大繁殖していたカビの原因は結露なので、断熱リフォームを行いました
現在、お客様のお宅でカビ対策リフォームを行っています。お風呂の天井やタイル目地のカビ等、水廻りの目に見えるカビは対処しやすいです。しかし、家のカビでやっかいなのは見えない場所に発生しているカビ。見えない場所で発生しているので気が付きにくく、気が付いた時には大繁殖している場合があります。
見えない場所で発生しているカビの原因は、素人では分からないため対処できないことが多いです。住宅のプロでさえ、カビの原因は複数あることが多いので、見当を付けて1つずつ原因を潰していくしかないと思います。カビの原因が複数考えられる場合は、優先順位を付けてカビを発生させる原因を少なくするリフォームを行うと、室内環境も快適になることが多いです。
どのようなカビ対策リフォーム工事をしているのか?検討の過程と具体例を見てみましょう。
カビは家具の裏側の壁など、普段は見えない場所に大繁殖することがある
11年前に増築リフォーム等をしたお客様から連絡がありました。室内の壁にカビが発生しているので、見に来てほしいとのことでした。
お邪魔すると、1階リビングの壁の床に近い30㎝程度の範囲で、複数個所カビが発生していました。カビは全て通気の悪くなる家具の裏の、床に近い壁で発生しているのが共通点でした。同じ場所で発生しているのは、理由があるからです。
水廻りのカビは分かりやすいが、普段見えない場所のカビは厄介
お風呂の天井やタイル目地のカビ等、水廻りの目に見えるカビは対処しやすいのですが、カビは家具や畳の裏、収納の中など、普段は見えない場所に大繁殖することがあります。
普段見えない箇所なので、カビが大繁殖していても気が付かず、原因も複数考えられるので厄介なのです。
室内がカビ臭かったりしたら、家具の裏、畳の裏、収納の中などを確認しましょう。
お客さんの生活をよく聞いてカビの原因を考える
お客様は、床下の土間の湿気により、カビが発生していると考えていたようでした。床下がコンクリートではなく土の住宅は、床下の湿気の影響を受けますから、カビの原因が床下の湿気だという可能性は高いです。
しかし、11年前にも床下の点検は実施しており、当時の床下点検表をみると、床下の湿気は少し多めに感じるものの、土の上には砕石(さいせき:砂利のこと)が敷き詰められており、通風も確保されていました。その時は、床下の防蟻工事(ぼうぎこうじ:白蟻を予防する工事)の見積をしましたが行いませんでした。
後日、床下に白蟻業者に点検に入ってもらい、湿気の多い場合は、防湿シートを土間に敷いてもらうことにしました。
また、LDKには2台の石油ファンヒーターが置いてありました。お客さんに話を聞くと、寒い時は2台共付けていて、サッシも結露でビッショリとのことでした。
白蟻業者に床下点検してもらった結果、白蟻が発生していた
後日、白蟻業者に床下点検してもらうと、白蟻が発生していましたので青森ヒバ油による白蟻駆除工事を行うことにしました。
床下の湿気は多少感じるものの、基礎の通気口からの通風は確保されているという報告でした。また、押入れと収納の下には断熱材が入っておらず、床材の裏面にカビが発生しているということで、断熱材をいれることにしました。
カビ対策で断熱リフォームを行う
このお宅では、LDKの断熱が不十分で寒いので、石油ファンヒーター2台を長時間付けてしまい、結露が発生しているのがカビの原因ではないかと推測し、カビ対策で断熱リフォームすることにしました。
断熱リフォームで最も簡単で効果的なのは、内窓(インナーサッシ)を付けることです。LDKの6箇所の窓に内窓を付ける断熱リフォームを実施し、水蒸気の発生しやすい石油ファンヒーターをやめてエアコン暖房にしてもらう提案をしました。
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内窓を付けることで、結露が少なくなるのでカビ対策はもちろん、断熱性が上がるのでエアコンが効きやすく、外の騒音も少なくなるので居住性もアップします。
断熱内窓リフォームについてはこちらもご覧ください。
結露防止のために和室の障子部分に断熱内窓を付けた施工例、連続写真でご覧あれ
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結露しやすい暖房機器はコレ!結露しやすい暖房機はカビも発生しやすいよ
石油ファンヒーターやガスファンヒーター等、開放型と呼ばれている室内で燃焼するタイプの暖房機器は、燃焼時に室内に水分が出るので結露が発生しやすいです。
やかんのように水蒸気が出れば室内に水分が発生していると分かりやすいのですが、石油ファンヒーターは、水分が発生しているのが目に見えないので分かりにくいです。しかし、灯油1リットルを燃焼させると、水分も同じくらい室内に発生します。
灯油やガスを燃料にした暖房器具で、室内で燃焼する暖房機は水分が室内にでるので、結露しやすいです。
石油ファンヒーターで出た大量の水分は、室内で一番温度が下がる窓と、これまた温度が下がりやすい家具の裏の床に近い壁で「結露」となり「カビ」を発生させたと考えられます。
室内で水分を発生しにくい暖房にする代表的な暖房機には、FF式暖房機と呼ばれる灯油やガスを燃料にしても、外の空気を使って燃焼し、排気も外に出すタイプにするか、エアコン暖房にする必要があります。
こちらのお宅では、エアコンを大きなものに替えてもらうことで、石油ファンヒーターを2台共、やめてもらうことにしました。エアコンの風が嫌いな方もいらっしゃると思いますが、エアコンは一番普及している暖房機なので、コストも安く、省エネ化も進んでいます。
今回の内窓による断熱リフォームと石油ファンヒーターを使わないことを行っても、結露が発生しカビが生えてしまう場合は、床下に潜りこんで、壁の下に断熱材を入れて、冷たい空気を壁の中に入れないようにする「気流止めリフォーム」を提案する予定です。冷たい風が壁の下から入って来なければ、結露する可能性は低くなる。ホントは最初から「気流止め」もやったほうが良いけど、コストの関係で優先順位を付けました。
既存壁紙の上から塗れる珪藻土リフォームで調湿効果に期待
クロスがカビてしまったので、クロスを貼り替えるのではなく、壁と天井に珪藻土を塗ることにしました。珪藻土は、既存クロスの上から塗ることが出来ます。既存のクロスのカビが発生している部分と、剥がれている部分のクロスを貼り替えて、クロスを下地として珪藻土を塗ります。珪藻土は調湿効果があり、手造り感のある室内になるので雰囲気も良くなります。
住まいのカビで困っている方は多い
年に2~3件、カビ対策リフォームの相談があります。カビの原因は、今回のように結露の場合が多く、断熱リフォームを提案し行うことが多いです。
【追伸】2017年2月1日。カビは無くなり、結露もほとんどないようです
お客さんに電話で確認したところ、カビは発生しておらず、結露もほとんど無くなったとのことです。リフォーム成功だと言って良いと思います。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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