住宅を断熱化するメリットを消費者に説明するには、省エネより健康面が分かりやすい
昨日は、住宅省エネルギー設計技術者講習会。終日、明保野町の宇都宮市文化会館。この講習会は、大工、工務店、設計事務所の省エネ設計及び施工技術向上の為に開催されている。施工者向け(現場監督や大工)の施工技術者講習会と設計者向けの設計者講習会があり、私はこれで両方を受講したことになる。2020年、国の政策で、新築住宅の省エネルギー基準への100%適合化を目指す為の講習会です。
省エネ住宅を建てたいなら、知識と経験のある工務店に依頼するのが無難
現在、戸建住宅の省エネ基準適合率はまだ、5~6割程度なのだ。非常にレベルの低い省エネ基準だが、適合率が半分程度なのである。上の表を見ると、省エネ基準適合住宅を施工出来ない会社は、省エネ住宅の設計及び施工が難しい、知識不足、情報不足、防湿施工が難しい等と答えているので、一般的省エネ住宅が欲しければ、高断熱高気密住宅がキチンと施工出来る工務店に依頼するしかない。また、それより高性能な、Q値1に近づくような省エネ住宅だと、さらに断熱施工が難しくなるので、依頼先はもっと慎重に選ぶ必要がある。
アルミサッシに代わり樹脂サッシが新築住宅の標準的窓になりそうな流れ
2020年の新築住宅の省エネルギー基準への100%適合化に合わせ、各サッシメーカーがアルミサッシではなく、樹脂サッシを住宅の標準仕様とする動きがある。ハウスメーカー、工務店を問わず、今後、新築住宅は樹脂サッシが標準仕様になってくると思われる。窓の断熱性能を上げるのが、省エネ化をするのに一番簡単であるからだ。ガラスもペアガラスでなく、トリプルガラスにしたいところ。当然、アルミサッシに比べて価格は上がる。上の表を見ると、樹脂サッシのLow-Eペアガラスの場合、アルミサッシの1枚ガラスと比べて、窓から逃げる熱を74%カットしている。樹脂サッシにすると、それだけ断熱性能が高くなり省エネとなる。かつ室内温度差が少なくなるので、健康で心地いい室内が実現できる。
新築は減り、住まいは小さく高性能になるという流れは必然
サッシ以外の建材価格はもちろん、人件費も下がらないので、新築住宅は今よりも減り特別なものになるだろう。人口は減少して世帯数は増えているので、1家族当たりに人数は少なくなっているのだ。今後、住宅の棟数は減り、住まいは小さく高性能になるという流れは必然だ。新築は家族4人の場合は30坪程度にして、室内は自然素材+造作建具。外部は窯業系サイディング以外の長く使える建材で造り、なるべく質の高い(坪単価の高い)高性能住宅を建てるとランニングコストは安くなる。ここでいう高性能住宅とは、高断熱高気密住宅を指す。安い建材を使って大きな建物にするのは、メンテコストが高くなるので最悪の選択である。 ちなみに栃木県の戸建住宅の平均延床面積は40坪である。でかすぎる。
新築よりもリフォームが中心になる
新築が減り、中古住宅を買ってリフォームをして住むという人が増えるが、中古住宅も断熱改修して住むと快適である。国の補助金も新築より中古住宅の断熱改修にシフトしている流れ。断熱改修や耐震改修まで行う大規模リフォーム(リノベーションともいう)は新築よりも難しい部分がある。トラブルになりやすかったりするので、注意が必要である。
健康食品やサプリを買うより、住宅を断熱化したほうが健康になれるんじゃないかと提案したい。
住宅を断熱化するメリットを消費者に説明する場合、省エネはもちろんだが健康に暮らせるという事のほうが分かりやすいと思う。
下の表は、日本経済新聞に載った「健康食品・サプリメント市場働く女性が牽引」の記事。2012年度の健康食品・サプリメントの市場規模は約1兆4700億円で伸び続けているとのこと。住宅の断熱化と健康の関係が
消費者に分かりやすく証明できれば、健康食品関連に掛けているお金を住宅の断熱化に使ってもらえるのではないかと思う。サプリ買うより温度差の無い室内のほうが費用対効果は高いのではないだろうか?断熱改修は一度行えば、買い足す必要はないし、新築する場合は家をなるべく小さくして高性能化しておくのだ。
購入額を年齢別にみると、男女ともに60代がトップで70代が続いた。業界推計では、市場規模はここ数年、年3~5%程度ずつ拡大している。インテージによると、「これから購入したい」人を加えた「潜在市場規模」は現在の2倍以上。同社コンサルタントの見山公一さん(38)は「メーカーは複数の成分を入れた製品を発売するなど様々な工夫をしています。人口の高齢化が進む中で、市場規模はさらに拡大するでしょう」と予測する
住宅を断熱した場合の健康面のメリット
1.断熱化すると、冬、室内の温度差が少なくなるので、ヒートショックの予防になる。年配になると寒い室内は万病の元である。下の表、断熱化されている住宅は暖房した場合に温度差が少なくなっている。
2.断熱するメリットは、熱中症対策にもなる。断熱強化+通風+日射遮蔽はエアコンの温度を下げ過ぎずに快適に暮らせるコツである。日射遮蔽とは窓から熱を入れないように、よしずやすだれ等を掛けたりすること。
3.大震災や事故で、エネルギーインフラが途絶えると暖房が使えない。断熱化してあれば、温度降下をある程度防げる。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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