2009-02-20
本・映画

【更新】村上春樹さんのスピーチ/常に卵の側に

村上春樹さんのイスラエルでの文学賞受賞スピーチ。
心が動かされた部分は以下。
1. プロの嘘つきのくだり
 建築屋が嘘つきだというのは同意できませんが。
2. 多くの人に授賞式に行くことを反対されても自分で熟考して行くことを決意。
3. 人と反対の行動を取るのが小説家。
 
たぶん他の小説家多数と同じように、私は言われたのときっちり反対の事をやる癖があります。「そこに行くな」「それをするな」などと誰かに言われたら、ましてや警告されたなら、「そこに行って」「それをする」のが私の癖です。そういうのが小説家としての根っこにあるのかもしれません。小説家は特殊な種族です。その目で見てない物、その手で触れていない物を純粋に信じる事ができないのです。
そういうわけでここにいます。ここに近寄らないよりは、来る事にしました。自分で見ないよりは見る事にしました。何も言わないよりは何か話す事にしました。(日本語訳より)
4. 体制側でなく、卵の側(個人の側という意味)に立つということ。
個人の尊厳に光をあてるのが仕事
スピーチのすばらしい日本語訳 
動画もあったのに消されたようです。
村上さんの言葉は難解だといわれることもあるようですが、私はそう思いません。
心地よい言葉です。
私は自営業者です。
人と違うことをする人で評価を受けている人に、とても興味があります。
なんで評価されているのか考えます。
本当に実力のある人なのか、時代を経ても残る人なのか、残ることをしているのかも考えます。
人(他社)と違っていないと存在価値の無い人、存在価値の無い会社だと思われてしまいます。
また、私は個人(村上さんの言葉を借りると「卵」)の生活に興味があり、住宅の仕事をしています。
ですから、このスピーチに心が動かされたのだと思います。
人と反対のことをする。それも自分の名前を公表して。
その内容も自分が好きなことで、かつ、ある一定の人数から支持されなくては長続きしません。
自営業をやっていて、良かったと思うことの1つは、自分の名前を世間に出して仕事ができるということ。
間違えることもあるでしょう。批判もね。
でもそれは自分の責任。
村上さんにとっては、リスクもリターンもあるスピーチでしたが、またファンが増えたのではないでしょうか?
このスピーチは、人種と宗教問題が元になって今も戦争しているイスラエルで行われた。
これ以上言ったらヤバイというところで寸止め空手のように止まっている。
かつ、自分の考えもハッキリと言えている、すばらしいスピーチだと思います。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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コメント
shige*simplehouse

村上春樹の文章読むと、ぎゅっと魂引っ張られるよね。 気づくと、「 ノルウェイの森」や「風の歌を聴け」プロローグの 大人になった主人公の年齢さえも越えたことに驚きを感じます。 そのときはまだ回想されている主人公の年齢より若い「18歳」だったのに。 スピーチで知りましたが、お父さん亡くなったんですね。 僕の友達は芦屋の子で、村上春樹氏のお父さんがやられていた学習塾に通って、直接教わっていたそうです。 ミーハーな僕はご自宅を見に行きました。 緊張感のあるブログにおまぬけなコメントごめんね。

2009年02月20日
くま塾長

>人と反対のことをする。それも自分の名前を公表して。 >その内容も自分が好きなことで、かつ、ある一定の人数から支持されなくては長続きしません。 自営業の醍醐味はまさにここなんでしょうね。 オンリーワンの本当の意味はこうなんだと思います。 で、最後は商品力と信念。 自分で自ら価値を作り出し、お客様に提供する。 地道で苦労も多いですが、それが本来の姿なんだと思います。 本当に良いスピーチだと思います

2009年02月20日
カントリーライフ@Oregon

トピックあげてくださりありがとうございました。 今読んできました。 自分の心のままに生きる事が社会の規律と相反して時に難しい。社会構造は、人が暮らす為に作り上げたルールであまねく人を妥協カツ快適にを理想としているのでしょうが、まとめたいときに例外が出てきてしまう。その例外を排除、悪としていうことで、本来の自分らしさや個性が没個性になり集団による危険をはらんでしまう。 平易な表現にみえる言葉を並べている反面、一方では人の持つ奥深い部分に触れて自分の特性を発揮している村上春樹の技が受賞という形で評価されこの奇をてらった発想の転換が面白い!それに対して発想の転換的な話し方をするウィットがすごい面白い!ハイコンテクストのあうんの呼吸をよみあう呼吸が心地いいと思いました. 一人一人が違うのは変えられないnatureです。 作り話の中に真実を照らす上手な嘘つき。システムの上で踊らされている人は、逆。真実のように話すけど真実といっている中身が作り物。 本物genuineを追求するのは、自分自身をしっかりもつこと。自分から始まる。 卵のように傷つきやすく割れやすい心を持つけど、体験的にわかっていても立ち向かう。ほとんどの人は割れるとわかって飛び込まないけれど、どうだろう? 話は飛びますが 最近買った卵パック。最初の5個が双子で気味が2個も出てきました。色々考える事が増えました。

2009年02月21日
ヨシダクラフト

shige*simplehouseさん >村上春樹の文章読むと、ぎゅっと魂引っ張られるよね。 > >気づくと、「 ノルウェイの森」や「風の歌を聴け」プロローグの >大人になった主人公の年齢さえも越えたことに驚きを感じます。 >そのときはまだ回想されている主人公の年齢より若い「18歳」だったのに。 > >スピーチで知りましたが、お父さん亡くなったんですね。 >僕の友達は芦屋の子で、村上春樹氏のお父さんがやられていた学習塾に通って、直接教わっていたそうです。 >ミーハーな僕はご自宅を見に行きました。 >緊張感のあるブログにおまぬけなコメントごめんね。

2009年02月21日
ヨシダクラフト

くま塾長さん >自営業の醍醐味はまさにここなんでしょうね。 >オンリーワンの本当の意味はこうなんだと思います。 > >で、最後は商品力と信念。 >自分で自ら価値を作り出し、お客様に提供する。 >地道で苦労も多いですが、それが本来の姿なんだと思います。 > >本当に良いスピーチだと思います

2009年02月21日
ヨシダクラフト

カントリーライフ@oregonさん >本物genuineを追求するのは、自分自身をしっかりもつこと。自分から始まる。 これに尽きますね。 ネット社会でいろいろな情報がきますから、取捨選択して、自分を確立すること、自信を持つことが大事だと思います。 卵の黄身は、良いことが続く前触れかもしれません。

2009年02月21日