖かい暖房器具付近で13~15度くらいです。暖房は部屋によって都市ガスファンヒーターと壁掛けエアコンを使っていますが、部屋全体が暖かくなるということはありません。特に洗面脱衣室、トイレ、廊下は暖房が無いので寒く、気合と掛け声必須。トイレと風呂に行く時は寒いので、もちろん小走りです。
暖房すると部屋の天井に近い部分のみ暖かくなるので、頭がボーっとして気持ちが悪くなってしまうので、部屋の温度を低めにして、着衣量を多くして凌いでいます。
冬の休みの日の室内の着衣状況は、上下ヒートテック+上下フリーストレーナー+上フリース+ウルトラライトダウン。部屋の中でも薄っぺらいダウンを着ているような状態で、着ぶくれジャミラです。寒い家に住んでいる人は、ユニクロ製品で着ぶくれしている人が多いと思われます。
暖かい家が多くなると、室内でユニクロを何枚も着込むことはなくなるので、ユニクロの売り上げは落ちると予想。
訪問前の住宅の夜景及び玄関
さて、前振りが長くなりましたが、これが訪問前の外観。外壁が黒いので、家のシルエットが分からず窓の明かりが目立ちます。
玄関前のコンクリート土間の温度は3.6度でした。
暖かい家は、洗面脱衣室も浴室も暖かいので気合や掛け声は不要
夕方6時半に訪問させて頂きました。荷物を置きに宿泊させて頂く2階寝室へ。部屋のドアを開けると少し寒く感じたので、入口ドアと吹き抜けに繋がる腰窓を開けて、床下エアコンで暖房している1階LDKから空気が流れるようにして1階に降りました。
LDKの床の温度は表面温度計で測ると22.2度。LDKの室温は床温度から2度下がりの20度くらいになっている。普段、暖房は床下エアコン1台のみで全館暖房し、寝る前1時間ほど寝室のエアコンを併用して入れているとのことです。
夕食の用意もして頂いており、その前にお風呂にどうぞということで、お言葉に甘えて引き戸を開けてLDK隣の洗面脱衣室へ。
引き戸が閉めてあったので、洗面脱衣室の床温度はLDKよりも3度低い19.2度。洗面脱衣室は、入り口引き戸を開け放しておけば、LDKとの温度差は少なくなります。洗面脱衣室も浴室も暖かいです。
寒い家だと衣類を脱ぐときに気合が必要ですが、暖かい家は気合や掛け声は不要で、すんなり服を脱げます。身体も強張らずヒートショックの可能性も少ないです。
ヒートショックについては、こちらのブログをご覧ください。
日本人の半分がヒートショックという言葉自体を知らないのでビックリしたという話
ちなみに当社のプランの特徴として、働く人がなるべく時短で楽ができるように、浴室→洗面脱衣室→キッチン→(ウッドデッキ)と家事動線を最小にしております。
夕飯→食べすぎ飲み過ぎで10時頃就寝
お風呂を出てからの、私の夕食時の着衣は、Tシャツに上下フリーストレーナーのみです。ヒートテックは必要なし。素足だと申し訳ないと思い裸足にはなりませんでしたが、素足でOK。旦那様は風呂上りは素足でした。靴下を履いているからと言って暑くは感じませんでした。
7時くらいから、夕食を頂きました。住み心地の話、食べ物・酒の話、趣味の話をしながら、非常に美味しいガッツリ系の夕食を頂き、締めのラーメンまで行かずに満腹になりました。
お酒は、ビール→ワイン→日本酒→ハイボールと進んだところで、これ以上飲むと危ない状態になったので就寝することにしました。気が付くと10時。約3時間程、楽しくおしゃべりしながら、夕食を頂いたことになります。
ドアを開け放しておけば、各部屋の温度差がほぼ無いのは快適
吹抜けのある階段の床温度は19度。吹抜けに面する2階の本棚は漫画専用になっており、旦那様おススメの寄生獣を2冊借りて部屋に入りました。3時間前に少しひんやりした室内は、ドアを開け放していたことで、部屋の床温度を表面温度計で測ると、2階寝室も19度でした。
このぐらいの断熱性能になると、建物の形にもよりますが、ドアを閉めておかない限り各部屋の温度差が少なくなります。各部屋の温度差が少ないと、身体に寒いという違和感が無く、やはり快適です。
熱損失係数Q値1.35・隙間相当面積C値1の寝心地は、病院の個室のような感覚
お客さんの「薄めの羽毛掛布団を1枚用意しておいたよ」の言葉通り、掛布団は1枚のみがベストな選択でした。毛布が加わると暑いと思いました。エアコンは必要なく、入口ドアを開けておけば、ちょうど良い感じです。
布団の上で横になって、漫画を読んでいると、温度管理された病院の入院した部屋を思い出しました。私は、心房細動のカテーテル手術のため、3泊程×2回入院した経験があります。
病院は、空調設備をフルに動かし暑くも無く寒くも無い、身体にストレスの掛からない室内温度を作りますが、断熱性が高い家だと、エアコン1台で同じような環境を作れるのだなと思いました。
デメリットにはなりませんが、断熱性と気密性が高く、外の音がほとんど聞こえてこないので、「シーン」としていて少し違和感がありました。静かな室内は慣れれば、快適だと感じると思います。
心房細動・カテーテルアブレーション関連ブログはこちら。
断熱性能の高い暖かい家だと、夜中の小便回数が少なく快眠傾向になる
断熱性能の高い、暖かい家に宿泊して感じた、1番の分かり易い身体の変化は、夜中の小便回数が少なくなることです。
下ネタで恐縮ですが、寒い自宅では、飲酒してから寝ることもあり、毎晩夜中に2回以上は起きてトイレに行きます。時間帯は2~3時くらいと、5時くらいだと思います。2回共、大量に小便が出るのが日常です。
今回の宿泊時には、3時に一度目が覚めました。いつもと違い、小便がしたいという感覚は少なかったのですが、一応トイレに行きました。いつもより多めに酒を飲んだのですが、少量の小便しか出ず、その後は朝7時頃までぐっすり眠れました。小便を、もよおさないのが不思議でした。
夜中に何度も起きてしまう方、小便の回数が多い方は、病気でない限りは薬に頼るのを辞めて、家の断熱性能を上げて暖かい家にすると夜間頻尿が改善するのではないかと思いました。
寒さと小便の因果関係
断熱性能の高い家は、室内が暖かいので小便が出なかったのだと思います。寒さと小便には因果関係があると思い、「寒さ 小便」というでワードでネット検索したら、18.4万件ヒットしました。やはり寒いとトイレに行く回数が増えるようです。
寒くなるとトイレが近くなる!?
どうして寒くなると、トイレに行く回数が増える(頻尿)のでしょう?気温の変化に合わせた体の自然な反応と言えますが、原因はいくつか考えられています。
1)暑いときに比べると汗や水蒸気となって体から出て行く水分が減り、体の水分が多くなり過ぎるから。 →トイレが近くなる。
2)手足など体の末端の血管が縮むので、体の中心の血液量が増えて、それを減らそうとするから。 →トイレが近くなる。
3)寒さが刺激となって、おしっこを出そうとする交感神経のはたらきが強くなるから。 →トイレが近くなる。
いつもは、大量に出ている小便が出ないのは、非常に不思議でした。しかもよく眠れたので体調も良く、室内が寒くないので起床が楽。すぐに布団から出られます。暖かい家に暮らすことで、身体の負担が小さくなるのだと思います。この睡眠状態が毎日続くと、体調が良くなることはあっても、悪くはならないと思いました。
本棚の状況と猫について
本棚には本が入ると、やはり良いです。LPレコードが入るように本棚の高さを設定しましたが無事にレコードも納まっておりひと安心。本棚には、本以外の趣味のものも納められており、見ていて楽しいです。生花を置いておくと猫に食べられてしまうというので、本棚の一部に花が飾れるショーケースも造りました。
本の数が多くてこの本棚では足りないようですが、入らないものは納戸等に入れておいて、定期的に入れ替える計画だとのことです。定期的に棚卸をするとは、まさに本屋のようです。
猫は残念ながら、何度か顔を合わせたのみ。旭山動物園的移動展示は見られませんでした。
本日の「Kindle日替わりセール」は、吉田豪『聞き出す力』299円(54%OFF)。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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