2024-11-28
住宅探訪
自然素材

栃木県でこれから家を建てる人は、蔵の街「栃木市 嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区」を散策して、長持ちする木造建築と建材及び街並みを見ておこう

和瓦と漆喰壁と板張り外壁のコントラストが普遍的

9/29に初めて栃木市の中心市街地を散策したのですが、宇都宮市から車で30分程度の場所に、こんな雰囲気の良い街があるとは知りませんでした。回り切れなかったため、10/17に再度、散策しました。

栃木市の中心市街地のおススメの場所をレポートします。

木造建築を見るには、嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区(かうえもんちょう でんとうてきけんぞうぶつぐんほぞんちく)と巴波川(うずまがわ)廻りを散策するのが良いです。

栃木市は個人の博物館が点在する珍しい地域

栃木県の県庁所在地は宇都宮市ですが、明治17年以前は、栃木市が県庁所在地でした。栃木市の中心市街地を流れる巴波川(うずまがわ)経由で、江戸と交易が盛んになり、江戸の終わりころには、豪商となる者も現れました。

栃木から江戸には米、大麻、薪炭、石灰等を運んでいました。そして、江戸から栃木には、糖、魚を干した肥料、酒・酢・油などを運んでいたそうです。

中心市街地には、上記のような商売で財を成した、由緒ある元豪商の方が営業している個人博物館が複数点在しており、そのお宅の成り立ちが分かるようになっています。個人営業の博物館が複数あるなんて、珍しい地域だと思います。

おススメの個人博物館は岡田記念館。山車会館は個人博物館ではないですが、山車が美しくおススメです。

栃木市 嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区

古い家屋や蔵が整えられて、店舗やギャラリーになっている
和瓦と木の外壁材

嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区は、江戸時代末期から近代にかけて建築された、見世蔵や土蔵、主屋などの伝統的建造物が残 り、街道沿いに発展した在郷町の特色ある歴史的風致を伝えているものとして国の重要伝統的 建造物群保存地区に選定されました。

現在、古い蔵で、若い人が、カフェ・アパレル・ラーメン店・食堂などを営業しており、由緒あるお宅の個人博物館も混在する、散策するのが楽しい地域になっています。

嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区リーフレット

岡田記念館・山車会館の2つの施設がおススメ

岡田記念館 翁島別邸
岡田記念館 翁島別邸 からかさ天井の風呂。無垢の木は長く使えることが分かる
岡田記念館 翁島別邸 和室
岡田記念館 翁島別邸 外観

栃木市の蔵の街並みは、かつての裕福な商人達の歴史が築いてきたものです。

そして、江戸時代からの豪商達の子孫の方が、昔からの家屋を使って、その家にまつわる博物館のようなものを個人的に運営されているお宅が複数点在する、珍しい地域でもあります。

岡田記念館は、当地を開拓した岡田嘉右衛門の屋敷を一般公開した施設。嘉右衛門という名前は、徳川家から頂いたとのこと。岡田家の代々の当主は嘉右衛門を襲名しており、この付近の荒地を開墾したことから「嘉右衛門町」という地名が生まれました。

岡田記念館 
徳川家より頂いたもの。こんなのが一杯

様々なお宝が、歴史ある家屋や土蔵に展示されている上に、代々当主は、文化芸術面にも関心が深く、芸術家が岡田家を訪れて、作品を残しています。

現在は、岡田家の奥様が受付と案内を1人でされています。ここでは書けませんが、とても面白いご先祖様の裏話を多数聞くことができました。大人の入場料1000円は安いと思いました。

岡田さんの奥様。最初、入場するのに躊躇したが、1000円払って奥さんの話を聞くのが面白い

奥様はお元気ですが、88歳と高齢なので、早めに行くことをおススメします。

開館日は、金・土・日曜日・祝日。お盆・秋祭り・正月は開館致します。

岡田記念館

また、岡田記念館の奥様に、おススメされた山車会館(だしかいかん)に行ってきました。祭りで使う、美しい山車がそのまま展示されており、おススメです。

山車会館

栃木市 嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区の魅力ある建物

上記建物内部の通り土間。ラーメン屋になっている
上記建物裏。和瓦と漆喰と板張り外壁
スターバックスも板張り外壁。黒っぽく経年変化している
スターバックス板張り外壁。材種は、ウェスタンレッドシダー

巴波川(うずまがわ)

巴波川。観光船に乗れます

栃木市の街中無料駐車場

街中に無料駐車場が3か所あります。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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