2015-05-11
本・映画

スタジオ・ジブリの哲学から「人はどのようなものを美しく感じるか?」を考える

コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと住宅の造り手として、とても腑に落ちた本がありました。

本は、「コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと」川上 量生著

 

「人はどのようなものを美しく感じるか?」

「人が対象物をどのように見て評価しているか?」が書かれている本です。

物づくりをしている人にとっては、必見の本だと思います。

 

私は住宅屋なので、「お客さんや見込み客が、住宅をどう評価しているのか?」

「住宅をどのように評価して依頼先を決めているか?」はとても興味があるところです。

 

アニメと映画について書かれていますが、住宅やその他の物づくり全般に、ほぼそっくり置き換えられる内容です。

 

気になった部分を書き出してみます。

 

分かりやすいものは美しい

私も分かりやすいものは美しいと漠然と感じていたのですが、「何故、分かりやすいものが美しいと感じるのか?」の理由を言葉にできませんでした。しかし、答えがこの本にありました。

 

人間とは、「分かりやすい」ものが「いい」コンテンツだと思うのではないでしょうか?

おそらく、人間の脳には、対象物の法則性を認識し、複雑なものを簡単な要素に分解できたときにうれしくなる回路が存在していて、それがコンテンツを「いい」と思ったり、「美しい」と思ったりする根源なのではないでしょうか。

 

人間の脳は、複雑なものを、そのまま理解できない。もっと簡単な要素に分解しないと、脳にイメージをつくれないのです。

 

 

ただし、分かりやすいものはワンパターンになり、消費者に飽きられるのでパターンをずらす必要がある。

 

パターンは消費によって陳腐化するので、パターンをずらす

「分かりそうで分からないもの」に興味を持つという人間の性質は、進化のうえで生き残りに有利だったから、身についたんじゃないか。その性質を利用して生まれたのがコンテンツだという仮説です。

 

コンテンツのパターンが陳腐化しないための必要条件として、「分かりそうで分からないもの」になっているかはどうかといのは、ちょうどいい判断基準。

 

住宅の観方、造り方にも、そっくりそのまま当てはまります。

主観と客観を行き来して、どのように物作りをしたらよいかが書かれている本だと思いました。

内容が深いので、一度では理解できない箇所も多いです。何回か読み返したいと思います。

電子書籍のキンドルだと700円。内容が濃くてお買い得。紙の本より395円安いです。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

この記事をシェアする
コメント