FEATURE家づくりの特徴

03断熱性能と耐震性能

熊本地震の建築物被害の原因分析報告書と私の経験から、地震に強い家の4条件をまとめました。

地震大国である日本は、昔から繰り返し大地震に見舞われてきました。

2011年3月11日に発生した東日本大震災以降、日本は地震活動期に入った可能性があります。直近の大地震は、2016年4月に起きた熊本地震です。余震・本震と震度7が2度起き、震源地に近い益城町では、住宅を含む建物に甚大な被害が発生しました。

しかし、甚大な被害の出た益城町でも、耐震等級3で設計された戸建て住宅は、大きな被害が見られず、大部分が無被害で済んでいることから、多くの専門家の間で、今後の大地震に備えて「耐震等級は3にすべきである!」と提唱されるようになりました。

私は、多くの学者が取りまとめた、熊本地震の建築物被害の原因分析報告書を参考にして、地震に備えるのが合理的だと考えます。

国土交通省住宅局が作った、「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイントを読むと、新耐震基準導入以降に建てられて倒壊した、77棟の木造建築物で被害要因分析を行っています。

倒壊の原因は、耐震性能が低い(基礎と柱等の接合部が現行規定になっていない)という理由で約95%が倒壊しており、他には白蟻被害によるもの2%と、著しく地盤が弱い場所で倒壊が起きている2%、隣接建物が崩れたことによる倒壊が1%でした。

熊本地震の報告書と私の経験から、地震に強い家の4条件は以下になります。

耐震性能01

新築時に耐震等級3とすること。

日本各地で大地震が起こる度、耐震に係る基準が改正されてきました。2016年の熊本地震では、耐震等級3で設計された戸建は、ほぼ被害が無く、多くの専門家は、今後の大きな地震に備えて「耐震等級は3にすべきである」と提唱しています。もちろんヨシダクラフトでは、最高等級の耐震等級3を基本仕様と致します。

また、倒壊や崩壊を防ぐだけではなく、建物の損傷をできるだけ少なくするために、耐力壁の量とバランス、水平剛性、接合部の強度などに配慮して設計致します。


耐震等級3にすると、地震に強い家になることが最大のメリットですが、地震保険料も50パーセント割引になることも利点です。

耐震性能02

新築後も耐震性が維持されるようにすること。

耐震性を維持する具体的対策は4つ。白蟻被害が起きたら適切に対処すること。壁が傷んで雨漏りしにくい形状にするため、新築時に屋根の軒を出す設計としておくこと。構造木材が腐朽しない措置として、新築時に壁体内結露を起こさない気密性のある設計にする。耐震等級3の地震に強い構造体にした上で、制震ダンパーを付け、繰り返しの地震に対しても、「強く」(耐震) +「しなやか」(制振)な、躯体とするのがベストです。

耐震性能03

揺れにくい地盤に家を建てること。

具体的には畑や田んぼで使われていた、弱い地盤の土地を買わないこと。地盤調査を行い、必要とあれば、必ず適切な地盤補強をすること。

耐震性能04

隣地や道路と高低差の無い土地を買うこと。

高台の土地は、緑が眺められる等、眺望が良く魅力的かもしれません。しかし、良い面があると、悪い面もセットになっていることが多いので注意が必要です。隣地や道路と高低差があると、敷地には土留めの為に擁壁が設けられています。

その擁壁が頑強であると証明されていれば別ですが、その素性は分からないことが多いのです。地震時に、擁壁の脆弱性や擁壁自体の劣化が原因で擁壁が倒れると、家まで傾く可能性があります。かつ擁壁を造り直すコストは家を建てるより高くなる可能性もあります。

ですから、隣地や道路と高低差のある土地は買わないほうが無難です。

特に、異なった素材を組み合わせて積み上げている二段擁壁(積み増し擁壁)は、下段の擁壁を造る際、その上に2段目擁壁部の土圧がかかることを想定していない事、2段目は盛り土になっていること、そして上と下の擁壁が一体化していないため、事故事例が数多く報告されています。

また、栃木県を主とした関東に多い大谷石擁壁は、大谷石自体が柔らかく劣化しやすい上に、地震に対しても弱いので、大谷石擁壁のある土地も買わないほうが無難です。

地震に強い耐震等級3の家を建てても、擁壁が倒れたら意味がないので、耐震性能の頁に擁壁の事を書きました。お客様に脆弱な既存擁壁のある土地を買われてしまうと、既存擁壁が倒れてしまったり、変形したりして、家まで傾く可能性があります。後々お互いに大変な目に遭う可能性があるので、充分注意してください。