2006-02-06
住宅設計

事前説明どうしてますか?

ホームページ経由で、問い合わせのある人の場合、無垢素材、造作ドア、
造作キッチンなどを希望されている方が殆どです。私自身が無垢もの、造作ものに魅力を感じていることもありますし、統一感のある室内空間を造るには、新建材では合いません。
また、ほとんどのハウスメーカー、工務店、設計事務所は、建具の図面などを、手間が掛かるので描かない、描けないので、私の所に問い合わせがあるのかもしれません。
ハウスメーカーや一般の工務店は、新建材と呼ばれているユニットの建具やビニールクロスなどで、仕上げていきます。
普通の新建材のドアなら、同じものが建材メーカーにあるので見ることが出来ますが、造作ドアの場合は、フルオーダーの「1品もの」になるので、
完璧に事前説明するには、何枚かサンプル用でドアを作らなくてはなりません。しかしそれは、お金が掛かるので現実的ではありません。建具図面を描き、カタログやサンプルでものを決定するしかないので、予想と違うという部分も出てくるかもしれません。建具のレバーハンドルは、サンプルが取れないので、カタログから選ばざるをえません。
造作が多い知り合いの設計事務所も説明方法は、建具図面とカタログとサンプルのようです。室内パースは、色と質感がわからないことが多いので、使っていないようです。私も同じ方法です。
有名建築家が設計した家が、実は施主とトラブルが多いというのも、説明できない部分があったり、事前説明の程度が足りないという理由もあると思います。
また、施主も造り手も人間ですから、打ち合わせをしていて忘れてしまうこともあります。対応策は、打ち合わせた内容を文章にして認め印をもらう程度では足りず、ビデオかテープで話しの内容を撮っておかないと、自分がどういう説明をして、施主がどの程度納得したのか、分からなくなります。造作物や無垢物を多く手掛けている人は、打ち合わせの内容も多くなりますから、どういう記録をしておくかが重要になります。言ったとか言わなかったというトラブルになりがちです。こちらから、打ち合わせ内容をテープにとらせてくださいというのは、とても勇気が要りますが必要なのかもしれません。施主のほうからテープに撮ってくれないかと思っています。
人生に一度しかないと思われる家づくりに、施主は後悔したくないと、完璧さを求めます。しかし完璧に事前説明するのは上記の理由から無理がありますし、自然素材の珪藻土などの場合は、割れもはいりますから、完璧に仕上げるということが出来ません。施主と造り手の考えている仕上がりの程度もギャップがあるものです。
造り手の(特に造作ものを多く造られている造り手の皆さん)皆さんは、どういう事前説明をして、それをどう記録しているのでしょか?

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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コメント
工務点

「信頼関係が大事」なんていう軽い答えが、返ってこないことを期待しています。  私は、「実際はこうしている」ということが聞きたいです。

2006年02月06日
紅春1970【2】

でも、信頼関係無しには成立しないことだらけですよね。相手をじっくり見極める事も今後は大変重要な作業だと思いますネ。

2006年02月07日
工務点

紅春1970【2】さん >でも、信頼関係無しには成立しないことだらけですよね。相手をじっくり見極める事も今後は大変重要な作業だと思いますネ。

2006年02月07日
工務点

shigeさん、書き込みありがとうございます。 お待ちしておりました。(笑) 同じような仕事してるのは、楽天関係ではシゲさんだけなのでね。 うちのhpにリンクしている設計事務所も、私と同じようにその部分で悩んでいて、これは多くの造り手の悩みだと思うんです。 完璧に事前説明するのは不可能なので、信頼関係。 シゲさんの言うように、一生懸命、お客さんに付き合うことしかないよね。でも、やり直すとなるとお金が掛かるのがつらい所。要求のレベルが高いと、もっとお金が掛かる。 そこは話し合うしかないよね。

2006年02月07日
イームズ大好き!な、リフォーム屋shige

「信頼関係」 とどのつまり、そこに期待せざるをえないのも事実だと思います。 いま関わってるお客さんも、理論派なので、ある部分だけ理屈っぽい僕もそこで答えると結論が遠い遠いところに行ってしまいます。 「僕に任せてください!」「勉強になります!」上げたり下げたりを繰り返し、最終的にお客さんが喜んでいただけるところを目指します。 で、そんな交渉が通じるのも、やはり信用。 交渉テクニックじゃなくて、目の前のことに真摯に、一生懸命、お客さんが納得するまで付き合うことかなって思ってます。 プレゼンは、具体的には、やっぱりサンプル見せたり、まんが図面を見てもらったり、雰囲気が伝わりそうな写真を見せたりです。 同じものはできる訳じゃないし、色なんて同じでも場所によって違って見えるんだし、結局もどるのは、信用ってことになりますかね。(違って見えるからこそ比べられるよう色見本でしっかり事実を作っておくことも安心だし、メーカー品だと番手で話しできるから証拠が残る。超楽なんですよねー、残念ながら) もちろん、工務店さんは真摯にやっているのがwebで見るだけでも分かりますよ!

2006年02月07日