2019-06-08
Q1.0住宅宇都宮の家 SH-house(宇都宮市)
高断熱・高気密住宅

基礎断熱でスラブ上に断熱材を全面貼る場合、事前にやっておくべきこと

「コンクリートのろ」を電動ハンマーで撤去したところ。

 

宇都宮市の街中に建つ、延床24.5坪の小さなQ1.0住宅SH-houseの暖房は、床下エアコンのため基礎断熱にしています。

 

基礎外周立ち上がりのコンクリート打設時に100mm厚のポリスチレンを一緒に打ち込み、基礎が完成した後でベタ基礎のスラブ上(基礎のコンクリート上)には、全て50mm厚のポリスチレンを水平に貼る設計としました。

 

基礎断熱で使う断熱材は、立上りもスラブ上も押出法ポリスチレンフォームです。商品名はどちらもミラフォーム3種b。

 

断熱性能は同じで熱伝導率は、どちらも0.028w/m・K。ただしスラブ上に全面貼る断熱材は、仕上げ面にアルミシートをプラスしたミラフォームDDSボード。

 

実は基礎工事完成後、基礎断熱でスラブ上に断熱材を全面貼る場合、事前にやっておくべきことがあったのでした。

 

今日のブログはそれを書きます。

 

基礎断熱スラブ上、全面に貼る断熱材をミラフォームのDDSボードにした理由

DDSホード。アルミ箔面を上にしてスラブ全面に貼る。

写真出典

スラブ上に全面貼る断熱材をDDSボードにした理由は、施工中に人が断熱材の上を歩いた時に凹みにくく、傷が付きにくいと考えたからです。

 

普通の押出法ポリスチレンがコレ。立ち上がり打ち込んだものと一緒。

 

通常断熱材は、人が歩くようには出来ていないため、歩いたり体重をかけると凹みやすいのは当然の話です。

 

しかしこのミラフォームのDDSボードはアルミシートが貼ってあるため、人が歩いても凹みにくいし傷も付きにくい。またDDSボードは表面がアルミ箔でツルツルなので、掃除もしやすいはず。

 

前回造ったQ1.0住宅よりも基礎の断熱性能がパワーアップ

前回のQ1.0住宅の基礎断熱がこの仕様。立ち上がり断熱材が50mmでスラブ上も外周から91㎝しか貼っていない。

完成引き渡ししたSI-houseでは、基礎立ち上がりの断熱材の厚さは50mmで、スラブ上には断熱材を全面には敷かずに、外周立上りから91㎝の範囲のみ50mm厚の断熱材を水平に貼りました。

 

今回は、立上り100mm&スラブ上50mm全面貼りで、基礎の断熱性能もパワーアップしています。

 

基礎の断熱性能を上げたほうが、エアコンの効きがよくなり、室内の温度差をより少なく出来るので快適性もより上がり、省エネにも拍車が掛るのです。

 

基礎断熱のスラブ上全面に、断熱材を貼る前にやっておくべきことがあった

これが「コンクリートのろ」。「コンクリートのろ」がある状態で断熱材を貼ると、断熱材とスラブに隙間が出来てしまうので撤去する。

 

しかーーし、基礎断熱のスラブ上に断熱材を貼る前にやっておくべきことを発見しました。

 

それが、基礎立ち上がりのスラブ面に出来てしまう「コンクリートのろ」の撤去です。スラブ面から高い部分だと12mm程上がっています。

 

上棟後スラブ上に、大工が断熱材を貼りますが、「コンクリートのろ」があると、DDSボード断熱材を水平に貼っても、スラブ面と断熱材に、のろの高さ分である12mm程度の隙間が出来てしまい、キッチリと断熱材が施工されたことになりません。

 

スラブ上の断熱材を貼る前に、この「コンクリートのろ」を撤去しておく必要があります。

 

ベタ基礎スラブ上の「コンクリートのろ」とは?

赤線のスラブコンクリートと立ち上がり型枠からコンクリートが漏れてのろになった。

 

ベタ基礎スラブ上の「コンクリートのろ」は、基礎立ち上がりコンクリートを打設した時に、立ち上がり型枠の隙間から出た、モルタルのことです。

 

詳しく説明しましょう。

 

通常、ベタ基礎は3回に分けてコンクリートを打設するのが一般的です。

 

1回目で「スラブコンクリート(床のコンクリート)」を打設した後で、立上りの型枠を組んで、2回目に「立上りコンクリート」を打設し、立上り型枠を解体した後で、3回目に玄関内部に断熱材を入れてコンクリートを打設します。その時に玄関外部のタイル仕上げ等になる階段のコンクリートも打設します。

 

2回目の立ち上がりのコンクリート打設は、先に打設したスラブコンクリートの上に、立上りの型枠を組んでコンクリートを打設するのですが、床コンクリートと立ち上がり型枠には、数ミリの隙間が出来るので、その隙間からコンクリートが流れて、コンクリートの立ち上がりの直ぐ脇に「コンクリートのろ」ができるわけです。

 

北海道以外では未だに数の少ない基礎断熱の基礎工事の工程をブログにしました。

小さなQ1.0住宅、基礎断熱仕様の基礎工事を連続写真でご紹介します

 

基礎立ち上がり内側に断熱材を入れた、外周基礎立ち上がり部には「コンクリートのろ」が出来ていない

立上りの断熱材を一緒に打ち込んだ基礎外周部分は、コンクリートのろが出来ていない。

 

一方、基礎立ち上がり内側に断熱材を入れてコンクリートを打設した、「外周基礎立ち上がり」には「コンクリートのろ」が出来ていません。

 

立上りに入れた断熱材が隙間を塞いで、「コンクリートのろ」が出来なかったのです。

 

前回のQ1.0住宅では、スラブ上全面に断熱材を敷いたわけでなく、外周立上りの脇の90㎝幅のスラブ部分しか、断熱材を敷かなかったので、中間仕切り基礎の「のろ」の存在まで、頭になかったわけです。

 

そこで基礎業者に「コンクリートのろ」を取ってもらうように依頼しました。

 

基礎業者に「コンクリートのろ」を取ってもらうように依頼したが、有料だと言われてしまい自分でのろを撤去した話

 

●私「上棟後、基礎スラブ上の全てに、大工さんが断熱材を敷くのですが、基礎立ち上がり脇のスラブ上にコンクリートのろがあります。とってもらえませんか?」

 

▲基礎業者「社長はセットハンマーで叩く程度でコンクリートのろは取れると思っているみたいですが、コンクリートのろは簡単には取れないですよ。取るには結構時間が掛ると思います。いつもあの程度の、のろは取らないので、有料にしてくれるなら取ります。」

 

※この時は、「セットハンマー」でのろを軽く叩いたり、ケレン棒(スクレーパー)で突っつく程度で、コンクリートのろは、簡単に剥がせると思っていた。

セットハンマー

ケレン棒

 

●私「セットハンマーとケレン棒ではダメで、電動ハンマーでないと取れないのですね?」

 

▲基礎業者「そうです。」

 

電動ハンマー

 

ということで、自分で電動ハンマーを使って、コンクリートのろを取りました。

 

コンクリートを撤去したり、壊す工事を斫工事(ハツリ)言います。コンクリートの建物を造っている方は知っていると思いますが、部分的に上手にコンクリートをハツリる場合は、ハツリ屋という専門の業者が居るくらい技術が要ります。

 

※ちなみに電動ハンマーを使う前に、セットハンマーで叩いたり、けれん棒もやってみましたが、コンクリートのろは全然剥がせませんでした。

電動ハンマーで振動をかけて「コンクリートのろ」を撤去した。アタッチメントは「平のみ」

 

仮設電気からコードリールで電気を取り、ドカドカと音をさせながら、開始から清掃完了まで、約2時間程度かけて綺麗に「のろ」を取りました。電動ハンマーだと簡単に剥がせます。最初は面白かったが最後は飽きましたw。

 

コードリール

 

電動ハンマーでコンクリートのろを剥がした。この後清掃。

 

結構な音が出るので、土曜日の朝には行えない雰囲気です。

 

電動ハンマーでハツリ取った後は、箒(ほうき)で履いて、のろが残っていないか、もう1度チェックします。

 

1度では綺麗に取れないので、箒で履いてから、残った「コンクリートのろ」を、もう1度電動ハンマーで取り除きます。

 

近くによるとこんな感じ。コンクリートのろが無くなり平らになりました。

 

のろが無くなり綺麗になったので、コンクリートスラブ上の断熱材を平らに貼ることが出来ます。

コンクリートのろ撤去完了。

 

床下エアコンを置くコンクリートの台の下も、全面断熱材を入れてコンクリートを打設。室内の暖かさを、地中に奪われないように断熱している。

 

外周以外の立ち上がりは、床下の暖気をより動かすため、外周基礎より20mm下げて造った。立ち上がり断熱材は100mm。

2袋分のコンクリートガラが出ました。

10年ぶりくらいに電動ハンマーを使いました。炎天下だったので結構日焼けしましたよ~w。

 

こういう日の夜は、このタンブラーにビールを注いで飲むと最高です。二重構造になっており断熱が良いのでビールの冷たさが持続しますし、飲み口が薄くて口当たりも良いです。私は600ml買いましたが大き過ぎました。この400mlの2個セットがサイズが良く値段も安くておススメです。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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