【失敗談】10年点検時に、間違って施主の住宅を壊してしまった話
10年点検に伺ったA-houseで、点検中に瓦屋さんが、間違って軒天(のきてん)を壊してしまい、修理しました。
完成後の点検時は、細心の注意を払って行動しないと、仕上がっている内外装に傷を付けたり、壊してしまいます。
今日のブログは10年点検時の様子と、軒天を壊してから修理までの流れを書きます。
実は住宅の設計及び施工でも、失敗することや上手く行かないこともあります。
ブログに、上手く行ったことや、自分の造っている住宅の自慢話ばかり書いても違和感があるので、今日は失敗談をブログにします。
特に点検作業時は、何でも自分1人で行おうとせずに、必要があれば他人の手を借りることが大切だと実感しました。
10年点検時に施主に話を聞き現状を見るのは、その後の設計と施工に役立つ
3月30日(土)朝9時。 瓦屋さんと白蟻屋さんを連れて、A-houseに10年点検へ行きました。
瓦屋さんには、ベランダにハシゴを架けて屋根に登ってもらい瓦屋根の点検を、白蟻屋さんには床下に入ってもらい、白蟻等の害虫の点検を依頼しました。
職人さんに作業をして頂いている間、私は施主のAさんに話を聞きながら、一緒に外装と内装を見て廻ります。
その時に、10年間の住み心地、家族の生活の変化、具体的な使い勝手の良さや気になる点をお聞きします。
実際にその住宅に暮らした施主の話は、その後の設計に生かせるので、とても勉強になります。
10年点検時には、納戸や収納内部まで見せて頂く
点検時には、できれば納戸の中や収納の内部まで見せて頂き、どのように使っているのか、どんなものが入っているのかを見せてもらいます。
当社では、他社が新築した住宅のリフォームも行っているので、いろんなお宅を見ていますが、収納内部は作り込みすぎないほうが生活の変化に合わせやすいので、長い目で見ると使いやすいようです。
家の外周りも一緒に歩いて点検する。その理由は白蟻対策
家の外周りも一緒に歩いて点検します。
外装の劣化を一緒に確認することは勿論、白蟻対策を行うことも重要なので、必ず一緒に外周りを見ます。
外壁に密着させて、土の上に木材・べニア・脚立等を置いて、ブルーシートが被っていたりすると、その暗がりから、白蟻が浸入することがあるので、外壁廻りには何も置かず、暗がりを作らないようにしてもらいます。
外壁廻りにはモノを置かないことが大切です。白蟻は明るいところからは侵入しません。
今回、床下の白蟻点検では、害虫は居ませんでしたが、新築時の白蟻防蟻工事の保証期間は5年なので、後日、床下の防蟻工事を、天然の防蟻材である青森ヒバ油で行いました。
同じ敷地内の職人から電話が掛かってきて、具体的に要件を言わない時は失敗した時
点検を始めてから、15~20分くらいが経った時に、ベランダから屋根に登っていた瓦屋さんから電話が来ました。
●瓦屋さん「社長、ベランダに来られますか?」
■私「どうしたのですか?」
※同じ敷地内に居るのに、職人から電話が掛かってきて、具体的に要件を言わない時は、なんらかの失敗をした時か、建物の状態が良くない時が多いのですが、声のニュアンスで前者かなと思いました。
※施主と一緒にベランダに行くと、
●瓦屋さん「屋根から降りてくる時に、ハシゴが少し上下してしまい、ハシゴの先端で軒天(のきてん)に穴を開けてしまいました。」
※施主に2人で謝りました。
■私「(やっちゃったな・・・狭くて修理しにくいところに穴を開けたなぁ。と思いつつ、思いっきり落ち着いた表情で)了解です。梯子を下に降ろす時は、慎重に二人で降ろしましょう。」
※と、これ以上周囲に傷つけないように注意をしながら、ハシゴを下に降ろしました。
※誰かが、ハシゴを下で固定していたら、穴を開けることも無かったし、職人の落下防止の点からもそのほうが良かったのです。
※私も点検に気を取られてしまいました。何でも自分1人で行おうとせずに、状況を見極めて、他人の手を借りることが大切だと実感しました。
●瓦屋さん「すみません。」
■私「私も現場に居るので、危なそうな時は手伝いますから、今後は言ってくださいね。工事保険で対応できるか、保険業者に聞いてみます」
※この場合の「危なそうな時」とは、1人で作業すると職人がケガをしそうで危ないという意味と、お客さんの家を傷つけてしまうので危ないという2つの意味である。
※工事保険とは、賠償責任保険のこと。住宅会社は通常、このような出来事に備えて保険に入っている。免責金額はあったが、今回は保険適応になった。
壊してしまった軒天の修理の流れ
後日、まずは大工に来てもらい、穴の開いた軒天のケイカル板を剥がして貼り替えた。
このような場合は、これ以上壊さないように、細心の注意を払うことが重要だ。軒天を剥がす時に外壁を傷つけてしまうと、工事が更に増えてしまうので慎重に行った。
もちろん道具を持って室内を通る時に内装を傷付けないように注意する。また、外部からハシゴを上げる場合も外壁を傷つけないようにしなければならない。
また、ベランダに重いモノを落として、防水層を傷つけないようにしなければならない。
新築時には、軒天のケイカル板を貼ってから、左官外壁の「シラスそとん壁」を仕上げてあるので、修理は順番が逆になる。
外壁を壊さないように、ゆっくりと素手でケイカル板を撤去した。
次に下地木材を増やして、新しいケイカル板を貼った。
その後、軒天と外壁の隙間を「シラスそとん壁の専用補修材」で補修した。上手くできて良かった。
翌週は塗装工事
翌週の土曜日に、塗装職人に来てもらい塗装しました。
前回と同じように、塗装工事が大切なのはもちろん、塗装の前後に道具で周囲を傷つけないようにするのが大切。
無事に塗装工事も終わりました。
造作下駄箱に穴を開けて下駄箱内の通気を確保して、革靴にカビが生えるのを防ぐ工夫
A-houseでは、下駄箱内の通気が悪く、革靴にカビが発生していると報告を受けていました。
今回は点検時に間違って軒天を壊してしまい、大工工事が発生したので、ついでに大工さんに造作下駄箱に、直径18mmの通気穴を、複数開けてもらいました。この穴でカビが生えなくなるか、様子を見たいと思います。
下駄箱の革靴で、長く使っていないモノには白いカビが生えていることがあると思います。
既製品の下駄箱だと穴を開けるのは難しいですが、造作で造る下駄箱ならこのように穴を開けることもできますから、本体か扉のどちらかに、カビが生えないようにする為の通気穴を開けておくのが良いと思います。
最近の設計・施工例では、下駄箱扉に60パイ程度の穴を開けて、通気しています。
ドッグフードはコレがおススメ。安くて高品質。
絶版から復活したので買いました。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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