2016-04-16
土地・地盤
家づくりの初めに

大地震は歴史に学ぶと合理的!東日本大震災から熊本大地震という流れは400年前の再来だった!栃木県の活断層も確認してみた

熊本地震出典

今日の朝日新聞(2016.4.16)、15面「耕論」に地震関連の識者3人の意見が掲載されていました。とりわけ大地震について書かれた古文書に詳しい、歴史学者の磯田道史(いそだみちふみ)さんの「歴史の例に学び警戒必要」という文章が具体的で印象に残りました。

 

掲載文を読むと、400年前にも東日本大震災→8年後に熊本大地震という歴史があったのです。紙面の気になった部分を取り上げ、栃木県の活断層も確認します。

 

磯田道史

 

磯田さんによると、2011.3.11東日本大震災後の日本の地震発生状況は、17世紀前半(400年前)に似ているとのことです。

 

東北で慶長三陸地震(1611年)が起きて津波が三陸を襲い、その8年後の1619年と14年後の1625年に、今回と同じ熊本で2回の大地震が発生。1625年の地震では、熊本城の瓦は全て落ちてしまったそうですから、凄まじい地震だったようです。それから、8年後の1633年に神奈川県小田原市の大地震が起きています。

 

今回、2011年の東日本大震災から5年後に熊本地震が起きました。東北での大震災→熊本大地震という、400年前との類似性があります。

 

熊本は1889年(明治22年)にもM6.3の大地震が起きている、地震災害の多い地域なのですが、人生は80年くらいで当時の地震を経験した人はもういないので、熊本の人にとっては、今回が初めての大地震ということになります。明治以前の地震災害は、過去のものとなり地域の人々に伝わっていません。

 

また、磯田さんは、「一言付け加えるなら、熊本城は加藤清正が築いた名城で、今回の地震で崩れ落ちた石垣は、武者返しと言われる上に向かって反り返った構造です。敵には強いが大地震には弱く上から崩れます」と地震に対して崩れやすい石垣の形態も解説もされています。

 

日本列島が地震活動期に入る時に、最初に東北で大地震が起きて、地盤が歪み、各地の活断層を動かすのかもしれません。そのメカニズムに順番や法則があるのではないかというのが、磯田さんの意見です。運悪く私たちは、地震活動期に生まれたという事なのだと思います。

 

17世紀の例に学ぶと、今後は6年後の2022年くらいにもう一度熊本で大地震が起き→2030年くらいに小田原等の首都圏で地震が起きるという流れです。歴史は繰り返しそうな気がします。

 

現在、活断層だと分かっている地域や、古文書に大地震が記録してある地域は、大地震がいつ起きてもよいように備えるべきだという話にも同感しました。

 

というのも、同紙面に地震防災啓発を研究している慶応大学准教授大木聖子(おおきさとこ)さんの意見も掲載されており、「今回の熊本地震を予見できなかった地震予測の専門家が、自分たちの研究の限界を積極的に伝えることを怠ってきたことにも問題がある」という意見があったからでした。

 

要するに、大地震がいつ起こるかという精度の高い地震予測は、地震学者にも不可能だという話を専門家がしているわけです。地震の時期と規模は地震学者も予見できないので、地震災害は繰り返されているという話です。

 

また、地震が起きやすい地域の人に「地震のリスク」を伝えても「恐怖」は抱きますが、家具の転倒防止や家の耐震補強はもちろん、簡単な備蓄といった「防災行動」でさえ「しようと考えることすらしていなかった」そうです。

 

これは分かります。人間は、自分の身に起きるまで、面倒な防災行動はできない生き物なのです。

 

だとすると、大地震とその対策は歴史に学び、住民が出来ることをするのが一番合理的なのではないかと思いました。

 

磯田さんをネット検索したところ、「浜松の静岡文化芸術大学に移ったのも、この地方に残る地震に関する古文書を神主や公家等が書いており、徹底的に読み込もうと考えたからなんです。それがわたしに与えられた持ち場です。」と答えています。自分の専門分野を「持ち場」と表現するのもカッコいいです。

 

昔の地震や津波のことは古文書にしか書いて無くて、普通の人は古文書を読めないので、この分野は磯田さんの独壇場なのかもしれません。

この対談もメッチャ面白いです。磯田道史 第3回 「自然災害は繰り返す。だから私はいままで起きた大地震の古文書を徹底的に読み込むのです」

 

栃木県の活断層と地震の歴史をチェックだ

栃木県活断層

国の地震調査研究推進本部によると、栃木県内には、関谷断層(那須━塩谷町)、内ノ籠断層(うちのこもり、日光━鹿沼市)、大久保断層(前橋━足利市)の3つの活断層があり、これらの断層で、マクセチュード6.8以上の地震が30年以内に発生する確率は、0~1パーセントとされています。

 

地図には、地震発生年とマグニチュードが載っており、活断層のわりと近くで地震が起きているのが分かれます。

 

ただ、地震学者でも地震の予見は難しく、日本には未知の活断層も多いらしいですから、土地を買うなら、活断層の上はできるだけ買わない事ことが重要です。また各人ができる備えをしておくしかないようです。

 

地震調査研究推進本部のWEBには、各県の活断層も出ています。「うちの実家、活断層の真上だった。ガビーン」みたいなこともあると思いますが、把握しておかないと対策ができないので、一応確認しておいた方が良いと思います。

 

話は変わりますが、地震調査研究推進本部のWEB 。最初、地震マニアの素人が作ったWEBだと思いました。それにしてはよく調べられてるなと。よく見たら、公的機関のWEBでした。公的機関のWEBっぽく、作り直したほうが良いと思いました。見ている人が多いようで繋がりません。

 

磯田さんの本、評価高いです。

 

 

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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