施主から「あえてキッチンのレンジフードを付けない」などの、換気扇に関する3つの提案がありました
先日、Q1.0住宅 小幡の家に伺って、施主と、部屋の温度や湿度について話をしていた時に、「あえてキッチンのレンジフードを付けない」などの、換気扇に関する3つの提案がありました。
目次
あえて、キッチンのレンジフードを付けない提案
施主から「IHの場合は、レンジフードを付けなくても良いのでは?」という提案がありました。
Q1.0住宅小幡の家のキッチンは、IHヒーターで同時給排型レンジフードを付けました。しかし、レンジフードを点けなくても、問題無さそうとのこと。法律で設置が義務付けられている「24時間換気システム」が動いているので、2時間に1度、家の空気は入れ替わり、キッチンの匂いも無くなるからです。
一方、ガスコンロの場合は、コンロを覆う形で、レンジフートの設置が必要です。ガスコンロは、二酸化炭素はもちろん、不完全燃焼すると一酸化炭素も発生するので、それらを家の外に排出する目的で設置が必要です。
IHはガスコンロに比べ、上昇気流が発生しにくい。そのため、炒め物などをしても、比較的油や匂いの拡散が少なく、周囲が汚れにくいことも、「レンジフードは必須では無いのでは?」と考えられる理由です。
レンジフードを取り付けない場合のメリット・デメリット
レンジフードを取り付けない場合のメリットは、レンジフードの材料費と取付工賃が無くなり、キッチン換気扇の掃除手間も無くなること。かつ、レンジフードが無い場合、調理の湿気が排出されないので、冬は室内の加湿器代わりにもなります。
しかし、レンジフードを取付しない場合は、デメリットもありそうです。レンジフードは、料理した油の一部も回収しています。IHが上昇気流を発生しにくいとはいえ、料理で使った油が周囲に跳ねて、長い間には、IH周辺の床・壁・天井が油で汚れるかもしれません。また、少し離れたエアコンの給気口まで汚れる可能性もあると思います。かつ、匂いの強い、ニンニクやお酢を使った料理を、複数回行うと、レンジフードが無いことによって、匂いも残りやすい。夏にレンジフードが無い場合は、調理の湿気が室内に拡散しやすくなるので、冬とは逆に、湿度が上がることもデメリットになりそうです。
ちなみに、「キッチン換気扇・レンジフードを取り付けないで暮らす 高断熱高気密住宅」と検索したところ、レンジフードを取り付けていない工務店もありました。上手く行っているようなので、「キッチンのレンジフードを取付しないこと」も、考えてみる価値はありそうです。
https://s-sora.com/rangefood-koukimitu-koudannetsu/#index_id7
高断熱・高気密住宅の標準仕様である、同時給排型レンジフードのメリット・デメリットとは?
高断熱・高気密住宅は、同時給排型レンジフードを付けるのが一般的です。給気と排気を同時に行うレンジフードです。
高気密住宅で、一般的な排気のみのレンジフードを使用すると、給気はしないため、室内が負圧になり、建物の隙間から、外気が入りやすくなります。しかし、同時給排気型レンジフードは、給気を同時に行うため、室内の負圧を解消し、室内の空気を安定させることがメリットです。
同時給排型レンジフードのデメリットは主に4つあります。
1.外壁に給気と排気の、それぞれ直径150mmの穴を2本開けて配管をしますが、大きな丸穴が2つ開くことになるので、断熱性能と気密性能が落ちることです
2. 同時給排型レンジフードは、冬には外の冷たい空気を室内に入れて、せっかく暖房及び加湿して整えた、室内の暖かい空気を排出するのがもったいないこと。夏には外の暑く湿った空気を室内に入れて、せっかく日射遮蔽や冷房を行うことで整えた、室内の涼しい空気を排出するのでもったいないこと
3.上記により室温が変化すると、エアコンが稼働するので、電気代も、もったいないこと
4.給気の時に、花粉を室内に入れてしまうこと
結果として、高断熱・高気密住宅には「室内循環型レンジフード」が良いと思った。メリット・デメリットを検討してみる
結果として、IHを使う場合の高断熱・高気密住宅のレンジフードは、外部に給排気しない、室内循環型レンジフードが良い気がします。
まだ使ったことが無いので、メリット・デメリットを検討してみます。
下記が、富士工業株式会社の「 IHクッキングヒーター専用 室内循環フード」です。
https://www.fujioh.com/rk/index.html
循環型レンジフードとは、調理時に発生する汚れた空気を、フィルターを通過させて綺麗にして、室内に排気してしまうレンジフードです。一般的なレンジフードと異なり、建物の外部との換気は行われないため、次のようなメリットがあります。同時給排型レンジフードのデメリットを補うメリットがあります。
- 建物の外部との換気は行わないので、給気と排気による熱損失がない
- ダクト工事が不要になるため、天井裏の配管計画をする必要がなく、キッチンのレイアウトを自由に行うことができる。
- 外気を取り入れることなく調理を行うため、花粉や汚れた空気を室内に持ち込むことがない。花粉症の人には、とても利点がある
- 外に排気しないため、近隣への、匂いによる迷惑を無くせる
- 排気により外壁を汚さない
循環型レンジフードのデメリットは
- レンジフード自体の価格が高い。ザックリ定価で、同時給排レンジフードの倍以上の価格
- フィルター代が掛かる。
- 今、ネットで調べた範囲では、各キッチンメーカーの仕様に無い。そのためキッチンメーカーは本体取付は行わない。電気業者もしくは大工等に本体取付依頼が必要
- ガスコンロには使えない
※ガスコンロの場合は、循環型レンジフードは使用できません。ガスコンロは、外部に換気するレンジフードが必要。ガスコンロを使用すると、二酸化炭素が発生し、不完全燃焼すると一酸化炭素が発生しする危険性があるからです。
富士工業の室内循環型レンジフードは、フィルター交換が、要点になりそうです。
室内循環型レンジフードのフィルターのメンテナンスについては、以下に注意して、定期的に行う必要があります。
- お客様ご自身でフィルター交換を行わず、専門の技術スタッフにご依頼ください。となっている
- ●脱煙フィルター/脱臭フィルター/エアフィルター/ファン 約3年
●油吸着フィルター 約12年 - メンテナンスが滞った場合、油吸着、脱煙、脱臭性能が落ちるおそれがあります。
- 交換・回収・処分は下記理由により当社が指定した専門の技術スタッフがおこないます。
①フィルターが重く、設置場所が高い(DDHL-RK、ALBL-RKは除く)
②油吸着フィルターの清掃
③本製品点検(動作確認)の実施
富士工業 「IHクッキングヒーター専用 室内循環フード」は当社の高断熱・高気密住宅と相性が良さそうなので、標準仕様として取り入れたいと考えています。
ユニットバスに換気扇を1個プラスして、冬は湿気を外に排出せず、室内に取りこんで加湿する
Q1.0住宅 小幡の家では、冬に加湿をするため、写真のように、ユニットバスに残り湯をして、脱衣室に置いたサーキュレーターで拡散しています。加湿された室内の様子はこちら。
しかし、写真のサーキュレーターの代わりに、ユニットバス天井に換気扇を1個プラスして、室内側に配管して排気口を設けて、ユニットバスの湿気を、冬は室内に拡散して加湿するのが良さそうだという話になりました。
夏は、ユニットバスの湿気を、通常のように外に排気して、冬は室内に排気して加湿するという意味です。そうすれば、写真のようにサーキュレーターを床に置く必要が無くなって便利だと思いました。
加湿をするには大型加湿器を置くのが一般的ですが、大型加湿器は、W450×D400×H450くらいの寸法があります。既に大きめの空気清浄機が複数台設置され、置き家具も多めに設置されているお宅では、「大型加湿器を置く場所が無い」「できれば大型加湿器を置きたくない」と考える方もいらっしゃると思います。ですから、これは良いかもしれないと思いました。
もしくは、吹抜けと繋がった1階ダイニングと2階リビングの各階に、1台ずつ、上記程は大きくない加湿器を置いたほうが、理想的絶対湿度と言われる11g/㎥以上にはなりやすいと思いました。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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