アンビルド Q1.0住宅E-house
2017年3月に設計契約しました、基本設計は完了しましたが、その後、クライアントの都合により、アンビルト=実現しなかった住宅です。
基本設計までをレポートします。
延床面積40.5坪、当社としては大きめの住宅でした。
杉板外壁材を使うことを希望されていたので、杉板の素朴な質感とマッチする、シンプルで普遍的な外観としています。
目次
高性能住宅にふさわしい杉板外壁の素朴な家
宇都宮市の街中、敷地面積約70坪の旗状敷地に建つ、延床面積約40.5坪の住宅です。総2階(37.5坪)+自転車等を置く下屋(3坪)という構成。普遍的で飽きの来ない高性能住宅にふさわしい、シンプルな矩形の外観としました。
旗地の通路以外の敷地が、整形で真南を向いています。1階のLDKと和室、2階の個室を南面させ、冬の日射を充分に取り込み、かつ夏の日差しを軒と外付ロールスクリーンで、簡単に遮蔽できる外観としています。外壁は木製杉板外壁材、いわゆる「板張り外壁」を想定しています。
木の外壁材は工業製品ではないので、廃盤になることが無く、長期に渡って部分的に貼り替えが出来る唯一の外壁材であることが、長持ちする理由です。
外壁の経年変化を気にしなければ、メンテナンスコストも他の外壁材に比べて安く出来ると思います。かつ、木は軽い外壁材なので、合計200㎜を越える厚さの付加断熱下地とも相性が良い外壁材です。
「木の外壁材は短命である」という意見への「反証」
一般的に、木の外壁材は腐るので短命だと考えられていますが、実は全くの逆だと思います。
工業製品ではないので、廃盤になることが無いため交換が効くことが、一番の長命理由です。当たり前の話ですが、外壁材が傷んでしまい、部分交換をしようとした時、廃盤になっていたら、基本的には、部分交換することは出来ません。外壁材全てを貼り替ることになります。
もう1つ、「木の外壁材は短命である」という意見への「反証」として、「神社の外壁材は木で造られていることが多いが、とても長持ちしている」ことも挙げたいと思います。
神社のように屋根の軒を出して、木の外壁材に雨を当てにくくすると、木は乾燥しやすいので木材を劣化させる木材腐朽菌は発生しにくくなり、長持ちしやすいのです。
杉板外壁材はウッドロングエコ塗装として、窯業系サイディングのように外壁塗装を10~15年に1度繰り返して行うことを必要としないコスパを目指しています。
外壁材を窯業系サイディングにすると、住宅ローンを返済しながら、10~15年に1度、ベランダ防水リフォームも入れて200万円以上の外装リフォーム代金を支払い続けることになります。
しかし、それは金銭的にも大変だと思いますので、木の外壁材にしてメンテナンスコストを軽減する提案です。木の外壁材は、雰囲気と景観も良くします。
外壁材の種類と、そのメリット・デメリットについては、こちらのブログに書きました。
1階と2階の外壁の位置を合わせてシンプルな矩形として、壁の直下率を高くして合理的な構造としています。平面が長方形で凹凸が無いので、屋根もシンプルな切妻屋根で谷部分が必要なく、耐久性が高い屋根形状です。
雷雨の多い宇都宮の気候風土に合うように、屋根勾配と軒の出を確保した外観は、雨から建物を守ります。杉板外壁材の貼り方も、全て杉板縦貼り押し縁仕上げで、水キレを良くします。
ご夫婦と小さな子供3人が、ゆとりを持って生活できる間取り
間取りは、ご夫婦と小さな子供3人が、ゆとりを持って生活できることを要望されました。当社にしては大きめの40.5坪の住宅です。
現在子供は2人なので、2人のままなら、2階の1部屋は共用納戸として使用できます。
室内はもちろん、庭も片付く住宅
玄関ドア前には、3帖ほどの平らなスペースがあり、雨が掛かりにくいので、不在でも宅配便の放置が可能。玄関内には乳母車や傘を入れる1帖の土間クロゼットがあり、玄関ホールには、上着等が収納できる1帖のクロゼットを設けました。
1階は、16帖のLDK+6帖の和室を南面に配置。LDKの一部が吹抜けとなっており、2階の主寝室、子供部屋と繋がります。LDKと和室は雨の掛かりにくい「濡れ縁」にも隣接し、庭との距離を近くしています。濡れ縁と2階ベランダには、屋根が掛かっているため、洗濯物が濡れにくく使い易いと思います。
洗面脱衣室にはもちろん、室内の各所にも充分な収納を確保、かつ自転車や冬用タイヤが置かれる物置を下屋としてキッチン脇に設けて、室内はもちろん、庭も片付く住まいを目指しました。
2階は、主寝室、将来間仕切りできる子供室、5.5帖の共用の納戸があります。5.5帖の納戸は、子供部屋としても使える広さでです。屋根の掛かったベランダもあり、洗濯物は1階と2階のどちらでも干せます。トイレは各階1箇所。
付加断熱+床下エアコンで快適空間
「とにかく暖かい家」で「気持ち良く生活したい」というご希望だったので、SI-houseを見学・体感して頂き、同じ基本仕様で設計しています。
壁を合計210㎜の分厚い付加断熱として断熱性能を上げ、基礎断熱+床下エアコンとしました。床下に設置した1台の家庭用エアコンで、隅々まで暖かい室内を実現しています。
旗状敷地の為、隣家との関係性も、上記の模型で検討しました。

上記の外観パースは、上が全面杉板外壁材、下がガルバリウム鋼板外壁材と杉板外壁材のコンビバージョンです。
概要
■所在地: 栃木県宇都宮市
■敷地面積: 約70坪
■延床面積: 134.14㎡(40.5坪)
■屋根: ガルバリウム鋼板立ハゼ葺き
■外壁: 杉板外壁材貼り、ウッドロングエコ塗装
■室内壁:漆喰
■天井:ラワンべニア自然塗料仕上げ、漆喰
■室内床:パインフローリング
■玄関ドア:木製高断熱玄関ドア

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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