2014-06-23
犬・猫と暮らす家

犬と暮らす家の床材と壁材の選び方。滑らない床材よりも股関節障害の少ない血統を選ぶのが先!

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犬(ペット)を室内で飼うお宅が増えました。
「飼う」というより一緒に「暮らす」と言ったほうがしっくりくるほど、彼らは、家族の一員になっています。
初めて、室内で犬を飼う人からは、新築やリフォームで、床材や壁材は何が良いですか?
と質問を受けます。
ちなみに私は、室内で17年程ピットブルという犬種を飼っています。
自宅兼ショールームで犬は放し飼いです。下記の床材がほぼ全てありますので、種類による利点と欠点は体験済。
ネット上では、ペットの建材について、犬も飼っていないようなリフォームライターが、ネットから拾ってきたような文章を、書き直しているような浅い記事があります。
しかし、そういう方とは、体験値が違いますから、犬と暮らす家の床材と壁材の選び方で迷っている人や、これから犬を飼いたい人は読んでくださいね。
犬と暮らす家の床材選びの話は、建材の特徴だけを聞いても意味が無いのです。犬の特徴も理解しないとね。今回は、犬を室内で飼う場合の床材と壁材の選び方をお話しします。
まず、どんな建材を選んでも、それぞれに一長一短があります。
全ての面で優れた材料はありませんから、予算や状況から諦める部分も大切です。
1番大切なのは、何もかも望まずに「あきらめる」こと、自分に合ったものを選択することが大切なのです。これは家づくり全般に言えることです。
ペットを室内で飼う上で2番目に大切なのは、「ある程度汚れたり、破損したりするのは覚悟すること」だと思います。
3番目に大切なのは、躾だと思います。排泄を決まった場所でせず床を汚す犬には、床材を考えるよりも、躾をして、散歩回数を増やしたほうが経済的だし自然です。
4番目に大切なのは、「床材選びよりも血統選び」だという話。
床材は、滑りやすいものを選ぶと、股関節を痛める犬もいるので注意が必要です。滑らない床材を選んだほうが良いというのは、ネット上に多数載っています。そのとおりだと思います。
しかし、遺伝的に股関節が悪い犬やその他障害のある遺伝子のある犬は、滑りにくい床材を選んでも障害がでる可能性があります。ですから、血統を調べて、遺伝的に問題のある犬種や血統は、意識して飼わないことが大切だと思います。
特に股関節障害が出る可能性の高い犬種。例えばゴールデンレトリバーを飼う時は、血統を調べて障害の少ない血統の犬をブリーダーから直接飼う。ペットショップの店員さんは、会社が仕入れた犬を売っているだけですから、血統の特徴は全く分かっていないのが普通です。ですから、自信の無い人はペットショップで飼っちゃダメです。犬を飼った経験の無い人ほど、ブリーダーから直接飼ったほうがトラブルは少ない。
滑らない床材よりも障害の少ない血統を選ぶのが先!という話です。
まずは床材。種類による特徴について。
人と犬の視点から見た、利点と欠点を見てみましょう。
■カラーフロア 
一般的に合板フローリングと呼ばれる12~15ミリ程度の床材です。最近は、ペット対応の表面が強く滑りにくいものも出ています。滑りやすいものよりは滑りにくいもののほうが良いです。耐久性は無垢材よりは基本的に低い。べニアのように積層された木質材が接着剤で接合されているので、接着剤の寿命が材料の寿命となります。擬木なので、傷が付くと、より安っぽく見えます。
■無垢フローリング
杉やパインに代表される柔らかく、足裏の心地よい針葉樹フローリング。ナラやカバやウォルナット等に代表される固い広葉樹フローリング。どちらも「本物の木」なので見た目も良い。ただし、針葉樹フローリングは素足での歩き心地は最高だが、柔らかいので傷が付きやすい。広葉樹フローリングは、固いので傷は付きにくいですが、歩き心地は良くない。しかし、無垢材は傷がついても、その傷は不自然では無い。値段は針葉樹フローリング<広葉樹フローリング。どちらにしてもカラーフロアの約2倍以上の値段。 ■クッションフロア 塩化ビニールの材料で、水、おしっこが染み込まないので、ペット用床材としては1番手入れが楽。安い。犬も滑りにくい。ただ、見た目は安っぽい。ヨシダクラフトでは、トイレ、洗面、造作犬小屋の床と壁と天井の材料として使用している。犬を飼う場合、機能のみで考えるならコレ。 ■タイル 清掃しやすいが、おしっこやうんちをされると、目地に染み込んでしまう。 費用は高め。冬は冷たくなり、人にも犬にも不快な床材となる。床暖房を入れると、冬も冷たくなくなるが、固い材料なので歩き心地は悪い。 ■じゅーたん、畳 うんちやおしっこをされるとシミになってしまう。抜け毛も清掃しにくい。劣化が早いので、1匹ならまだしも、多頭飼いには最も向かない。 ■タイルカーペット 事務所の床によく使われ、住宅での使用は少ない。300角程度のものを敷いてあるだけなので、汚れたら交換可能。 ●個人的なおススメは、針葉樹系無垢フローリングです。トイレや洗面脱衣室等の水まわりのみクッションフロアが良いと思います。傷は付きますが、人が心地よくて、犬も滑りにくく暮らしやすいという点からベストバランスかと思います。 次は壁材。犬の匂いを多少は取るという点で、珪藻土が良いと思います。珪藻土の値段は、 ビニールクロスに比べると4倍程度です。意匠的にも自然で違和感がありません。 珪藻土も色々あるので、珪藻土に興味ある方はこちらをご覧ください。機能的には、エコカラットも優れています。床材を選んだ上で壁材を選んだほうが良いです。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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