2016-08-23
Q1.0住宅宇都宮三番町の家 SI-house(宇都宮市 三番町)
高断熱・高気密住宅

付加断熱は特に雨漏りに注意すべき

雨漏りは壁からが多い

雨漏り事故グラフ

出典 雨漏りの原因はシンプルモダンにあった

 

表を見ると住宅の瑕疵事故の9割近くが雨漏りで、雨漏りした箇所の7割は外壁であることが分かります。屋根からの雨漏りは以外にも少ないです。付加断熱の住宅を施工して、特に雨漏りに注意すべきだと感じたのでブログを書きます。

 

雨漏りについては、以下のブログも書いたので良かったらご覧ください。「軒ゼロ住宅」とは壁から屋根の出っ張りが無い四角いキューブ型の住宅です。住宅の商品名に「○○キューブ」とついていると、相当詳細に外壁下地の防水施工していないと、ヤバいと思います。オールアバウトで取り上げられています。

「軒ゼロ住宅」が抱える5つの雨漏りリスクという記事について考える

 

付加断熱の窓廻りは面材が無いので、防水テープの密着部分が少ない
窓廻りタイベックフラッシングシートとストレッチガード

付加断熱した後は、窓廻りの付加間柱に水切り材のタイベックフラッシングシートとストレッチガードを施工。

 

付加断熱を施すと外壁の断熱材の厚さが225㎜となる。普通の住宅の壁厚は、約半分の105㎜程度なので、壁厚が倍になる。壁が厚くなり、サッシも重い樹脂サッシとなると、重いサッシを漏水なく確実に取り付けるということで、開口部廻りの納まり(おさまり)も、普通の住宅とは変わってきます。付加断熱を施工する前から、特に窓廻りの防水は注意しなくちゃなと思っていました。

 

※納まり(おさまり)とは・・・例えば、壁と床が接する部分を、壁と床の「取り合い」といい、そこをどのような形にするかを「納まり」という。

 

普通の住宅の場合、窓を設置するのは、構造体である柱の外側に貼った耐力面材(ダイライト)になるので、ダイライト面にテープが密着でき、面材という下地の板があるので、防水テープ等も貼りやすいです。

 

付加断熱住宅の窓廻りが、普通の住宅と違うのは、窓を設置する面(窓をビス留めする面)が3㎝厚の付加間柱になるということ。ダイライト等の面材がなく、防水テープの密着部分が少なくなるので、注意する必要があると感じました。

 

今回、窓下部分はデュポンの水切りシートタイベックフラッシングシートとストレッチガードを使い窓廻りからの漏水対策をして、窓廻りは両面ブチルテープを施工しました。

 

西方先生の本によると、窓廻りは気密・断熱パッキンの「マドエース」を使用しているようです。メーカーのWEBをみたら、透湿防水シートを固定するためだと思いますが、別途防水テープも貼るようになっていました。「マドエース」は防水効果もありそうなので、本当は防水テープが省略できるとシンプルだと思いました。窓廻りの防水テープが省略できるならマドエース使いたいです。知ってる人教えてください。

 

タイベックフラッシングシートとストレッチガード施工方法

 

マドエース

 

 

窓廻りタイベック施工

窓廻りに両面ブチルテープを貼り、その上にタイベックを貼る。タイベックはフラッシングシートの下とする。窓廻りの防水施工完了。

 

そのあと、透湿防水シート「タイベックハウスラップハードタイプ長さ3m」で建物をぐるりと施工しました。今回初めて透湿防水シートで3Mのサイズのものがあると知りました。継ぎ目が少なく出来るので、漏水しにくくなります。通常の透湿防水シートの幅は1Mです。在庫しておくのはがサバります。

 配管スリーブ廻りとコンセント廻りの断熱・気密・防水

 

スリーブ廻り1

エアコンや換気スリーブ廻りは、外壁に穴を開けることになるので、出来るだけ気密性と断熱性が確保できるように自作しました。直径150㎜がキッチンレンジフード2箇所。100㎜が換気システムとユニットバス等で4箇所。65㎜がエアコンの3箇所で、合計9箇所造りました。手造り感満載です。

 

スリーブ廻り2

はみ出たウレタンをカットして、充填断熱材を入れる前にスリーブ施工

 

エアコンや換気スリーブ廻りは壁に穴を開けるので、配管用気密部材「ドームパッキン無孔」で配管廻りの気密及び防水の処理をしました。「ドームパッキン無孔」は、いろんな穴径に合わせてカッターで切って施工できるので便利です。

スリーブ廻り防水

配管スリーブを外部から見たところ。配管用気密部材「ドームパッキン無孔」で配管廻りの気密及び防水の処理

 

これは付加断熱住宅ではなく、普通の充填断熱の住宅でも行っていましたが、確実に施工しやすく必須だと感じました。

 

コンセント気密カバー

コンセントとスリーブ廻りの気密施工

 

コンセント廻りもコンセント気密カバー「バリアボックス」で気密性を確保します。

 

配管用気密部材「ドームパッキン無孔」日本住環境

 

コンセント気密カバー「バリアボックス」日本住環境

外壁からは様々な配管や配線が出るので、1箇所ずつ確実に防水する
電気引き込み部下地

電気引き込み部下地は下地を造り

電気引き込み部防水

このあとドームパッキンから飛び出た配管廻りをシールして防水完了

 

外壁に照明が1箇所付くと、防水シートに穴を開けることになるので、1箇所ずつ防水施工が必要になります。

 

外壁下地の漏水防止確認は、透湿防水シートの連続性

外壁下地完了

 

外壁材を貼る前には、透湿防水シートが連続して貼られているかを確認して漏水しそうな箇所が無いかを確認します。外壁材のガルバリウム鋼板を縦貼りするので、通気胴縁は横に設置し、通気胴縁の下地になる付加間柱も横に設置しています。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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