【プロ同士の会話】中古住宅を購入してリフォーム(リノベーション)をしたい方に、一言どういうアドバイスをするか?
先日、注文住宅及びリノベーションの編集者兼ライターの方と話をしている時に、
目次
「中古住宅を購入してリフォーム(リノベーション)したい方に、一言どういうアドバイスをするか?」
という話になりました。
ざっくり、アドバイス内容の結論を書くと、
編集者兼ライターの方は、
「中古住宅を買うなら、リフォームする必要がない、もしくはリフォームする箇所のできるだけ少ない中古住宅を買ったほうが良いとアドバイスをする。」とのことです。
私のアドバイスは、
「宇都宮市で中古住宅を購入してリフォームするなら、なるべく中心市街地に近い中古住宅、もしくは郊外なら人が多く住む地域の中古住宅を購入するのが良い。」
と、中古住宅を購入する「地域」のアドバイスをするという話になりました。
住宅のプロ同士の話を、会話形式のブログにします。
詳しく見てみましょう。
注文住宅・リノベーション編集者兼ライター 大菅力さんとの会話
お盆休み前、大菅力さん が、リフォーム施工例の取材&雑談で当社に来られました。
大菅さんは、現在「リノベーションジャーナル」編集長をされている、注文住宅・リフォーム・リノベーション・インテリアの編集者兼ライターです。
最近、ご自宅を、200ミリ付加断熱の新住協仕様で建て替えされ、詳細な付加断熱施工レポートを、工務店業界誌「新建ハウジングプラスワン」で連載したばかりか、
YKKのA-PLUGという、ウェブ上の工務店業界コミュニティで、ご親戚の断熱改修(断熱リフォーム)レポートも掲載中。
全国各地の工務店、建築設計事務所、リフォーム、リノベーション会社の施工例等を詳細に取材しているので、住宅関連業界で、最も情報を持っている1人だと思います。
当社で設計施工したリフォーム施工例も、IS-houseとSS-houseの2軒が大菅さんによって取材され、新建ハウジングプラスワンに掲載されました。
その取材記事は、施主インタビューを中心に、リフォームの背景が詳しくまとめられています。下記をご覧ください。
「リフォームの本音」取材記事はこちら。スクロールして頂くと中間くらいに出てきます。
中古住宅を購入するなら、リフォームする必要のない中古住宅を買ったほうが良いという会話
●私「大菅さんが、中古住宅を購入してリフォーム(リノベーション)したい方に、一言アドバイスするなら、どういうアドバイスをしますか?」
■大菅さん「中古住宅を買うなら、リフォームする必要がない、もしくはリフォームする箇所の少ない中古住宅を買ったほうが良いとアドバイスをすると思います。」
●私「それはよく分かります。中古住宅を購入してリフォーム(リノベーション)をする場合、事前調査しても、実際は壊してみないと下地の状態が分からないことがあるので、リフォーム金額が見積もり段階で確定できないことが多いです。例えば構造(基礎・柱・梁等)がダメだったり、下地の組み方が予想外だったりすると、限られた予算では、予想したリフォームが出来ない可能性もあり、予算オーバーになりがちです。」
■大菅さん「私の自宅も、最初はリフォームで考えていました。長く快適に住むことを考えると、住宅性能(断熱性能・気密性能・耐震性能)が重要になり、大規模なスケルトンリフォームするしかありません。大規模リフォームと新築との差額があまりないことが分かったので、古い住宅を解体して新築することにしました。」
●私「リフォーム(リノベーション)をすると、安くお洒落で、快適な生活が手に入るという世間のイメージがありますが、建物全体を新築並みの性能及びデザインでスケルトンリフォームすると、新築と同じくらいお金が掛かるということを分かっていない消費者が多いです。」
●大菅さん「だから、中古住宅を購入してリフォームをするなら、リフォームする必要のない、もしくはリフォーム箇所をできるだけ少なくできる中古住宅を探すのが一番良いと思います。」
●私「それが一番お金は掛からないと思います。ただしそうなると、新しい中古住宅になりそうなので値段も高く、良い物件を探すのも大変そうです。それにリフォームしないとなると、建物の古さとリフォーム後の新しさをミックスしたような、大規模リフォーム特有の新築には出せないインテリアのオリジナリティは出ません。また中古住宅を買ってもリフォームしない方が多くなると、私も大菅さんも仕事にならないですね。」
※スケルトンリフォームとは、住宅をいったんスケルトン(骨組み・構造体)の状態にして、全面的にリフォームすることを言います。
※リフォームの場合、実際には予算の関係もあり、スケルトンリフォームするのではなく、リビングと水廻りを重点的に断熱改修したり、インテリアリフォームしたりして、メリハリを付けているリフォーム事例も多いです。
宇都宮市で中古住宅を購入してリフォームするなら、中心市街地付近か、郊外なら人が多く住む地域が良い理由
■大菅さん「吉田さんが、中古住宅を買ってリフォームする人に、購入のアドバイスをするとしたら?」
●私「中古住宅を購入する地域については、宇都宮市の場合なら、他県の市町村も同じだと思いますが、なるべく中心市街地に近い中古住宅をおススメします。もしくは郊外なら、人が多く住む地域の中古住宅を購入するのが良いとアドバイスすると思います。」
「近い将来、人口が減り税収がどんどん少なくなるので、税金を掛けて老朽化した道路や橋などのインフラをメンテナンスできるのは、人口の多い地域のみに限られると思うからです。」
この表は宇都宮市が出している「やさしい宇都宮市都市計画マスタープラン」という資料です。
現在の人口分布は、上の表のように中心市街地の人口が減って郊外に広がっていますが、将来の人口分布イメージでは、下の表のように中心市街地か、もしくは人の多い郊外にのみ人が集まるので、そこのインフラ中心に公共投資すると予想されます。
例えば、人の少ない地域の中古住宅を買ってしまうと、道路や上下水道の補修等のインフラ整備も必要最低限になるのではないでしょうか?
上記の表出典
宇都宮市のコンパクトシティ構想が地図になっています。
こちらもご覧ください。
中古住宅を購入してリフォーム・リノベーションする場合の注意点
断熱性能が高めな中古住宅を購入するなら、2003年(平成15年)以降に建てられた住宅がおススメ
●私「断熱性能が高めな中古住宅を購入するなら、できるだけ新しい住宅が良いと思います。」
「戸建木造住宅の場合、2003年(平成15年)以降に建てられた住宅だと、断熱性能もザックリ現在の基準と変わらない住宅が多めです。ただし断熱性能を重視して中古住宅を選ぶなら、矩計図等の図面で確認する必要があります。」
「断熱性能が高い住宅のほうが、冬暖かく夏涼しく過ごしやすい上に、ヒートショック等の心疾患や脳血管疾患にも罹りにくいので、お得です。」
こちらもご覧ください。
中古住宅の断熱性能は年代別にどうなっているのか?一番簡単でお金の掛からない中古住宅の断熱リフォーム方法教えます
中古住宅を購入してリフォームするなら、新築時の図面が残っている住宅が良い
●私「また、平面図、立面図、構造図、矩計図(かなばかりず)等の図面が残っている中古住宅は、きちんとしたリフォーム計画(リフォーム工事の図面作成と見積)が行いやすいので、見積金額と最終金額の差額は生じ難いと思います。」
今日のわかった
・中古住宅を買うなら、リフォームする必要がない、もしくはリフォームする箇所の少ない中古住宅を買ったほうがリフォーム費用は掛からない。、
その理由は、リフォーム工事は、隠れた構造部分の見積が「しにくい」ので、限られた予算では、予想したリフォームが出来ない可能性もあり、予算オーバーに「なりがち」という面があるから。
・ただし、リフォームしないと、建物の古さとリフォーム後の新しさをミックスしたような、大規模リフォーム特有のインテリアのオリジナリティは出ません。
・宇都宮市で中古住宅を購入するなら、中心市街地に近い中古住宅、もしくは郊外でも人が多く住む地域の中古住宅を購入するのが良い。理由は今後も継続してインフラのメンテナンスが行われる可能性が高いから。
・断熱性能重視で中古住宅を購入する場合は、2003年(平成15年)以降に建てられた住宅だと、断熱性能もザックリ現在の基準と変わらない住宅が多めです。ただし断熱仕様は、矩計図等の図面で確認する必要があります。
上記3つの中古住宅価格は高めになる。しかし価格は分かりやすく価値を表すものである。
・平面図、立面図、構造図、矩計図(かなばかりず)等の図面が残っている中古住宅は、きちんとしたリフォーム計画(リフォーム工事の図面作成と見積)がしやすいので、見積金額と最終金額の差額は生じ難い。
この本、宇都宮市にも多い木造賃貸アパートのリノベーションをするのに参考になりそうです。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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