2025-02-15
リフォーム
高断熱・高気密住宅
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栃木の冬は命の危機!冬の死亡増加率、10年連続日本一の寒さ対策に、断熱リノベーション補助金を活用しよう!

AIに、栃木県の冬景色を描いてもらいました。なんか微妙

2022年3月26日の東京新聞デジタルの記事によると、栃木県は冬の死亡増加率が、10年連続で日本一高いという、悪い結果でした。

分かりやすく言うと、「冬に、死ぬ割合が日本一多い県民は、栃木県人だ」ということです。

逆に、冬に死ぬ割合が一番少ないのが、日本一寒い北海道民でした。

普通に考えると、一番寒い北海道民が、冬に一番死ぬ割合が高そうですが、全く逆の結果になっています。

栃木県は冬季死亡増加率が日本一

その理由として、北海道や青森は寒いので、30年以上前から家の高断熱・高気密化が始まっており、家が暖かく、冬に死ぬ人が少ないのです。

一方、北国に比べると暖かい栃木県ですが、住宅の高断熱・高気密化が遅れていて、家が寒いために、冬に死亡する人が日本一多くなっているということです。

下の方に貼った表のように、死なない人でも、寒冷な家は高血圧になる人が6.7倍となり、循環器疾患死亡確率は4.3倍になっていますから、冬暖かい家に断熱リノベーションしておくことが大切です。

※断熱リノベーションと断熱リフォームは同じ意味で使っています

現在、家を暖かくするお得な対策として、国の断熱リノベ補助金が出ています。現在、断熱リノベ補助金は、毎年出ていますので、断熱リノベを考えている方は、リフォーム補助金が出なくなる前に、行う事をおススメします。

栃木県の家が寒い方は、補助金を利用して断熱リノベーション(断熱リフォームもしくは断熱改修)を行い、冬に死なない、暖かい家にしておきましょう。断熱リフォームをして、家の断熱性能が高まると、窓の日射遮蔽を行うことで、夏も涼しく過ごせます。

ちなみにリフォームする場合の補助金とは、条件に合ったリフォーム工事を行うと、その一部のお金を貰える制度(給付と言います)なので、とてもお得です。

※冬季死亡増加率とは、冬季(12~3月)の死亡者数の平均値が、他の時期の平均値より、どれだけ増えたかを調べたものです。

住宅の寒さと健康の関係

断熱住宅が普及するほど、冬季死亡増加率は下がることが示された表

このブログの参照元の1つとなっているのは、下記に添付したPDF資料です。

読んで頂くと、住宅の寒さが健康に悪影響を与え、逆に暖かい住宅が、健康に良い影響があるのが分かります。分かりやすい表とイラストで描かれていますので、理解しやすいと思います。ご覧ください。

住宅の温熱環境と健康の関連/国土交通省補助事業 慶應義塾大学理工学部の伊香賀俊治教授 提供PDF

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001323205.pdf

栃木県は冬に人が死にやすく、北海道は冬に人が死ににくい

日本で最も寒い、北海道と青森の冬季死亡増加率が日本一低く、中途半端に寒い栃木県と茨城県の冬季死亡増加率が一番高くなっている。

なぜ栃木県は冬の死亡増加率が高いのか?

冬季居間室温 出典 

主な原因は、北国ほどは極寒ではなく中途半端に寒いことで、住宅の断熱性能が高くならなかったこと。ただし、栃木県の冬は、寒さで体調を壊したり、ヒートショックで死ぬには充分な寒さです。

寒い冬に暖房を使用しても、断熱性が不十分な住宅では熱が逃げやすく、暖房機の廻りだけ暖かくなり、居間と廊下などの温度差が大きくなります。特に入浴時のヒートショックが深刻な問題となり、高齢者の健康リスクを増大させています。

ヒートショックの起こり方

ヒートショックとは、上記のように急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす現象です。断熱性の低い家では、暖房の効いた居間と寒い廊下・浴室・脱衣所との温度差が激しく、この危険性が高まります。こうした背景から、栃木県では冬の死亡増加率が全国でも突出しているのです。

寒い家は、高血圧になりやすいので、特に心臓と脳血管の病気になりやすく、暖かい家は、快適な上に病気になりにくく、省エネにもなります。

寒冷な住まいは、6.7倍高血圧になりやすく、循環器疾患の死亡確率が4.3倍となる

住宅リノベーション補助金「住宅省エネ2025キャンペーン」とは?

住宅省エネ2025キャンペーンは、国土交通省、経済産業省、環境省の3省が連携して実施する、省エネリフォームと、省エネ住宅の新築に活用できる補助金制度です。今年の3月から申請が始まる予定です。

省エネリノベーションの場合、高性能な窓の導入、壁・床・天井の断熱改修、さらには省エネ型給湯器の設置などが補助の対象となります。これらの改修によって、家の断熱性が向上し、室内の温度を安定させることができます。その結果、健康リスクの低減や、暖房費の削減といったメリットを得ることができるのです。

住宅リノベーション補助金の対象となる、断熱リノベーションの内容

住宅リフォーム補助金「住宅省エネ2025キャンペーン」の対象となる、断熱リノベーションには、いくつかの種類があります。代表的なものを以下に紹介します。

① 窓の断熱改修

既存窓の内側に、樹脂内窓の設置

内窓設置などの、窓の断熱改修は、一番効果的なので初めに行うべき工事です。内窓設置であれば、既存窓の室内側に設置するだけなので、どこも壊す必要がなく、効果が高いです。予算が無いのであれば、内窓設置だけを行ってください。補助金の対象になります。

窓は、住宅の中でも最も熱が出入りしやすい部分です。内窓設置(二重窓とする)や、既存窓を樹脂製の高断熱窓に交換することで、熱の出入を大幅に抑えることができます。ガス入りの高性能ガラスを使用することで、室内の暖房効果をより高めることが可能です。窓の断熱リノベは、夏の暑さ対策にも効果があります。

外窓交換(カバー工法)

外窓交換(カバー工法)とは、既存窓の障子を外して、既存窓枠はそのままに、被せるように新しい窓が取り付くことです。

内窓とカバー工法の違い

②窓の高断熱化の次は、1階床→2階天井→壁の断熱強化

壁の断熱材

優先順位として、窓の断熱リノベーションの次は、既存の住宅の各箇所に断熱材を追加することです。優先順位は、基本的には1階床→2階天井→壁の順番です。床下と天井裏の断熱リノベーションは、家を壊さなくても行えることが多いです。

壁の断熱リノベーションは、基本的には室内側の石膏ボードを壊して充填するか、室内側は壊さずに外壁の外側に付加断熱を行うかになります。壁は面積が広く、既存壁の内側を壊したり、外壁の外側に付加間柱を取り付けたりしてから行います。そうなると手間も掛かります。ですから壁の断熱リノベーションは、一番お金が掛かるため、最後に行うのが普通です。

③ 気密性能の向上

断熱性能を向上させるだけでなく、気密性を高めることも重要です。隙間風の侵入を防ぐと、より効率的な断熱効果を得ることができます。

具体的には、内窓を付ける場合でも、既存窓の建付けも調整して隙間を無くすこと。床→天井→壁の断熱強化の時に、一緒に出来る範囲の気密工事も行うことが大切です。

断熱リノベで得られる健康効果

出典

高断熱住宅に住んで、暖かい家で過ごすと、病気しずらくなります。上記の表のように、循環器系3大疾患と言われている、心疾患、脳血管疾患、高血圧が少なくなるのが、最大のメリットです。

断熱リノベーションは家計にも優しい

断熱リノベーションには初期投資が必要ですが、長期的に見ると家計にも優しい選択肢です。

① 光熱費の削減

暖房と冷房の効率が向上することで、光熱費を削減できます。例えば、内窓を付けるだけで、冷暖房費用が削減されるケースもあります。

② 資産価値の向上

断熱性能の高い住宅は、正しくアピールすることで、将来的な売却時にも高評価を得られるため、資産価値の向上にもつながります。

③ 病気になりにくい

冬暖かく、夏は日射遮蔽を行うことで涼しくなります。このブログに書いてきたように、暖かい家は、ヒートショックの可能性が減り、快適になることで血圧も低めになります。冬も夏も、快適室温に調整しやすくなるので、よく眠れるようになります。

「断熱リノベーションは健康投資」と考える

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上図は断熱工事に100万円をかけた時、そのコストを何年間で回収出来るかを示したものです。

光熱費だけの回収では29年かかりますが、健康維持による本人便益を加算すると16年、健康保険からの公的負担便益も加算すると11年で、断熱工事費100万円分を回収できるという表です。

この表には載っていませんが、断熱工事をすると、何より室内が暖かく快適になるので、住人の身体が楽になるメリットがあります。

栃木県の冬季死亡増加率の高さは、住宅の断熱性能の低さが大きく関係しています。特に心臓や脳血管に持病のある方が暖かい家に住むと、体調が良くなる可能性が極めて高いと思います。

「断熱リフォームは健康投資」と考えて、住宅省エネ2025キャンペーンの補助金を貰って、断熱リノベーションを行うことで、今よりも健康で快適な住環境を、お得に手に入れることが可能です。

2025年度は、国の断熱リノベーション補助金はありますが、国も財政難ですから、いつ無くなってもおかしくありません。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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