Q1.0住宅に「大工と建具屋で造る5つの定番造作家具」で使いやすさと持続性をプラスする
SH-houseは断熱・気密工事が完了して、これから仕上げ工事に入ります。
それに先立ち、高久大工は、本日と明日は、自分の作業場で造作材の加工を行っています。
造作材の加工とは、窓枠や建具枠、吹抜手摺等の表面に見えてくる仕上げ木材を加工することですが、その中には「大工と建具屋が造る家具の加工」も含まれます。
「大工と建具屋で造る造作家具」とは、基本的に大工が「箱と棚」を造って、建具屋が「扉」を付けるスタイルの造り付け家具です。
今日のブログは断熱・気密工事が終わり、「仕上げ工事に入る前のQ1.0住宅の現場レポ」と、ヨシダクラフトオリジナルの「大工と建具屋が造る5つの定番造作家具」について書きます。
仕上げ工事に入る前のQ1.0住宅の現場レポ
SH-houseでは、Q1.0住宅の断熱性能で「温熱的快適性」が確保できたので、次は造作家具で「使いやすさという快適性」を造る工程になります。
こちらが1階、桁上まで石膏ボードを貼り上げて、気密シートを押さえて「気密性を確保」しています。
2階は勾配天井になります。1.5帖の吹抜けを介して、1階と2階が1つの空間になっています。1階床から2階の勾配天井までは、5.5M。
小さいですが吹き抜けがあり、2階を勾配天井にしたことで、24.5坪の小さな家ですが広がりを感じます。
勾配天井にもセルロースファイバーブローイングを設計寸法で300mm(実際は360mm)吹きました。勾配天井なので、密度55KG/㎡の高密度のセルロースファイバーを吹いています。
この白いシートの上に、大工が防湿気密シートを施工して、石膏ボードで押さえます。
大工と建具屋で造る造作家具
SH-houseでは、これから13個もの「大工と建具屋で造る造作家具」を造ります。
24.5坪の小さな家なのに、「大工と建具屋が造る家具」の個数は、私史上最多。
この13個の中には、クローゼットのような普通の収納は含まれていません。(もちろん、クローゼットも3か所あります)
特に小さな家の場合は空間が狭いので、「大工と建具屋が造る家具」を適材適所に造り付けておかないと、モノがあふれて室内は雑然としてしまいます。
「大工と建具屋が造る家具」が上手く納まると、家具の使いやすさが家の使いやすさに繋がり、スッキリと暮らせることで快適性にも繋がります。
Q1.0住宅の断熱性能は必要条件ではありますが、充分条件ではないので「大工と建具屋が造る家具」や「オリジナルの建具」で暮らしやすさと持続性を確保します。「持続性」とは、オリジナルの家具や建具は、既製品ではないので廃盤にならなず、修理して長く使えることです。
大工と建具屋で造る5つの定番造作家具
5つの定番造作家具をご紹介します。
「大工と建具屋で造る造作家具」とは、基本的に大工が「箱と棚」を造って、建具屋が「扉」を付けるスタイルの造り付け家具です。
1. いつも必ず造るのは、「玄関収納」です。なるべく大きくして、家族全員の靴が玄関収納に納まるようにします。玄関収納が小さいと靴が納まらず、靴を個室や納戸から持ってくることになりますが、それは面倒くさい。だからなるべく大きな玄関収納を造ります。
また、傘が玄関にあると雑然と見えるので、玄関収納のドアの内側に傘が掛けられるようにすることも多いです。
今回は、靴と傘とコートが掛けられる大容量の玄関収納にした上で、靴がカビないように、ドアに丸い穴を開けます。
当社では玄関収納の容量を優先するため、玄関には窓が付けられないことが多いです。そのため玄関ドアはガラスの入った採光できる木製断熱玄関ドアを使います。
こちらのブログに玄関内部の写真がありますので、ご覧ください。小さな高断熱住宅の、木製断熱玄関ドアと玄関収納の施工例10選
2. 対面キッチンの場合に造るのが、キッチンの反対側の家具です。今回のSH-houseでは、シンクの背面に、床下エアコン納まる家具及び飾り棚、レンジフードの背面は、上下らセパレートされた、2つの収納が納まります。ダイニング側から使えるので重宝します。
今回は、この家具が一番難しそうです。(涙)
3. 3つ目は本棚です。当社のお客さんは、本をたくさん持っている方が多く、造り付けの本棚を要望されます。今回は2階のリビング的空間に、低い3つの本棚が納まります。低いと言っても高さは800mm近くあり、2面の壁を占めますから、結構な数量の本は入ります。
その本棚のカウンターは、机もしくはベンチとしても使えるのではないかと考えています。このように至る所が居場所(寛げる場所)になるように計画しています。
小さな家ですが、1階に寝室と水廻りとLDKがあり、全ての生活が1階で完結ようになってた上で、2階にリビング的スペースもある間取りです。
本棚を造る場合のコツは、なるべく「可動棚」を減らすこと。可動棚が多いと、棚の位置がゴチャゴチャになってしまい室内が雑然と見えてしまいます。固定棚は、棚の水平ラインが統一されるので、室内が整って見えます。今回も可動棚は最小限としました。可動棚には、文庫本とCDを納める予定です。
4. 4つ目は、キッチンのパントリー的収納です。小さな家の場合は、パントリー(食品庫)を造るスペースがないことが多いので、キッチンの近くに巾900mm、奥行600mm程度、天井までの扉を付けた、パントリー的収納を造ることが多いです。大容量で結構使い勝手が良いです。
完成後、訪問した時に中を見せてもらうと、乾物・レトルト食品、キッチン用品等が納まっています。今回は食器棚も造作で造るので、その隣にパントリー的収納が納まります。
5.5つ目は、造作洗面化粧台です。既製品の洗面化粧台を使ってしまうと、インテリアの統一感が無くなるばかりか、既製品の洗面化粧台は10年もしないうちに廃盤になります。既製品の洗面化粧台を使うと、廃盤により水栓等の部品が無くなり交換が出来なくなりますから、水栓が壊れただけで、全部交換になります。全部交換になると、壁や床も壊す可能性が高くなるので、リフォーム費用は高価になります。
その点、造作洗面化粧台なら、水栓のみの交換も可能。修理しながら長く使えるのは、造作洗面化粧台です。最初高くても、長い目で見るとお得です。
この5つが、当社の「大工と建具屋で造る家具の定番5つ」です。
キッチンはオーダーキッチン
キッチンは扉の無いシンプルなオーダーキッチンです。キッチンは家具屋さんが造ります。とても簡素ですが、使いやすいキッチンになりそうです。
Q1.0住宅と同じように、造作家具にもこだわる
Q1.0住宅で夏涼しく冬暖かくした上で、造作家具にもこだわると、インテリアの統一感がでて、使いやすい室内になります。
また、造作家具は既製品と違い廃盤にならないので、修理しながら長く使えるのも、最大の利点。
特に小さな家は、造作家具の使い勝手良くないと暮らしにくくなるので、Q1.0住宅を造るのと同じように、造作家具もこだわって造っています。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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