2019-08-04
Q1.0住宅宇都宮の家 SH-house(宇都宮市)
住宅設計
高断熱・高気密住宅

軒や庇が出ていて、夏に窓から強い日差しが直接入って来ない場合でも、日射遮蔽用外付けロールスクリーンを付けているのは何故か?

南面4つの窓には、軒の出があるので夏の直射日光は入らないが、輻射熱が入るので、日射遮蔽用の外付けロールスクリーンを設置する。

栃木県で、Q1.0住宅のような超高断熱住宅を建てる場合、冬は南面の窓を暖房機の代わりにするのが主流である。

 

南面の窓を出来るだけ大きくして、日射取得型のペアガラスを入れて日射を最大限取得すると、暖房機の代わりとなる窓になる。

 

東西北面は、必要最低限の箇所に窓を設け、樹脂トリプルサッシにする等、断熱性能が良すぎてデメリットになることはない。

 

Q1.0住宅のような超高断熱住宅は、一度熱が室内に入ると、熱が逃げにくくなるので、夏は日射遮蔽(日射や輻射熱を室内に入れないこと)が大切である。

 

特に南面窓は、冬の日射を取り入れるために大きく、かつ日射取得型のペアガラスにしているので、必ず日射遮蔽する必要がある。

 

日射遮蔽は窓の外側で行うことが効果的なので、新築時に大きな南面窓の外側に「外付けロールスクリーン」を設置しておくことが最善策の1つだ。

 

ただし、南面屋根の軒や庇が出ていて、窓に「夏の強い日差し」が直接入って来ない場合でも、日射遮蔽用外付けロールスクリーンを付けているのはなぜか?

 

疑問に思ったことは無いだろうか?

 

今日のブログは、その答えを書いてみる。

 

窓からの熱の入り方は3経路

出典

太陽光の窓からの熱の入り方は3経路ある。

 

1つ目は直射熱。文字通り、窓ガラスから直接入る日射である。夏の太陽は高い位置にあるので、宇都宮市なら、南側屋根の軒の出を外壁面から60㎝程度出しておけば、夏の直射熱は防ぐことが出来る。

 

2つ目は、窓ガラスやサッシからの輻射熱。輻射熱というのは、熱くなった物の出す赤外線のこと。例えば真夏の日射が当たった鉄板や鉄棒に手を近づけると、触れなくても熱い。これは日射による輻射熱で、鉄板や鉄棒から赤外線が出ているから熱いのだ。窓枠や窓ガラスも熱くなると、この輻射熱を室内側へ放ちます。だから、窓枠は熱を通しやすいアルミでなく、オール樹脂もしくは木製が良いのです。アルミ枠の窓は、日射で輻射熱を持ち、室内へ熱を放出します。

 

3つ目も輻射熱です。窓の外側の周辺にある仕上げ材からの輻射熱です。例えば、このSH-houseでは、南面2階の腰窓の下には、下屋があります。下屋の屋根のガルバリウム鋼板は、夏の強い日射を受けて、輻射熱を出し、その熱が窓から入ってくる。だから、軒によって夏の強い日差しがカットされている場合でも、輻射熱を入れないように、外付けスクリーンを取り付ける計画である。

 

また、南面1階の履き出し窓の外側は、アイアンウッド(イペ)のデッキになります。そのデッキも強い日射が当たりますので当然輻射熱を出しますから、外付けスクリーンで日射遮蔽します。

 

夏は「大きく取った南面の冬の暖房窓」から入ってくる直射熱、窓枠と窓ガラスの輻射熱、窓の外側周辺の仕上げ材から出る輻射熱の3つの熱を的確に日射遮蔽すると、室温が上がりにくく、少ないエネルギーで過ごしやすい室内になります。

 

窓から3つの熱が入ると、なかなか室温が下がらず、冷房費用が掛かります。

 

夏の直接熱や輻射熱を防止するには、南面の窓の外側に、日射遮蔽用の外付けロールスクリーンを付けておくことが大切

外付けロールスクリーン

輻射熱の防止のために、夏の強い日差しの入りにくい窓にも、外付けスクリーンを付けたほうが良いです。

 

外付けスクリーンを付けてない場合と付けた場合の直接日射侵入率。

SH-houseの南面窓は、日射遮蔽用の外付けロールスクリーンを設置予定。

 

ガルバリウム鋼板外壁材に外付けスクリーン、サングッドを付けるために、ステンレス金物で持ち出して、木材を付け、そこにサングッドを付ける。

セイキのサングッドです。

 

また、窓の室内側にはハニカムサーモスクリーンを付けて、夏の日射遮蔽と冬の断熱強化をします。

 

堀部安嗣さん、横内敏人さんなど7人の建築家が語る「和」の極意が、写真・文章・図面で分かりやすく書いてあります。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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