2015-05-29
インテリア・家具・収納

引き戸のメリットとデメリットを把握して、小さな家でも大きく暮らそう

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当社は、栃木県宇都宮市の中心市街地にあります。住宅密集地の狭小敷地が多い地域で営業しているため、延床面積30坪以下の小さな家を建てることが多いです。小さな家の室内を有効に使うために、扉が邪魔にならない引き戸を、意識して多用して(ここ大事)プランニングします。引き戸は、開き戸のように可動域で場所を取らないために、小さな家を有効に使えるのですが、デメリットもあります。例えば、引き戸が多くなりすぎてスイッチの付く壁が無くなくなり、引き戸からスイッチが遠くなって使いにくくなってしまうこともあります。開き戸と引き戸のメリットとデメリット、また仕様をしっかり把握して、暮らしやすい家を計画しましょう。

 

室内扉の種類は3種類
ショールーム親子ドア

ショールーム親子ドア

室内扉に種類は、「引き戸」と「開き戸」と「折れ戸」の3種類を覚えておけば良いと思います。「引き戸」は、ザックリ3種類あります。「片引き戸」「引違い戸」「引き込み戸」です。一番多く使うのは、片引き戸、引違い戸は、収納扉に使うことが多いです。引き込み戸は、狭い空間同士を繋げて、広く使う場合に使います。「開き戸」は、よくある「片開き戸」と「両開き戸(親子ドア)」。「折れ戸」は収納用で、一覧性のある大きな開口部を設けられるメリットがあります。

 

引き戸のメリット
パントリー引き戸

パントリー引き戸

引き戸のメリットは、扉を開けた時に開き戸のように可動域で場所を取らないので邪魔にならないこと。扉を開けた時に扉が壁の中で納まるので、解放感を出しやすいこと。引き戸の一種である、引き込み戸は、部屋同士を繋げて1つの空間として使う場合に使用します。また、引き戸は開閉する際、開き戸のように身体の動きが少なくて済むので、高齢者や身体の不自由な方にも使い易い扉です。また、引き戸は、風でバタンと締まることがないので通風しやすいことも利点です。開きかけの状態で、少し開けておくことも可能ですから、通風しやすかったり、子供部屋の状態を把握しやすいこともメリットです。写真はキッチン脇のパントリーの引き戸、開けたまま使えます。

 

引き戸のデメリット

引き戸のデメリットは、気密性が取りにくいこと。気密性が低いということは、隙間風が入りやすく、音がもれやすいということです。また、引き戸の床のレールにゴミが溜まりやすいこと。子供が指を挟みやすいこと。引き戸は開き戸に比べると、扉枠の量が倍になるので、値段が高くなること。振動でカタカタ音がする場合があること。引き戸だと、付けたい場所にスイッチやコンセントが付かない場合があります。

また、引き戸は犬や猫に開けられやすいので、対策が必要になります。こちらをご覧ください。

猫や犬が引き戸(ドア)を開けて困る時、最も簡単に安く目立たずに出来る具体的対策法

 

開き戸のメリット

開き戸のメリットは、基本的に気密性が良いこと。リビングに近いトイレなど、音が気になる場合は、開き戸が良いかも知れません。引き戸のようにレールが無いので掃除が楽。

引き戸に比べると、開き戸の扉枠の量は、半分なので値段は引き戸より安めです。引き戸のようにスイッチやコンセントが付かないことはない。筋違い(壁の中にある建物を地震等から守る斜めの木材)が入れやすい。

 

開き戸のデメリット

開き戸のデメリットは、扉を開くとき、スペースをとること。身体の動きを大きくしないと、開閉しにくいので、高齢者や身体の不自由な方には使いにくいこと。

 

小さな家で大きく暮らすには引き戸が必須
2枚引き込み戸

写真右の90度に交わるのが引き込み戸。開けると2つの部屋が1つになる。

引き戸は開けて使うと部屋同士がつながり、1つの部屋のように使うことが出来ます。写真は、施工例のSS-houseリフォーム。直角に交わるガラスの2枚引き込み戸を、開けて使うと広く使えるという引き戸の施工例です。開き戸では、扉を開けてもこのような空間にはなりません。30坪以下の小さな家を広々と使うには、引き戸を多用することになります。

 

引き戸は、吊り戸でなく床に敷居を設置してレールを入れる

当社の引き戸の仕様は、吊り戸でなく、敷居を入れて金物のレールをセットしています。リビング入口の引き戸は、ガラス戸にすることが多く、重いので吊り戸は向かないということ、また、敷居を入れると、部屋ごとに床材の貼り替えがしやすいという将来のリフォームも考えて、引き戸は吊戸ではなく、昔ながらの敷居設置+金物レールにしています。

 

玄関ドアとガレージへのドアは、開き戸が無難
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既製品の木製断熱玄関ドア

引き戸は、気密性を確保するのが難しいので、玄関ドアと外部として扱う室内からガレージに行くドアは開き戸としています。2つのドアは、気密性を確保するという点から、既製品の外部用ドアを使うのが基本です。そうしないと、室内に冷たい隙間風が入ってしまいます。玄関ドアも何度か造作で造りましたが、気密性を確保するのは、とても難しいです。

 

開き戸も引き戸も造作建具が必須

室内の内装ドアは、既製品を使わず、造作建具が基本です。既製品と違い廃盤になることが無いため、将来に渡り修理が効きます。既製品は廃盤になってしまうと、部材が無くなり、修理できない可能性が高いです。また、造作建具は、いろんな寸法や形状に対応できるので、リフォーム工事にも適しています。また、既製品に比べてインテリアの統一感を出しやすいです。室内ドアは、インテリアの大きな面積を占めるので、室内の印象を左右します。既製品の扉にしてしまうと、ローコストビルダーかハウスメーカーのようなありきたりな室内の印象になってしまいますから、無理をしても造作建具にすべきだと思います。

 

変わった引き戸
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上枠の無い腰までの引き戸

上枠の無い腰までの引き戸。キッチンとリビングを隔て、室内犬がキッチンにはいらないように造りましたが、犬が引手を鼻で開けることを覚えてしまい、あまり意味が無くなってしまいました(涙)。犬や猫は、かなり頭が良いので、こちらの期待を裏切ります。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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