付加断熱の施工法がメッチャ具体的で唸った新住協北海道地区大会@旭川
付加断熱 出典http://www.pgm.co.jp/insulation/100mm.html
3/18~19新住協北海道地区大会@旭川の2日目はホテルで研修。9時から13時まで鎌田先生の基調講演と北海道地区工務店の事例発表が続いた。
地区大会のテーマを私なりにザックリ要約すると、「断熱材の厚みをより厚くする研究」。
付加断熱。断熱材を厚くする
「断熱材を厚くする」
一言でいうと簡単だが、実際は難しいことなので、わざわざ北海道まで研修に来ているのだ。壁の断熱材を200㎜以上にして、何十年もの間、安定して外壁材を保持しなければならない。外壁材やサッシが垂れ下がってしまったら会社の存続に関わる一大事だ。
普通の家の壁の断熱材は、柱と間柱と同じ105㎜もしくは120㎜の厚さで、柱と間柱の間に充填される。
断熱材を厚くするには、柱の外側に同じ105㎜もしくは120㎜厚さの断熱材を付加する必要がある。付加断熱もしくはダブル断熱と呼ばれる工法だ。
105㎜角の柱の外側に+105㎜の付加断熱をすると=210㎜の断熱材厚になり、120㎜角の柱の外側に+105㎜の付加断熱をすると=225㎜となる。
ちなみに今度の現場は、初めて255㎜付加断熱をするので、外周の基礎は厚さも240㎜として、土台もダブルで敷いて、サッシの荷重を受けることにした。サッシが垂れてしまったら大変である。壁の断熱を厚くすることで基礎の形状も変わったのだ。
一番簡単なのは、50㎜程度の発砲系断熱材を柱の外側に付加し、付加断熱(ダブル断熱)とする工法だ。付加断熱用の間柱も必要ない。しかし私のように街中の準防火地域の狭小敷地で、ガルバリウム鋼板外壁材を使うことが多い工務店は、発砲系断熱材を付加することは向いていない。
発砲系断熱材は、火災に弱いために、ガルバリウム鋼板外壁材の下に石膏ボードを貼る必要が出来てしまう。火災に強いと認められているグラスウールとロックウールなら、ダイライト等で防火認定が取れており、準防火地域でも石膏ボートを貼る必要がない。建物の外壁全部に石膏ボードを貼る必要がないことは、安価に簡単に施工出来るということで、利点が大きい。準防火地域でガルバリウム鋼板外壁材を使う時のグラスウール断熱材の優位点詳しくはこちら。
鎌田紀彦先生の付加断熱の施工法の表現がメッチャ具体的で唸る
グラスウールで105㎜以上の付加断熱(ダブル断熱)をするには、構造体の外側に付加断熱用の間柱を取り付けることが必要で、間柱は断熱材と同じ厚さだから、間柱を留めるためには特殊なビスが必要であり、かつ正確に長いビスを打つには、下穴を開ける2段ビットが必要だということで、鎌田紀彦先生がメーカーに試作品を作らせて、それを見ることが出来た。
非常に細かい話だが、家づくりは、こんな地道なことの積み重ねなのだ。また、鎌田先生からは、付加間柱の留め方の具体例と、厚い床断熱のスケッチが示された。厚い床断熱を施工する為の専用金物の試作品もメーカーで造られており回覧された。
これについてもメッチャ分かりやすいスケッチが描かれており大工も納得して施工出来そうである。鎌田先生の凄い点は、職人や現場管理者の仕事内容や環境はもちろん、職人の気持ちまでを考えて、消費者に手の届く価格で、安定した施工方法や商品を開発している点だと思う。
私は、相手がいくら有名な大学教授や建築家でも、現場のことを知らない机上の空論を言われたら話は聞かない。また将来、瑕疵になりそうな設計を見せられたら、危ない設計をするアホな相手と判断して、話を聞かないのは当然で、お付き合いもしないのである。
対照的に、工務店経営者に一番影響を与え続け、尊敬されている大学教授は、室蘭工業大学名誉教授の鎌田紀彦先生だと思う。「今度、現場で大工と議論しなくちゃな」という現場主義に基づく、実践的施工方法と商品の提案が、工務店や設計事務所にとって超具体的な武器になっている。調査と理念を語るだけの他の住宅系大学教授との大きな違いだ。そのような姿勢が全国の工務店社長や設計事務所の代表者を唸らせ納得させる。それを聞きたくて、こんなに大勢の人間が全国から集まったのだ。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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