2017-01-25
自然素材

宇都宮市で見るべき大谷石の建物(建築)5選と、宇都宮美術館で開催されている大谷石展の感想

大谷石展覧会

展覧会の中央ホールに展示されているフランク・ロイド・ライト「旧・帝国ホテル ライト館の柱」

宇都宮美術館で開催されている展覧会「石の街うつのみや――大谷石をめぐる近代建築と地域文化」←題名が長い!に行ってきました。

 

今日のブログは、展覧会の感想と、宇都宮市で見るべき大谷石の建物(建築)5選を書きます。

 

宇都宮美術館開館20周年・市制施行120周年記念の展覧会で、宇都宮市も力が入っており専用のホームページまであります。

 

石の街うつのみや――大谷石をめぐる近代建築と地域文化 

 

宇都宮美術館での大谷石展は、3月5日(土)まで開催されています。

 

宇都宮美術館で開催中の展覧会「石の街うつのみや――大谷石をめぐる近代建築と地域文化」では、中央ホールで上映しているオリジナル映像を見るべし

仕事である住宅設計の参考になれば良いと考えて宇都宮美術館に行ったのですが、もう1つの理由は、大谷石でどのような展示をするのか、興味があったからです。

 

美術館の大きな空間を、どのような大谷石の展示で、飽きさせずに見せることが出来るのかと。

 

大谷石は、ただの石なので地味すぎて展示も難しいし、来る客層も限られるので集客も難しいのではないかと思いました。

 

正直に展覧会の感想を言うと、大谷石の素材そのものが置いてあるエリアは、ただの大谷石としか感じませんでした。また第2会場では、大谷石の採掘風景を描いた絵画が多く展示されていましたが、それは広い空間を埋める為のものだと感じました。

 

それに対して良かったのは、写真撮影OKの中央ホールで上映されている、この展覧会のために造られたオリジナル映像。映像には採掘作業風景と、歴史ある大谷石の建物が写っていました。やはり大谷石は、採掘現場と建物(建築)に魅力がある。しかし、展覧会で大谷石の採掘現場や建物(建築)を表現するのはとても難しいです。

 

だから、企画者はこの映像を創ったのではないかと思いました。この映像の中でも、ポスターにもなっていた人が大谷石を切り分ける様子は原始的で興味深い。一緒に見ていた7~8人が途中で席を立つことはありませんでした。この展覧会は、橋本優子さんという宇都宮美術館の主任学芸員の方が、企画を行っています。

 

大谷石とはどのような建築材料なのか?

大谷石は、宇都宮市の中心市街地から西北8キロメートルにある大谷町(宇都宮市大谷町)で産出される軽石凝灰岩の一種。柔らかく加工がしやすいので、土蔵などに積まれる建材として使用されてきた。

 

最近では、宇都宮市の地域性を出す建材として、一部の飲食店等の店舗や注文住宅の、外壁や内装の壁・床に貼られる。また、敷地を囲む大谷石塀としての使用が多いのも、宇都宮市の特徴だと思われる。

 

昔からの土蔵は、厚い大谷石が積まれているが、現在の大谷石は、石塀を除いては薄い3㎝程度の外壁材や内装材として貼られているモノが多いです。

 

アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトが大正11年、大谷石を使った旧帝国ホテルを設計して、翌年の関東大震災においてホテルにあまり損傷が無かったことから、耐火性能、耐震性能の優秀さが認められた。

 

昭和40年代の最盛期には、採掘事業場は約120ヶ所、年間出荷量も約89万トンまで増加したが、その後は年々減少し、平成21年度の採掘事業場は12ヶ所、年間出荷量は約2万トンまで減少している。出典

建築材料としては、値段の安い建材が多数あることから、歴史ある大谷石はあまり使われなくなってきており、宇都宮市では利用促進の補助制度があります。

大谷石利用促進補助制度

 

宇都宮市で見るべき大谷石の建物(建築)5選

1.大谷資料館

大谷資料館大谷石関連の施設の中で、ここが一番のおススメです。様々な映画やドラマのロケに使われる巨大な地下空間は神殿のように見える場所もあり魅力的。特に夏に行くと、地下30Mの空間はとても涼しい。宇都宮市の中心市街地から車で20分程度です。

 

一般の人々の目に触れることなく「未知なる空間」と呼ばれた、地下採掘場跡。その広さは、2万平方メートル、深さは、30mにもおよびます。石肌には、手堀り時代のツルハシのあとが残り、ずっしりと年輪の重さを感じさせ、地下の巨大建造物を思わせる景観は、この地ならではの圧巻です。大谷資料館

 

2. 星が丘の坂道の大谷石

星が丘の坂道ここも住宅建築を仕事にしている人間にとっては、有名な場所です。しかし、一般の宇都宮市民は知らないかもしれません。星が丘1丁目にある大谷石の坂道です。とても懐かしい感じがします。宇都宮市の中心市街地にあります。

 

写真は大谷石マップからお借りしました。

 

3. カトリック松が峰教会

カトリック松が峰教会大谷石を使った教会建築。鉄筋コンクリート造(RC造)に大谷石が貼り石されています。東武宇都宮駅のすぐ隣の中心市街地にあります。

カトリック松が峰教会(カトリックまつがみねきょうかい)は、栃木県宇都宮市にあるキリスト教(カトリック)の教会およびその聖堂。大谷石建築としては現存最大級のロマネスク・リヴァイヴァル建築であり、1998年に国の登録有形文化財に登録された。出典

4. 石の蔵

石の蔵画像出典

宇都宮市の中心市街地。田川沿いに建つ和食レストラン。元は砂糖や小麦粉などの食品原材料の業務用倉庫だったようです。大谷石積の建物なので内外装、大谷石を見ることが出来ます。

 

石の蔵

 

5. 居酒屋海蔵 JR西口店

海蔵

居酒屋海蔵は、中心市街地に3店舗ありますが、JR西口店が一番雰囲気が良くおススメ。大谷石は、エントランスの壁等に貼ってあります。貼り石の大谷石内装を見ることが出来ます。

 

店内に入るとアリの巣のような曲がりくねった通路になっており、個室に入る前の行程も楽しめます。他県からのお客さんを連れていっても良いかも知れません。値段が安い割に雰囲気の良い居酒屋です。

 

画像出典居酒屋海蔵

 

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吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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