FEATURE家づくりの特徴

04小さな家で豊かに暮らす

少し前までは、大きな家に住むことが豊かさの象徴でした。しかし、大きな家の暮らしの質が高いかというと、逆のことが多いのが現実です。モノは多く要らないし、見栄を張って家を大きく造る時代は終わりました。

これからは、身の丈にあった小さめな家で、豊かに暮らすのを目指す時代だと思います。家族4人で暮らすと考えると、延床面積30坪は欲しいと考えるようです。私も30坪くらいがベストだと思います。しかし、その面積を3~5坪小さくして、延床面積25~27坪くらいの家を建てると建築費を抑えることができます。

あえて小さく造ることで、断熱性能を高めたQ1.0住宅にして、住み心地の良い超省エネな家を造ることも可能になります。また仕上げ材にこだわることができたりして、自分にフィットした家づくりができる。意識して小さな家を造ることは、坪単価を高くして質の高い家を造ることと同義です。

同じ建築費であれば、小さな家のほうが質は高まりますし、将来のメンテナンスコストも少なく出来ます。延床面積25~27坪前後の家を建てることは、決して特殊なことではなく、暮らしやすい家を造ることも可能です。当社では、22坪・24坪・25坪・26坪・28坪の家を建てた経験があります。

小さな家は、設計者の手腕と大工や建具職人等の手仕事を活かしながら造りますが、何よりも先に、住まい手が「小さな家に暮らす」とライフスタイルをはっきりさせる必要があります。

04-1小さな家で豊かに暮らす

小さな家のメリット

延床面積が小さくなることで建築コストが少なくてすみ、暖房負荷も減ってランニングコストも下がります。その分のコストを高断熱化や省エネルギー機器、長く使える仕上げ材にまわすことができるのが、小さな家のメリットです。小さな家は、ランニングコストを少なくできるだけでなく、メンテナンスコストも安くできるので、長期的に考えても省コストに暮らせる住まいです。小さな家でも、断熱性能を高くして暖かくすると、家の隅々まで使用頻度が増して、広く使えます。

逆に大きな家でも寒ければ、暖房の付いた部屋しか頻繁に使えませんから、大きくても狭い家になってしまいます。例えば延床面積70坪の大きな家でも、断熱性能の低い家の場合、暖房していない部屋は寒いので使われていないことが多く、実際に使っているのは暖房があるLDK・寝室・水廻りの20坪程度だったりします。外観は70坪の大きな家ですが、実際は20坪しか使えない狭い家。現実このような家は少なくありません。

子供が巣立つと広い家は必要なくなります。家族人数が多いのは子供が学生時代まで。実際に子供部屋を使うのは中学から高校卒業までと考えると6年程度、大学まで入れても10年くらい。だから思い切って子供部屋を小さくするなど、なるべく新築時に家を小さくしておくのが良いと思います。

老後、広い家を管理するのは大変です。家族が減り体力も低下する年齢になると、広い家は物置場と化し、そこは何もしないと埃だらけになるので、掃除が手間になります。10~15年に1度定期的に訪れるメンテナンスリフォームの費用も、基本的に「面積×単価」で算出するので、大きな家はリフォーム費用も高額になります。だから不必要に広い家は建てないことが大切です。

必要最小限の大きさの家を、Q1.0住宅の断熱性能で、かつメンテしながら長く使える仕上げ材料で建てると、長くメリットを実感しやすい。断熱性能に由来する快適性にプラスして、「片付く収納」などの工夫を行うことで、小さな家で豊かに暮らすことが可能になります。

04-2小さな家で豊かに暮らす

小さな家を暮らしやすく広がりのある空間にする方法

■ 小さな家では収納計画が重要

小さな家でモノが散らかっていると狭く感じてしまうから、特に収納計画が重要である。具体的には、収納や造り付け家具を適切に設けること。当社では造作家具のアイデアと、それらを違和感なく実現するノウハウを蓄積しています。

■ 小さな家では2階リビングで勾配天井とすると広がりを感じる

2階リビングのメリットは、勾配天井にすることが出来て、容積が大きくなり広がりを感じること。2階リビングのデメリットは、足腰が弱くなった時に2階に上がるのが辛くなることだと言われていますが、街中の狭小敷地では2階リビングのほうが、第三者の視線を遮りやすいことが多く、採光や通風の点からも有利になる場合が多いです。住まい手の希望や敷地状況を考慮する必要はありますが、小さな家なら2階リビングのメリットは多いと思います。

■ 小さな家のダイニングテーブルは丸テーブルが便利

ダイニングテーブルや椅子などの置き家具は、毎日使い体に触れるものなので、その良し悪しが生活の豊かさを大きく左右します。特に小さな家は、家具との距離が近くなりますから、その質感と使い易さが、よりハッキリと分かります。

小さな家でテーブルを選ぶ時は円形をオススメしています。円形テーブルは狭いスペースでも多くの人が座れて、周囲をぐるりと廻れる動線ができるので、小さい家でも室内を広く感じさせるアイテムです。

私の造る家にはシンプルで機能的な北欧家具等が合うと思い、県内の家具屋さんも紹介しています。安くてすぐに壊れる家具よりも、高価でも良い家具を買って、修理しながら長く使ったほうがお得です。その場所に固定しない置き家具は、移動して使える為、小さな家の大きな味方となります。