Q1.0住宅宇都宮の家 SH-house
過去のブログまで時間をかけて読み、『小さな家に暖かく暮らす』という考え方に共感して依頼しました。
SH-houseは、宇都宮の市街地に建つ24.5坪の小さなQ1.0住宅です。1階のみで生活が完結する「平屋のような2階建ての住宅」が求められました。
東西幅が狭い敷地は、どうしても建物の南側の面積が少なくなるため、南面の窓面積も小さくなり、冬に日射取得しにくい建物になりますが、Q1.0住宅レベル2を実現しています。
Q値1.19の超高断熱Q1.0住宅は、無暖房でも日射熱だけで室温が21度くらいまで上がり、その室温を夜までキープできます。逆に真夏は、南窓の外側に日除けシェードを設けて日射を遮り、冷房をかけることで涼しい室内としています。日除けシェードは、ウッドデッキを覆えるような長さとして、デッキの照り返しも遮っています。暖房は床下エアコン1台で吹き抜けを介して2階まで暖め、冷房は2階の壁掛けエアコン1台で、吹抜けから冷気を降ろして家全体を冷房しています。
超高断熱による快適と経済の利便性はもちろん、大工と建具屋で造った「造作家具」を適切に配置し「片付く室内」として、小さな家でも機能的かつ快適に住めることを目指しました。
家づくりを考えたきっかけを教えてください?
以前暮らしていたのはマンションで、駅に近く立地は便利だったのですが、冬はとても寒く日当たりも悪かったことから、住み替えを考えるようになりました。日当たりの良い、暖かい家にしたいという条件を最優先にして考え始めました。
当社で家づくりをする前、家について、どんなことでお悩みでしたか?お悩みがあったら教えてください。
家づくりを考えたきっかけと同じなのですが、立地が便利な一方で日当たりが悪く、冬はとても寒かったこと、大きな交差点の側だったので騒音もうるさかったことなどがありました。
当社をどうやって知りましたか?
宇都宮市内で暖かい家を作っている工務店さんをインターネットで探していた時に、ヨシダクラフトのホームページを見つけて知りました。
その時の当社の印象について教えてください?
「家づくりの考え方」が明確で、こちらが希望している暖かく、シンプルで、同時にデザインの洗練性や素材にこだわっている点が印象的でした。また施工例に関するブログを過去にさかのぼって読んだのですが、小さな家に暖かく暮らすという考え方が合理的で、とても良いと思いました。
当社を知ってすぐ問い合わせしましたか?しなかった方はどのような不安がありましたか?
ブログの内容が興味深かったので、時間をかけて読んだうえで問い合わせました。
他にも似たような会社があったにもかかわらず、何(どの部分)が決め手となって当社と契約されたのですか?
断熱性能などの機能を重視しつつ、デザインや無垢の素材などにもこだわっている工務店は他にはありませんでした。
SI-Houseを見学させていただき、外観、断熱性能やフローリングや建具などの内装の細部まで気に入ったことが、決め手になりました。また吉田さんが土地探しの段階から助言してくださったことも、ありがたかったです。
設計中の打ち合わせで印象に残っていること。参考になったことなどあったら教えてください?
最初の案を見せていただいた後で、こちらの要望を踏まえて、柔軟に設計プランを変更してくださったことが印象的でした。当初は太陽光パネルを屋根にのせることを考えていて、北から南に向かって屋根が下がった構造で、南側の窓は1階のみになる予定でしたが、太陽光パネルをのせる代わりに、南側の2階に大きな窓をつくり、太陽光を室内に取り込む設計に変更していただいたのです。結果的に、南側からの日差しで室内はよく暖まり、冬場も快適に過ごすことができています。
また図面は建具などの細部まで分かるように作ってくださり、打ち合わせの回数も多かったので、どのような家になるのか具体的なイメージをあらかじめもつことができました。さらに毎回打ち合わせの内容をリスト化した文書を、設計プランと共に準備してくださり、次の打ち合わせの際に前回確認した内容を振り返ることができることも助かりました。
また軽いシックハウスの傾向があったので、そのことも吉田さんにお伝えしたところ、使用する塗料や接着剤のサンプルを取り寄せてその匂いを確認させていただけたことも、安心につながりました。実際に暮らしてみても、シックハウスの問題に悩まされることはなかったです。
家づくりでこだわった点、ゆずれなかった点は?
こだわった点は、暖かく、日当たりのよい家にしたいということ、無垢材のフローリング、珪藻土の壁、造作建具などの内装、そしてシンブルでコンパクトな家にすることです。どの点も願いが叶いましたので、とても満足しています。
施工中、印象に残っていることなどありますか?職人や現場の様子など、何でも結構です。
吉田さんには、工事の開始前に一緒にご近所への挨拶まわりに付き合っていただき、工事の日程などを記したチラシを用意してくださったので助かりました。また工事開始後も現場にまめに通ってくださり、電気のスイッチの位置や壁の塗り方など、現場での打ち合わせも頻繁に入れていただいた点もよかったです。大工さんは若い方で、丁寧に作業を進めてくださり、時々立ち寄って見学する際にも快く案内していただけました。
さらに、フローリングの木材を製造している製材所にも吉田さんと一緒に出掛けて、実際に使用する床材を見て選ぶことができたのは幸いでした。当初予定していたものより幅の広い、節の少ない立派な床材を選ぶことができました。また建具職人さんや造作キッチンづくりの作業場でも確認させていただくなど、家ができる過程で関わってくださる多くの方とお話しすることができました。これらの職人の皆さんの手作業の集大成となる家に住むことができるかと思うと、益々完成が楽しみになりました。
実際に暮らしてみていかがですか? 率直な感想をお聞かせください。
暮らしていて、とても心地よい家になりました。冬は一台の床下エアコンで適度に暖かく、夏はやはり1台のエアコンで家中が涼しくなりますので、快適に暮らしています。無垢材の杉板の床はとても気持ちがよく、裸足で歩くとやわらかい感じが心地よいです。
家のサイズをコンパクトにしたことも正解でした。収納は多く作っていただいたうえで、生活に本当に必要な物だけ残して収納し、整理整頓ができました。家事動線も適切で、洗濯物をウッドデッキに干したり掃除のために動く際にも、効率的に動くことができます。ペアガラスもしくはトリプルガラスにしたためか、冬の窓の結露がなくなったことも、掃除が楽になった要因です。
コロナ禍の影響で自宅で過ごす時間が増えましたが、とても快適な空間なので、外に出かけられなくなったことがそれほどストレスにならずに、心地よく暮らせています。自宅を過ごしやすい空間にしておいて、本当に良かったと思っています。たまたま玄関からすぐ入ったところに洗面所を作っていましたので、感染症対策で帰宅後にすぐに手洗いをすることもできます。
家の中でお気に入りの場所、ちょっと自慢したくなるところは?
お気に入りの場所は、1階のリビング、ダイニング、寝室を兼ねた空間です。仕切りをなくして広々とした空間で、庭を眺めたり、吹き抜けから2階を見上げたり、ベッドで本を読んだりしながら、リラックスすることができます。
自慢したくなるところはたくさんありますが、幅広の杉板床材、珪藻土の塗り壁、床にレールのない造作建具の吊戸、使いやすいオープンな構造の造作キッチン、そして大工さんからプレゼントしていただいた1階の本棚です。
実際に暮らしてみて、こうしておけばよかったと思う所がございましたら教えてください?
現時点では、特に思いつきません。何度も打ち合わせをしていただいたおかげで、希望していた通りの家になりました。
家づくりを計画中の方たちに一言アドバイスをお願いします。
もし土地から探している方は、土地探しの時点から相談しておくとよいと思います。我が家の場合には敷地の形状の関係で、隣地との境界に特別な設備を設置してから壁を作る必要があり、想定外の支出が必要となりましたが、そうしたことも事前に相談してから家本体についても相談することができました。
そのほかの点でも気になっていることをなんでも相談すること、そして家の建設現場にはなるべく頻繁に通うことも、お勧めします。
ヨシダクラフトより
SHさんから初めて届いたメールは、問い合わせではなく「依頼したい。」という内容でした。お会いしたこともない方からの、突然の依頼に驚いたのですが、更に驚いたのは、そのメールの文章と添付されていた要望表の内容でした。どちらも超簡潔な単語と短文で構成されていました。しかし全てが網羅されている上に、設計意欲が高まるような余白も多くある内容で、とても痺れたのです。
敷地が決まっていなかったので、SHさんから候補の敷地が見つかると連絡を頂き、私が敷地を見に行ってアドバイスをするという形で、3か所くらいの敷地を見に行きました。土地探しの段階から関わり、そのやりとりも、設計前の良いウォーミングアップになりました。
設計段階でも密にコミュニケーションを取らせて頂き、施工中もご夫婦共にお忙しい中、フローリング工場・造作キッチン作業場・造作建具作業場と一緒に伺い、材料と納まりを確認しました。工場や作業場に行くと、私も知らなかった情報が出てきて、思いがけず良いグレードの建材が採用できたこともありました。かつ毎週2回程度は現場に来て頂けたので、職人も、施主と同じ方向を向いて造っているという感覚が、強い現場になったと思います。