埼玉県八潮市道路陥没事故の原因を、住宅屋視点で推測

今日のブログはザックリ言うと、

・「埼玉県八潮市道路陥没事故」から、日本国民は何が不安だと感じているのか?を推測

・技術系公務員と大工人口の推移の表を見ながら、インフラの問題点

・埼玉県による事故説明会の内容から、事故原因を住宅屋視点で推測

という内容です。

「埼玉県八潮市道路陥没事故」から、日本国民は何が不安だと感じているのか?推測しました

建設後50年以上経過する社会資本(インフラ)の割合。今後15年以内に、各インフラは、より老朽化する

今年、令和7年1月28日9時50分頃起こった、埼玉県八潮市の道路陥没事故。

この事故で日本国民が不安になった要因は、いくつかあると思います。

まず、普段歩いている交差点の下に、大型トラックが流されてしまうような、太い下水管が通っていたこと。一般人は、交差点の下に、直径5m近くの下水道管が埋設されているなんて、考えてもいなかったと思います。住宅屋の私も、言われて見たらそうかもしれない、と感じるが、太い下水管を埋め込む様子は見たことが無いので、全く実感がありませんでした。

日本国民は、今回の事故を見て、太い下水道管が道路下に通っていないと、多くの人の生活排水は、処理できないと、初めて認識したと思います。

地下配管の破損で道路が陥没した場合、今回のように人が下水に流されないまでも、車や人が陥没した道路に落ちると、落下によるダメージや土砂埋設による呼吸困難などにより、最悪の場合は死に至ります。また、上下水道が使えなくなると、関連する住民の生活自体が困難になります。

社会資本の維持・更新費用は、2013年から2033年の20年で1.5倍になる予定。

現時点で、この事故原因が、インフラの老朽化のみに起因するかは分かっていません。しかし、原因の1つがインフラの老朽化だとすると、それは大きな不安要因になります。

というのも、日本各地でインフラの老朽化は進んでおり、かつ少子高齢化で税収も少なくなるからです。

既に施設されているインフラの多くは、少子高齢化を前提にしていない、右肩上がりの時期に造られているので、道路・上下水道・電気・ガス・有線光ファイバー通信などは、日本全国の広い地域に、末梢血管のように張り巡らされています。

しかし、コロナ禍以降、各業界で少子高齢化の影響が進みました。

少子高齢化が現実になり始めた現在は、インフラが壊れても「老朽化した施設の、全ては直すことは出来ず、その影響は自分や家族にも及ぶ」ことを、ほとんどの人が「薄々感じ始めており、少しずつ現実になってきている」時期だと思います。

これが何となく感じている、社会不安の原因だと思います。

公務員全体が少なくなっており、技術系公務員は、より少なくなっている

具体的には、少子高齢化により、上下水道等のインフラを計画する側の、若い公務員や民間の設計者は減っています。もちろん、実際に現場で働く、若い現場監督や土木や配管設備の職人も減っています。

人口減で税収も少なくなるから、今後は、今までのように素早く、充分にインフラを直せない可能性が高いと思います。

住宅建築業界も、大工人口が20年間で半減

上の表を見てください。大工は2000年から2020年の20年間で54％減です。かつ2020年時点の60歳以上の割合が43％と、高齢化の代表のような職種です。今年は５年後の2025年ですから、大工はより少なくなっており、かつ高齢になっていると思います。

大工が減少、高齢化した理由の1つとして、他の職人と比べて覚えることが多く、修行期間が長くなり、独り立ちするまでに時間が掛かることが挙げられます。一方で、一度覚えた大工技術は長く使えるために、高齢になっても続けられるという側面もあると思います。

現実、住宅建築業界でも、少子高齢化が近因もしくは遠因となって、今までのような期間では家が建てられない、かつ大規模リフォームや小さな修繕工事も、時間が掛かるということが起き始めています。

私は、住宅建築業界のことしか知りませんが、他業界でも少子高齢化による、人と金(所得と税収)の減少により、今までのように仕事が進まない実感を持ち始めている人も、少なくないように感じます。

上の表の右側の小さな表を見てください。建設・土木作業従業者(いわゆる各職種の職人達)も、2000年から2020年の20年間で32.7%減少しており、60歳以上の割合は、27.8％になっています。建設業界の職人全体も、この20年で3割以上も減少しており、高齢化率も高いですが、大工よりは、絶滅危惧種では無いといったところです。