外壁塗装リフォーム。完成したのに塗装が剥がれた原因はコレでした
外壁塗装リフォームで、新たに塗装をしたら旧塗膜の下から剥がれてしまったという初めての経験をしました。
完成後に所々で塗膜が浮いてしまったので、全て剥がして最初から塗装し直しました。外壁の一部分だけだったので良かったものの、外壁全てなら大変なことになるところでした。
外壁塗装リフォームは、既存塗装の上に新たに塗料を塗り重ねるのが基本なので、既存塗装を自分の会社で行っていない場合は、以前の業者がどのような施工方法をしたのか分かりません。
ですから以前の業者が工程を省いたり下手な施工をしていると、お客さんもリフォームする業者も大変だという話をしたいと思います。
外壁塗装リフォームは既存塗装に塗り重ねるのが基本
上記写真は、塗料メーカーが出しているカタログを写したもの。そもそも外壁塗装リフォームは、このように、既存の旧塗膜の上に新たに塗料を塗り重ねます。旧塗膜は、浮いたり剥がれたりしている部分以外は剥がしません。
街中で足場を架けて外壁塗装リフォームが行われていますが、ほぼ100%が既存塗装の上に新たに塗装を塗り重ねるリフォームです。
既存の塗装面を目視したり手で触って、塗装が剥がれたり浮いたりしていなければ、塗装(旧塗膜)は密着しているものとして、外壁塗装を始めます。塗装(旧塗膜)の確認方法は目視と手で触ることしか無いと思います。
外壁塗装リフォームの順番
最初に既存の塗装を高圧洗浄して埃やゴミを取り、浮いている部分を剥がして、既存塗装が密着しているのを目視及び触って確認してから下地材を塗り始めます。
見積時に、旧塗膜の密着具合はチェックしていますから、工事が始まってから施工方法を変更することは、まずありません。
今回、塗装が剥がれたのは、屋上の手摺の内側。既存塗装は、目視および手で触って正常だったので、いつものように塗装しました。
高圧洗浄→乾いてから目視再確認→細かいクラックが多かったので微弾性の下塗り材フィーラ―→ポリウレタン樹脂塗装2回塗りという作業です。
新たに塗った塗膜が膨らんだ(剥がれた)
すると、手摺の所々で塗膜(とまく)が膨らんできました。塗装の膜を塗膜と言います。塗膜が膨らんできたということは、塗装が剥がれてきたということですから、やり直さなれればなりません。
膨らんだ塗膜を取ってみると、今回私たちが塗った塗装が剥がれたのではなく、その下の旧塗膜(既存の塗装)の下で剥がれていました。
目視と手で触っての確認では正常だった既存塗装が、実はキチンと密着していなかったのです。上に塗られた塗膜が乾燥硬化したことにより引っ張られて、旧塗膜の下から剥離したものと思われます。
写真のようなケレン棒と呼ばれているシートを剥がすような時に使う道具で剥がしてみると、旧塗膜の下地は汚れており茶色。手で触ると白い粉が付くような状態(チョーキング現象)でした。旧塗膜を剥がして、初めて分かったことですが、下地処理(高圧洗浄と下塗)をせずに塗装してしまった可能性が高いです。
塗装が膨らんでしまった手摺の内側(約14㎡)は、全て剥がして再塗装を行いました。塗料が完全に硬化する前だったので比較的簡単に剥がせたものの、約14㎡で剥がすだけで、職人2人で丸1日掛かりました。外壁293㎡全てが剥がれていたら、全て剥がして塗り替えとなるわけで、お客さんも私も死んでました。でもその可能性もあったわけです。
見積時に、塗膜の密着具合を確認するのは目視と触診でキチンと密着していたら、今回のように既存下地は正常だという判断をします。建物は透けて見えないので、本当の状態は分かりませんでした。
外壁部分も全て膨らんでしまったら、外壁塗装全てを剥がして塗り直す必要があるので、大変なことになるところでした。その可能性もゼロではありません。事前に既存下地の密着具合は、目視と触診でしか確認する方法が無いというのが怖いところです。
塗装工事に限らず、完成すると見えなくなってしまう下地の施工こそ、キチンと行わないと、今回のように本来なら不必要な工事を行うことになってしまいます。
お客さんに聞いたところ、前回塗装工事を請け負ったのは、訪販のリフォーム会社だったとのことでした。新築時からキチンとした施工及び施工管理を行う住宅会社、リフォーム会社に依頼するしかないと思います。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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