取材記事から、リフォームする人に参考になると思われる箇所を書き出します
新建ハウジングプラスワンから当社のお客様Aさんが取材を受けた記事が2015年6月号に掲載になりました。「住まい手に聞くリフォームの本音」のページ。リフォームした住まい手に、リフォームの経緯、工事中のこと、リフォーム後の住み心地等を聞き詳細にレポートするページです。
当社の掲載題名は、「地域密着の強みを生かした戸建リフォーム」となっており、見開き3ページにまとめられていました。記事の中から、今後リフォームやリノベーションを考えている方に参考になると思われる箇所を書き出し、コメントします。
リフォームの場合、住まいのチャームポイントをよく理解しているのは、長く住んでいる施主である
既存の住まいの間取りは、両親の意見で決まり、Aさんの意見は特に反映されたものでは無かったが、トイレと洗面が各階にあるところや、窓が南北に開いていて風通しが良いところが気に入っていた。
リフォームの場合は、施主がその家に住んで居るので、既存家屋の良いところも悪いところも一番理解しているのが施主である。下記写真のキッチンと廊下の間仕切りに設けられた耐熱ガラスをはめた開口部は、施主のアイデア。住まい手でないと気付かない採光ルートでした。この開口があることによって、廊下がより明るい。
アクリルワーロン障子戸で障子貼り替えを無しにしよう
窓廻りは、アクリルワーロンを貼った吉村障子で覆った、アクリルワーロンは吉田氏がよく採用する素材でAさんの手間を軽減したいという要望から採用した。
アクリルワーロン障子戸は、障子紙を貼り替える必要が無いのでよく行う手法。障子紙を貼り替えるのは、とても面倒くさいのだ。私の家も障子紙を使った障子戸があったが、貼り替えが面倒で障子戸を取ってしまった。障子紙を使った障子戸よりも値段は高いが貼り替えの必要がなく、カーテンのように埃も溜まらないのでおススメである。
小さな家を住みやすくするには、家具が重要
Aさんの評価はまずはキッチンと洋室をつなぐ動線のよさ。そして、幅寸法が短めなダイニングテーブルをオーダーで製作することで、無理無く食事をキッチン内で完結できるようになっている。
やはり、小さな家で快適に暮らすには、空間に合った家具が必要不可欠である。Aさんは、幅の狭いダイニングテーブルをオーダーで制作している。使い易い家具を探す、無ければオーダーしても造ることは重要である。
工務店とハウスメーカーの施主の嗜好は少し違うかも
その一方でAさんは住宅展示場を訪ね、ハウスメーカーのモデルハウスの見学もしている。「一応見てみようという気持ちがあったが、ただ広いだけで現実味がなく、設備もどこも同じで参考にならなかった」とAさんは振り返る。
Aさんはステンドグラスの製作が趣味ということもあり、ものづくり全般に興味があった。大工をはじめとする職人の仕事に興味をもち、コミュニケーションを取ることで、リフォームへの理解と満足度が深まっていった。「作業する人の生の声が聞けたり、設備のことを教えてもらったり、勉強になった」とAさんは振り返る。
ハウスメーカーに依頼する施主と当社のような手作り系工務店に依頼する施主は、そもそも普段のライフスタイルに違いがあるのかもしれない。既製品ではない手作り感や、オリジナルな感じが好きなのだろう。
現場で作業している職人ととても気軽にコミュニケーションを取っていらした。使い勝手を微調整したいAさんのような方(当社の施主は、皆さん同じだが)は、既製品を組み立てるだけのリフォームとは、相性が良くない気がする。
「居ながらリフォーム」は施主と蜜にコミュニケーションが取れるので、行き違いが少ないリフォームにできる
このほか2階の書斎の壁の一部を撤去し、襖を引き戸に変えることで、廊下と書斎を一体に使えるようにしたり、掃除用具を入れる収納を充実させるようにするなど、随所に細かい工夫を凝らした。
これらのきめ細かいリフォーム内容は、設計時の丁寧な聞き取りとともに、現場が始まってからもAさんと吉田氏が密にコミュニケーションを取り、細部を調整していくことで可能になっている。
リフォームでこうしておけばよかったこと
最後に、これから改善したい点についてAさんに聞いた。まずは階段室に配した建具に嵌めたガラスの寸法。「ダイニングテーブル周りに置いた椅子の背もたれが、ちょうどガラスに当たる位置に来るので気を使う」とAさん。もう少し小さい寸法にすればよかったという。そして、流し台の吊り戸棚の形式。「収納部が下部にスライドするタイプにすればよかった」とAさん。検討はしたものの吊り戸棚の下に照明を設けることを優先したので、その金物は付けられなかった。
もう1つはシンクが浅めなこと。これはシンク下部にあるゴミ箱収納の高さ寸法との兼ね合いできまったものだが、「事前にゴミ箱の大きさを決めておけば、シンクが深くできた」とAさんは振り返る。新築以上に緻密に詰めるほど、暮らしやすさが向上するのがリフォームであることが分かるエピソードだ。
改善したい点。建具のガラスに椅子の背もたれが当たる位置来るというのは、全く気が付かなかった。採光を優先してしまい置き家具の寸法にまで気が回らなかったが、言われてみれば使いにくい。流し台の吊戸棚に埋設させた照明は、照明を見せずにスッキリさせようと、私らしくない隠す照明計画をしてしまった結果である。いつものように使い易さ優先で、吊戸棚の中に引き下ろす収納を付ければ良かった。照明なんて見えても良かったのだ。シンクの話はその通りだが、生活の全てを予想するのは難しいところでもある。
リフォームのまとめ
施主がインタビューされるのを初めて聞きました。客観性を持って施主の話を聞いたことが無かったので、とても新鮮でした。Aさんのお宅は、当社のご近所にあるため、伺うことはわりと多いお宅なのですが、収納の内部を同時に全て開けて見せて頂いたのは初めて。リフォームした箇所を隅々まで、使い尽くして、使い倒して頂けているようで、良かったです。私の造る家は、とにかく使い勝手とメンテナス性重視で、お客さんも好みの似た方なのだなあと実感しました。最後のまとめの文章にこのリフォームが集約されていますので、掲載して終わりにします。
このようにAさんは、家事のしやすさと、間取りや造作との関連を具体的に抽出できる施主である。こうしたタイプの施主とは、何度も打ち合わせを行い、使い勝手などについて相互理解を深めることで、非常によいリフォーム結果が生まれる。打ち合わせの密度を高めるためには近くに住んでいることが大前提となる。つまり、こうしたリフォームは、地域工務店が最大限に強みを発揮できる。これからのストックビジネスを展開する上で、地域とのつながりを強化することの大切さを改めて認識した。
当社ホームページではSS-houseリフォームとして掲載しています。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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