「高断熱・高気密住宅の吹抜け」は快適性の要因だけど、3つだけデメリットがあるのでその対策を書きます
平屋以外の高断熱・高気密住宅の場合。吹抜けを設けて、家全体をワンルームのようにして使うことが可能になる。家全体を温度差の無いワンルームにするには、むしろ吹抜けはあったほうが良い。1階と2階が吹抜けによって繋がり、小さな家でも大きく暮らせるのだ。逆に、断熱性、気密性の低い住宅には、吹抜けは造らないほうが良い。造ってしまうと、冬は寒くてたくさん暖房しても暖かくならなかったりする。 しかし、メリットがあれば必ずデメリットも発生する。高断熱・高気密住宅の吹抜けのデメリットと対策を書きます。 上記写真の住宅MK-house は、断熱性能を表す数値、熱損失係数Q値1.6W/㎡k。気密性能を表す数値、相当隙間面積C値0.2c㎡/㎡。北海道基準の高性能住宅だ。 このくらいの数値になると、部屋のドアを開けておくと、家全体でもほぼ室温の差は無くなる。冬にリビングと2階のトイレ等の温度差は2度程度だったと記憶している(トイレのドアを開けていた場合) 。これならヒートショックで死ぬ可能性は少ない。ウィキペディアには、ヒートショックを防止するには、高断熱・高気密住宅や断熱改修した住まいに住むのか良いと書いてあります。ウィキペディアは親切だ。
ヒートショックとは、急激な温度変化により体が受ける影響のことであり、正式な医学用語ではない。リビング・浴室と脱衣室・トイレなど、温度差の大きいところを移動すると、体が温度変化にさらされ血圧が急変し、脳卒中や心筋梗塞などにつながるおそれがある。そうしたヒートショックの要因となる住環境のリスクを「暖差リスク」と呼び、特に冬は住宅内の温度差が大きくなるため注意が必要である[1]。日本の入浴中の急死者数は諸外国に比べて高いとされ、その理由は浴室と脱衣室の温度差であるとされる。(ウィキペディアより)
ヒートショック対策方法
住宅内を移動した際の急激な温度変化による影響を防ぐためには、住宅内の温度差を小さくすることが推奨される[3]。
- 高断熱・高気密住宅
- -家の構造自体を保温性の高いものにして、外気温の影響を受けにくくする。
- 脱衣所や浴室、トイレへの暖房器具設置や断熱改修(ウィキペディアより)
MK-houseの吹き抜けはリビングと玄関の2か所。リビングの吹抜けは2階の廊下と個室に繋がり、玄関の吹抜けは、2階の書斎に建具を通して繋がっている。吹抜けと他の部屋を極力繋げる設計。1階リビングに蓄熱式暖房器が入っていて、それだけで家全体が温かい。 冬場にお邪魔すると、玄関を開けた瞬間から一般的な家とは違う空気感を感じる。各個室のドアを開けておくと、家全体の温度差がほぼ無くなるので、経験したことが無いような快適性を得られる。残念ながら、私は寒い家に住んで居るので、快適性をより感じるのだと思う。写真は吹き抜け見おろし。1階と2階がつながりワンルームになる。 身体の弱ってくるオッサン世代になったら、デザインよりも快適性、機能性が大切だ。ユニクロは、アパレルというより、ヒートテックに代表される機能性肌着メーカーだと思っている。下着や断熱材という、見えない部分が快適性に直結するという意味では同じだ。
快適な「高断熱・高気密住宅の吹抜け」であるが、3つだけ吹抜けのデメリットがあった。
吹抜けのデメリット1つ目は、施工床面積が増えて工事金額が上がること
吹抜けは、1階の天井と2階の床が無いだけで、2階の壁と天井はある。吹抜けがあると家が大きくなり、当然工事金額は増える。吹抜けがあることにより、室内が広くなるのは勿論だが、外部の屋根面積も外壁も増えるのだ。だから 施工床面積が増えて工事金額が上がる。しかし、メリットのほうが多いので、予算が取れる場合は吹抜けを造ったほうが良い。
2つ目は、夏に吹抜け窓から入ってくる日射により室内温度が上がること
夏に吹抜けに面した窓から入ってくる日射で、室内温度が高くなってしまうとデメリット。断熱性、気密性が高いので、一度室内に入った熱はなかなか逃げないのだ。対処法は、上記写真中央の窓の外に日射を遮る専用のシェードを付けたこと。窓の外はベランダなので簡単に取り付けられた。これで解決。夏の期間、朝から夕方までシェードは降ろしてもらった。というか、夏の期間はずっとシェードは降ろしたままにしておいてもらった。室内に熱が入らないので快適である。窓の外側に付ける日射遮蔽材はアウターシェードで検索すると出てくる。「すだれ」や「よしず」でも良い。下の写真はアウターシェード。
2階の吹抜けに面する窓の外側にベランダが無い場合は、外部に日射遮蔽材を付けるのが難しいので、室内側に日射遮蔽材を付けておくのが良いかもしれない。ただし、外部に付ける場合に比べて室内側は効果が落ちる。左側のテラス窓もそうしたほうが良かったが、外に出られなくなるので室内に布を貼った。
吹抜けのデメリット3つ目は埃
写真の吹抜けの照明上や窓枠上に埃が溜まるが、ハシゴを架けないと掃除出来ない。埃が掃除しにくいことで、気になる人はいるだろう。1人がハシゴを持って2人で作業する必要がある。壁と床を傷付け無いように養生が必要となるので、思ったより大変である。 以上3つが、経験した「高断熱・高気密住宅の吹抜けのデメリット」である。デメリットもあるが、高断熱・高気密住宅の吹抜けはメリットのほうが大きいので、出来れば造ったほうが良いだろう。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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吉田さんこんにちは。 吹き抜けに関して私が感じているデメリットが有りますのでコメントします。 吉田さんの挙げた3つのデメリットは まさにその通りですね。金額は仕方がないですが、日射と埃は対応策が有りますね。私の家は軒を出して日射に対応しています。ただし夏はいいのですが、冬はオーバーヒートするかもしれないですね。埃は吹き抜けにキャットウォークと名付けた通路を造っています(猫はいませんが)。 私が感じているデメリットは音の響きです。高気密高断熱住宅は屋内で音が反響しやすいですが、さらに吹き抜けを作るとリビングの音が寝室にまで響きます(1階リビング上に吹き抜けあり2階寝室の場合)。LDK一体としていれば食洗機等キッチンの音が結構響きます。私はなるべく反響が少なくなるようにと断熱材を吹き込みのセルロースファイバーにしました(実際どれくらい効果があったのかわかりませんが)。 吉田さんは音の反響に関してどうお考えですか?
こんばんわ。高気密高断熱住宅は、間仕切りの少ない住宅が造れるので、吹抜けを造ることも多いです。 ただし屋内で音が響きやすいのは事実です。室内の音が響きやすいのは、設計時点で説明しておくのでクレームは無いですが、どのようにすると室内音が響きにくくなるのかは、よく分かりません。 室内の壁に大き目のタペストリー等を飾ると、多少効果があると聞いたことがありますが、当社のお客さんはやっている人はいないと思います。