2024-09-12
Q1.0住宅 宇都宮小幡の家(宇都宮市)
高断熱・高気密住宅

Q1.0住宅小幡の家、完成引き渡ししました

9月6日(金)、Q1.0住宅小幡の家、完成引き渡しをしました。

完成した内外観をスマホで撮りましたのでアップします。落ち着いたら、プロカメラマンを入れて撮影予定。

高性能住宅では珍しい、下屋が2つある外観

1階で生活を完結したいという、施主の要望を整理して造った外観です。1階に水廻りと個室があるので、1階の方が2階よりも床面積が大きくなり、1階に下屋が出来ています。

高性能住宅では比較的珍しい、下屋が2つある外観になりました。通常、高性能住宅は、主に性能面とコスト面から、凹凸の無い、真四角な総二階にすることが多いです。

高性能住宅を、真四角な総二階にする理由は主に5つ。

1.断熱気密を含んだ施工面積を少なくできること

2.施工がしやすく、手間が掛からないこと

3.上記2つと密接に関連するコストも、総二階のほうが安く済むこと

4.下屋のある住宅と比べると、総二階のほうが外皮面積を少なくできるので、温熱環境も有利になること。

5.下屋のある住宅と比べると、総二階のほうが、冷気と暖気を移動させやすいし、冷気と暖気及び換気のダクト配管もしやすい

しかし、Q1.0住宅小幡の家では、温熱性能による快適さはもちろん、とにかく1階のみでも生活が完結する、使いやすい間取りが求められたので、下屋のある住まいとなりました。

間取りによる使い勝手の良さと、適切な収納により室内を散らかりにくくして、アートの展示と片付く室内が両立できる設計をしました。

高性能住宅は、LDKの収納が少なくなりがちなので、注意が必要

高性能住宅の場合、南面の窓を大きくて、冬に日射取得できる暖房窓とすることが多いです。結果として、窓が大きく多めになるので、通常、南に面するように配置される、リビングとダイニングには収納が設けにくいということになります。

かつ、南面の窓が大きい為に、南面の壁に垂直に交差する壁にも、収納が設けにくいという、「高性能住宅の南側のLDKには収納が少なめになるという問題」が起こりがちです。

しかし、何としてもそれを回避しないと、室内が散らかる、住みにくい家になってしまいますから、今回も意識して収納を設けました。

話がそれましたが、下屋が2つあると、総二階と比べて、様々な施工面積が増える上に、気密も取りにくいのですが、後述するように気密試験も、悪くない数字を出しました。

北西から建物を見る。駐車場は交差点から一番遠くにして、停めやすさを確保。使いやすい間取りの原点が駐車場の位置
北側に庭を設けた。植栽があると家が引き立つ。玄関ドア廻りの壁は杉板貼り。ポストは杉板と同じ茶色
北東から建物を見る。外壁材はガルバリウム鋼板、角スパンドレル。一般的なガルバメーカーの部材より断面の凹凸が大きいので、外壁材に陰影が出来る
窓の外側には日射遮蔽部材「外付電動ブラインド」ヴァレーマを付けて、冷房を効きやすくしている

アートの展示と、片付く室内の両立を目指した室内

特に散らかりやすい共用部分の玄関、ダイニング、リビング、脱衣室、トイレの5か所には、いつものように適切に収納を設けて、片付く室内を目指しました。

また、室内の各所には、1mから4mまで、それぞれ適切な長さの、15本のピクチャーレールと棚を設けて、施主の娘さんの、素敵なアートが展示される住まいになりました。

8/28に約9時間かけてご自身の作品を展示しました。プレーンな白い漆喰の壁天井に作品が映えます。

玄関ホールから廊下を見る。階段と廊下の手摺は、家具と家電の搬入時に外せる仕様とした。
家具と家電の搬入後で、手摺を取り付けた
手摺受けを下から見たところ。キャップを外してビスを外すと手摺が撤去できる仕様とした
玄関とホールを見る。扉には姿見。丸穴は靴のカビ防止で設けている

合計2畳の広くない玄関と玄関ホールに、いつもの丸穴付の大きめな収納を造り付けました。収納内には、靴の他に、衣類を掛けるハンガーと、扉の内側に15本以上は掛けられる傘掛けがあります。広くはないが、モノが出ることが少ない玄関になったと思います。

トイレにも収納を設けている

冷暖房

エアコンは、見積時には2階リビングに主に冷房に使う10畳用を1台、暖房用は、1階床下に10畳用のエアコンを1台の合計2台で計画しました。

引き渡し間際に、補助用として、冷房用の2階のエアコンから一番遠い、1階の旦那様の個室に6畳用のエアコンを1台追加しました。吹抜けの位置が、建物の真ん中ではなかったので、外気温が35度を超えるような日には、2階エアコンの冷気が1階の一番遠い部屋には届きにくかったためです。

エアコンの台数は、1台のみとか、2台のみにこだわらず、小さなエアコンを1台増やすのも、合理的な選択だと思いました。

キッチンからダイニングを見る。真ん中の床面にあるのが床下エアコン。ダイニングにも適切に収納を設ける必要がある。
吹抜けのあるダイニングからキッチンを見る。特にダイニングテーブル廻りに十分な、造り付け収納を設けると、室内が片付く可能性が高い
2階リビング。西側を見る。床材は幅165ミリ×厚さ30ミリの地元八溝杉のフローリング
吹抜け見下げ。窓枠とドア枠も地元の杉
2階リビング東側を見る。ミニキッチン左に主に冷房用のエアコンが見える。アートと照明が綺麗。
2階リビング。収納は造り付けたので、持ち込み家具は、ダイニングテーブルと椅子とベットくらい
1階物置。このような物置があると、自転車やタイヤ、ゴミ箱を置けるので便利

気密性能試験結果

隙間相当面積C値は0.4でした。気密が取りやすい総二階の住宅ではなく、下屋が2つある住宅で、C値0.4です。悪くない数値だと思います。家全体で、年賀状の1/3くらいの隙間です。

Qpexによる温熱計算結果

Q値0.92。UA値0.29。暖房負荷16.4kwh/㎡。

Q1.0住宅レベル2でした。

次世代省エネ基準住宅から、マイナス76.3%(100%-23.7%=76.3%)の暖房エネルギーの住宅になります。

下記にQ1.0住宅の各レベルについての説明をリンクします。

Q1.0住宅のレベルについて

室温20℃の全室暖房で、120㎡モデルプラン住宅において、省エネ基準住宅の暖房エネルギーを計算し、それに比べて対象住宅のQPEX計算値が、表のパーセンテージ以下であることで、レベルを決めている。

Q1.0住宅のレベルについては、下記リンクのQ1.0住宅をクリックしてください。

冷暖房容量を想定できる設備容量計算シート

冷暖房容量を想定できる、設備容量計算シートを見ると、計算上は、暖房1552.1W(1.55KW)、冷房1608.7W(1.61KW)以上あれば良いので、暖房・冷房共に、2.2KWの6畳用エアコンが1台あれば、良いということになります。

見積時の計画では、余裕をみて、暖房用で10畳用のエアコンを床下暖房で1台と、主に冷房用で、2階リビングの吹抜けの前に、10畳用のエアコン1台の、合計2台採用しました。

暖房用の床下エアコンは三菱エアコンの霧ヶ峰の値段の高くない機種をワイヤードリモコン仕様で、壁に設置した固定リモコンで室内温度を感知しています。冷房用の2階リビングの壁付けエアコンも、日立エアコンの高くない普通のもの。

ただし、吹抜けが住宅の真ん中ではなく、端っこだったので、一番遠い1階の個室には冷気をイマイチ送ることが出来ず、引き渡しの直前に6畳用のエアコンを補助的に付けて、より快適さを増しました。

床下エアコンから遠い個室は、暖気をブースターファンで吸い上げる

暖房用の床下エアコンは、今回個室から遠い位置に設置することになったので、各個室の床ガラリには床下の暖気を吸い上げる「ブースターファン」を設置して、暖かい個室になるようにしています。

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各個室の床ガラリには、床下エアコンの暖気を吸い上げるファンを設置した。
吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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