青源味噌様 創業400周年記念式典で感じた老舗企業の極意―「壊しながら、創り続けるということ」―

2025年11月13日(木)13時から、宇都宮のライトキューブ宇都宮にて開催された「青源味噌様 創業400周年記念式典」に参加しました。
青源味噌様は江戸時代から続く老舗企業です。味噌を軸に、平成には餃子や甘酒、令和には味噌蔵に棲み着いた植物性乳酸菌を使った飲料など、多様な発酵食品を手がけています。地元・宇都宮では親しみを込めて「青源さん」と呼ばれています。
青源さんの本社と工場は、1昨年まで私たちの会社と同じ町内(宇都宮市三番町)にありました。私の曾祖父の代からご縁があり、社屋の修繕工事をはじめ、現在は社長のご自宅のリフォーム工事もお任せいただいています。
400年もの長い間、企業として存続し続けてきたことは、まさに驚異的と言えます。「なぜこんなにも長く続けられるのか?」当日は非常に有意義な講演が続きましたので、その要点をまとめてご紹介します。
目次
「壊しながら創る」―青源の歴史は挑戦の連続

まずは青源味噌・青木社長の講演です。400年に渡る自社の歩みを振り返りながら、変化を恐れず挑戦を続けてきた歴史について語られました。
青源は、江戸時代の寛永2年(1625年)に米問屋として創業しました。明治時代初期には味噌製造専業へと業種を転換し、足尾銅山への独占的な味噌納入により事業を拡大。平成に入ってからは、宇都宮の餃子ブームに合わせて餃子や甘酒の製造販売を開始。宇都宮駅で最初に餃子を販売したのも青源さんでした。
令和の現在では、味噌蔵に自然発生した植物性乳酸菌を活用した健康飲料の製造も行っています。
その道のりには困難もあり、2度の火災でほぼ全焼するという危機も経験しましたが、その都度新たな道を切り開いてきたとのことです。
社長は「常に新しいことに挑戦しようという気持ちを持っていた」と語ります。それは、既存のやり方に固執せず、ときに刷新し、ときに手放すことで、次のステージを築いてきたということです。まさに「壊しながら創る」姿勢です。
ダーウィンの進化論にある「最も生き残るのは、最も強い種でも賢い種でもなく、変化に最も適応した種である」という言葉の通り、青源さんは時代の変化を読み取り、大切な軸(味噌と発酵)を守りながらも、柔軟に変化を取り入れることで、会社を進化させ続けてきたのです。
動的平衡は生き物の概念だが、会社経営にも当てはまるという話

続いて登壇されたのは、青木社長が大きな感銘を受け、講演を依頼された生物学者・福岡伸一先生です。先生は「動的平衡(どうてきへいこう)」という概念を紹介されました。
動的平衡とは、「生命とは、常に変化し続けながら、あたかも安定しているように見える状態」のこと。たとえば人間の体は、食事によって細胞が再生され、不要になった細胞が排出されるという、絶え間ない変化が起きています。それでも私たちの姿や機能が維持されているのは、その変化のバランスが保たれているからです。
例えば人間のうんちは、消化された食べ物のカスだけでなく、不要になった体内の細胞もうんちに含まれています。人間を初めとした生き物は、食べることで細胞を再生して、壊れた細胞も排出して生きている。当然、食べ物の質は重要であり、良い食べ物と健康は繋がっているという話です。
動的平衡の概念は、生き物だけでなく、企業の経営にも当てはまります。つまり、変化を止めた瞬間に崩れてしまうが、動き続けていればこそ安定する。青源味噌の400年の歴史も、まさにこの「動的平衡」の中で築かれてきたのです。
江戸時代、寛永2年(1625年)から続く400年の長い歴史の中で、時流によって、破壊と創造を迫られて存在し続けている青源さんと、福岡先生の動的平衡の理論が似ているのが分かります。
小冊子によると、青源さんは創業400周年を迎えた今もなお、「諦めない」「投げ出さない」「変化し続ける」という姿勢を掲げ、500周年に向けての歩みを始めています。
まとめ

この式典を通じて、長く続く企業の本質を学ぶことができました。それは、「過去に固執せず、変化と新しいことを行うことを恐れず、変化の中にこそ本質がある」というメッセージでした。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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