「実家の終末片付け」は体力のある40代後半くらいに行うのがベスト
親と子が離れて暮らしている場合。
子供が50~60歳台の時に、「実家の片付け」に時間を割かれる時期が来る可能性が高い。
「実家の片付け」とは、家の中に大量にある生活用品の生前整理や、遺品整理、実家の土地建物の売却等をすることをいう。「実家の片付け」というよりも「実家の終末片付け」と言った方が、分かりやすく現実的かもしれない。
親世帯が70歳台後半から80歳台になると、平均寿命を迎えるので、病気をしたり亡くなったりする。子世代は親の介護や死に直面し、実家の管理をせざるを得ない状況になるのだ。モノも家も余っていく中で、「実家の片付け」が子世代にのしかかる。これは社会問題化しつつあるという。
実際の「実家の片付け」の作業内容は、収納や物置に大量にあるモノの処分と整理だ。親が亡くなっている場合は、勝手に処分等ができるが、生きているうちは、親と相談しながら整理、処分をする必要がある。親世代は、モノを大切に持っている習慣があるから、モノは大量に収納されている。それらを、どう整理処分をするのかを打ち合わせをするのも大変そうだ。
残すモノが決まったら、実際の処分は、自治体のごみ収集の指定日に小分けにして出したり、車で自治体の無料処分場や民間の有料処分場に持っていくことになる。実家が離れている場合はいちいち実家に行って小分けにするなんて無理だろう。子供世帯が健康なら、このような作業はできるが、病気等で体調が悪いとなると作業は大変なことになる。親戚に依頼をしたり、有料で業者に依頼するしかないだろう。
だから、子世代が元気な可能性の高い40歳代後半くらいに、実家の親と相談して、来るべき時に備え、最低でもモノの整理処分をどうするかを決めておくのが無難だ。できたら、この時に「不要なオオモノ」は処分してしまったほうが良いと思う。
また、「30坪の家」でも、大量のモノがあり、片付けるのが大変だそうである。30坪の家とは、世間一般的にかなり小さな家なのだ。栃木県の戸建住宅の平均床面積は、約40坪(2008年)である。平均より10坪(畳20帖)も小さな家でさえ、大量のモノがあり、片付けが大変なのである。30坪の小さな家でも、子供が独立した後の個室にまで大量のモノがあったら、相当処分が大変なのは想像できる。処分及び管理をする子供のほうが、病気になってしまうかもしれない(笑)。
普通の人が戸建住宅を新築する場合は、30坪以下にするのが無難だと思う。30坪以下でなるべく坪単価を高くして家を建てたほうが良い。言い換えると、良い材料で小さな家を造るのだ。
良い材料とは、交換可能な無垢材や廃盤にならない造作部材。そういう建材は、基本的に値段が高いが、メンテナンスコストは、安くなる可能性が高い。
私自身、47歳であり、その世代にあたる。正直、毎日の仕事と生活で手一杯。
親に一言。要らないモノは処分してもらうように言おうと思った次第である。
8月18日(月)発売の『週刊東洋経済』で「実家の片づけ」という総40ページの大型特集が組まれている。(まだ未読。これから本屋行って読む)
私のような住宅建築業者が、経験上できる最大のアドバイスは、これから家を造る人には、「家は小さく造ったほうが良い」ということである。ハコが最小限なら、入るものも限られるからだ。経済状況と家族人数が縮小傾向なのだから、家を小さくするのは当然のことである。設計次第で、小さな家でも大きく住めるのだ。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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