建築のプロでも、塗料の付いたウエスの不始末で、火災を起こすことがあります!施主が自分で、自然塗料を塗る場合も、自然発火により火事になる可能性があるので注意!
8/2(金)昼の12時3分、宇都宮市の小堀材木店の営業担当、関口さんから、「【こぼり通信】【重要】オイルによる自然発火」という題名のメールが来ました。
小堀材木店さんからは、第1種換気システムの「澄家」を購入しており、だいたい1~2か月に1回、【こぼり通信】というメールが送られて来ます。
通常、そのメール内容は、宇都宮市内や他県で行う、工務店経営者を対象にした、高断熱高気密住宅や地域工務店ブランディングのセミナー等の案内です。
8/2のメールは、「【重要】オイルによる自然発火」という、少しドキッとする題名でした。
早速読んでみると、内容は「自然塗料が染み込んだウエス(布)が自然発火して、知り合いの地域工務店の倉庫が全焼してしまった。各工務店経営者も、行いがちな行為が、建物の全焼を引き起こした。造り手側だけでなく、施主が塗装する場合も多いので、同じように注意喚起してください」という内容でした。
メールを頂いた後、直接、関口さんに電話して、火災の状態を詳しく聞きました。
私も、自然塗料が付いたウエスや段ボールなどが、自然発火することは知っていたにも関わらず、当時、塗装工事の最中であったQ1.0住宅 小幡の家で、うっかりして、完全に同じ間違いをしていました。
なので、その塗料が付いたウエス写真を添付して反省し、今後気を付けようと思います。
目次
自然発火とは?
自然発火とは、火を付けていない、何もしていない状態で、モノが自然に燃え出すこと。
例えば、今回のように、塗料やワックスなどの油類は、酸化反応することで発熱して、自然に出火する可能性があります。
また、ペットボトルに入った水に太陽光が集まり虫眼鏡のようになって、周りのモノが出火する可能性もあります。
塗料の付いたウエスの自然発火による火災事例!届いたメール全文を添付します
【こぼり通信】 オイルによる自然発火
㈲ヨシダクラフト 吉田武志 様
いつも大変お世話になっております。小堀材木店の関口です。
皆様ご存じのことになりますが、改めてご注意ください。
先ほど仲間の販売店から共有があり、身近で自然発火による火事起きてしまったと聞いてとても恐ろしく感じます。ご注意いただきたいと思っての配信です。
先程、自然塗料使用時に自然発火により火災に見舞われてしまったとの情報が入りました。
自然塗料を使用中、使用済みのウエスを一旦倉庫に保管していた間に自然発火し、火事に見舞われてしまったとのことです。
幸いけが人や近隣への影響もなかったとのことですが、残念なことに資材倉庫はほぼ全焼となってしまいました。
↓↓
オイルがしみ込んだウエスは空気中の酸素により自然発火をする恐れがあります。
→オイルは酸素に触れると酸化し熱を発します。
温度が高いと更に熱エネルギーが増幅します。
密度が高いほど熱がこもるので発火に繋がります。
自然発火の予防方法
・使用済みのウエスは山積みした容器やビニール袋にまとめたりしない。
・使用後は必ず水に浸してから処分するか焼却処分する。
・ウエスをすぐに焼却しない場合は水を十分に入れた容器に沈めてふたをし、水が蒸発しないように注意する。
特にこの時期(夏の暑い時期)はご注意が必要です。
塗料メーカー各社のカタログには必ず注意喚起がなされていますので、改めて注意事項をご確認ください。
参考までに、弊社が代理店をしているリボスは、処理方法についてこのように記載しています。
オイルステインなどの自然塗料は、塗料自体が常温では発火することはありませんが、塗料が付着した可燃物や塗料カスなどが自然発火する可能性があります。
塗料やワックスなどの油類が自然発火する原因は、酸化反応によって熱が発生し、それが蓄積されて高温状態になることです。自然発火するには、酸素、温度、密度の3つの条件が重なる必要があります。
自然発火を防ぐには、次のような点に注意しましょう。
- 塗料が付着した可燃物(ウエス、段ボールなど)や塗料カスは、速やかに焼却処分するか、容器に入った水に浸して処理する。
- 塗装やふき取りに使用したウエスや布は、そのまま山積みにしたり、樹脂容器やビニール袋に入れたまま放置しない。
- 重ならないように乾かす。
- 温度の高い状態で放置しない
私もQ1.0住宅小幡の家で、自然塗料オスモの染み込んだウエスを高温の室内で放置していました
この写真のウエスは、塗装職人が塗り忘れていた箇所を、私が塗装するために使ったものです。
ウエスは、また使える状態なので、水に付けて処分するのはもったい無いと感じて、そのままの状態で、階段下の収納の中に塗料と一緒に入れていました。
メールを読んで、慌てて処分しました。
さすがに、プロの塗装職人なら、発火の可能性がある、塗料が染み込んだウエスを、そのままの状態にしておくことは、少ないと思います。
しかし、自然塗料は以下のような理由で、塗装職人でなく、現場監督や施主が塗ることも多いので、注意が必要だと思いました。
全ての工事の中で、自然塗料(オイルステイン)を使った塗装作業のみが、職人に頼らず、現場監督や施主が出来る唯一の工事であるから、自然発火に対する注意が必要
職人でない、いわば素人の現場監督や施主ができる唯一の工事が、自然塗料(オイルステイン)を使った塗装である。
理由は、誰でも出来る工事だから。一方、大工工事、電気工事、設備配管工事、重機を使った基礎工事などは、素人では出来ない。
具体的な作業内容は、自然塗料(オイルステイン)を、刷毛やウエス使って、フローリングや板塀・板張り外壁に塗ること。
その時に、一番手間が掛かって難しいのが、塗装前のマスキングテープなどを使った養生である。塗装前に、塗りたくない部分にテープなどを、あらかじめ被せておく養生作業が、塗装より何倍も手間が掛かる。
室内で使われる「透明な自然塗料」は、色が付いてないから「塗りむら」も目立たないので、特に作業しやすい。
外部の板塀や板張り外壁で使う、色の付いた塗料も、手間の掛かる、塗装前の養生をキチンと行えば、そんなに難しくない。
自分でやれば、コスト削減になるので、自然塗料(オイルステイン)を使った塗装は、施主や現場監督が行うことが多いのである。
しかし、今回の私のように、塗装業者の代わりに、自然塗料を使うこともある工務店の現場監督は、発火の可能性を知ってはいても、うっかりしがちである。
施主は、発火の可能性を知らないかもしれないし、知っていても私と同じように、うっかりしてしまうかもしれない。
塗料による自然発火の一番の原因は、ウエスを処分するのがもったいないと感じてしまうこと
塗装する時に、ウエスは必ず使います。ウエスに塗料を染み込ませて塗ったり、ウエスで手を拭いたりするからです。
通常ウエスは、1回程度使ったくらいでは、また使える状態なので、水に付けて処分するのは、もったい無いと感じて、そのままの状態で保管して、再度使いたくなります。
それが、自然発火の一番の原因だと思うので、もったいないと感じても、水に浸して捨てる必要があると感じました。
改めて、自然塗料(オイルステイン)の自然発火を防ぐ方法を書いておきます。
自然塗料(オイルステイン)の自然発火を防ぐ方法
- 塗料が付着した可燃物(ウエス、段ボールなど)や塗料カスは、速やかに焼却処分するか、容器に入った水に浸して処理する
- 塗装やふき取りに使用したウエスや布は、そのまま山積みにしたり、樹脂容器やビニール袋に入れたまま放置しない
- 重ならないように乾かす
- 温度の高い状態で放置しない
主なオイルステインメーカーの自然発火に対する注意喚起はこちら
- キシラデコール
https://www.xyladecor.jp/faq/faq04.html
- オスモカラー
https://osmocolor.net/news/2018-10-21.html
- リボス
- 日本ペイント→自然発火する塗料と対策については、日本ペイントのWEBが一番詳しい
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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