2025-12-10
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ガス衣類乾燥機「乾太くん」が栃木県で普及しやすい3つの地域特性を、リンナイ宇都宮営業所長、樋口様にお聞きしました

樋口様と「乾太くん」をAIで合成したものです

先日、「ガス衣類乾燥機『乾太くん』を、20年以上愛用されているお客様へのインタビュー」をブログに掲載しました。

すると翌日、リンナイ宇都宮営業所長の 樋口政一様からお電話をいただき、「当社の乾太くんをお選びいただきありがとうございます。ぜひ御社に伺って製品のご紹介をさせてください」とのお申し出があり、ご訪問いただきました。

樋口様からお聞きした、以下の内容を整理してお伝えします。

  1. なぜ「乾太くん」は、近年普及してきたのか?
  2. コインランドリーvs「乾太くん」を自宅設置した場合のコスト比較
  3. ガス衣類乾燥機「乾太くん」が、栃木県で普及しやすい3つの地域特性
  4. ネットには載っていない「乾太くん」の歴史
  5. ガス衣類乾燥機「乾太くん」は、便利でランニングコストも安いのに、なぜ広く普及しないのか?
  6. 栃木県の新築注文住宅のうち、「乾太くん」の普及率は〇%?
  7. 「乾太くん」を標準仕様にして敷地に都市ガスを引き込むなら――という観点からガス+電気のハイブリッド給湯器「ECO ONE」のご提案を受け、エコキュートと比較しました
  8. まとめ

ご紹介:リンナイ宇都宮営業所長 樋口様

今回ご来社いただいたのは、リンナイ宇都宮営業所の所長、樋口政一様です。2年前に栃木県へ赴任される前は、東京都八王子市の営業所に勤務されていたそうです。

なぜ「乾太くん」は、近年普及してきたのか?

樋口様から「ガス衣類乾燥機 乾太くんが、近年、普及してきた理由は何だと思いますか?」と尋ねられました。

私が「YouTubeなどのSNSで、住宅関連の専門家や実際のユーザーが、乾太くんの良さを発信したからでは」と答えると、

樋口様はこう付け加えられました。

「それもあると思いますが、最近、街に増えたおしゃれなコインランドリーで、ガス乾燥機を使ったことがきっかけなのです」

以下の話を聞いて納得しました。

実際に「乾太くん」が広がってきた理由として、主に以下の2点が挙げられます。

コインランドリーの体験が「乾太くん」導入のきっかけに

  • おしゃれで便利なコインランドリーが、街中で増えており、コインランドリーの多くがガス衣類乾燥機を採用。
  • ガス衣類乾燥機の「短時間でふかふかに乾く」「生乾き臭がしない」「洗濯物がふわふわ」などの体験が多くの人に好評。
  • 実際にその利便性を体験したことで、「自宅にもガス乾燥機=『乾太くん』を導入したい」と考える人が増えた。

YouTubeなどで専門家・ユーザーが「乾太くん」のメリットを発信

  • 住宅の専門家や家電や住宅設備に詳しい人たちが、動画で「乾太くん」の高性能さ、電気式との違い、コスト面の優位性などをわかりやすく紹介。
  • 動画を見た多くの人が、「自分の暮らしに取り入れたい」と感じ、導入を検討するようになった。
  • SNSや動画の影響力が、普及の後押しになっている。

コインランドリーvs「乾太くん」を自宅設置した場合のコスト比較

小冊子「乾太くんOWNERS VOICE」コインランドリー体験がきっかけとなり、乾太くんを導入した事例が掲載されています
  • 多くのコインランドリーでは、「洗濯+乾燥(まとめて)」で1回あたり 約800円〜1,200円が相場。
  • 洗濯と乾燥を別々に行う場合は、洗濯で約500〜700円、乾燥で約300〜500円、合算で およそ900〜1,200円。
  • これに対し、自宅で「乾太くん」を使った場合のガス代は、1日あたり 約58円(当社のお客様実例)。

このように、「乾太くん」を自宅設置すれば圧倒的に安く、かつコインランドリーに行く「移動時間+手間」も省けるため、コインランドリー利用者が自宅導入を真剣に考える理由になったとのことです。

ガス衣類乾燥機「乾太くん」が栃木県で普及しやすい3つの地域特性

栃木県は、福島県に次いで花粉が多い

樋口様は、栃木県の地域特性(気候風土や住宅事情)が、「乾太くん」に非常にマッチしていると指摘されました。

そのポイントは、以下の3点です。

  1. 雷雨やゲリラ豪雨が多く、屋外に洗濯物を干しにくい
    1. 栃木県宇都宮市は「雷都(らいと)」と呼ばれるほど雷が多く、夏は夕立やゲリラ豪雨もある
    1. ベランダやウッドデッキなど、屋外に洗濯物を干すと天候に左右されやすく、「乾太くん」のような室内乾燥機が重宝されやすい
  2. 「花粉王国 栃木県」——スギ・ヒノキ花粉の飛散数が多く、外干しに抵抗がある
    1. 栃木県はスギ・ヒノキ花粉の飛散数が全国でもトップクラス
    1. 花粉や黄砂、PM2.5などが気になるため、外で洗濯物を干したくない家庭が多く、「乾太くん」のような乾燥機のニーズが高い。
    2. 統計情報にはありませんが、上記のように花粉が多いためか、栃木県に引っ越してきた花粉症の方は、症状が酷くなる方が多いそうです。
  3. 敷地が広く、平屋住宅が多めで、サニタリールームやランドリールームが設けやすい
    1. 栃木では注文住宅の約3割が平屋とのこと。平屋は2階建てのようにベランダがないので、室内に洗濯スペース(サニタリールームやランドリールーム)を確保する傾向がある。
    1. ちなみに、総2階建て30坪以下くらいの住宅の場合、洗面脱衣室は2畳ほどで、そこを物干しスペースを兼ねてサニタリールームとして使いますが、栃木県の平屋は3畳ほどの洗面脱衣室(サニタリールーム)を取ることもあるそうです。「乾太くん」があれば、物干しスペースは、ほぼ必要なくなります。3畳あると収納も確保できて、ゆとりがあると思いました。

ネットに載っていない「乾太くん」の商品歴史

  • 詳しく分かったら改めて書きます

このような経緯はネット上にあまり情報がないため、今回ご紹介いただいた貴重な裏話です。

ガス衣類乾燥機「乾太くん」は、便利でランニングコストも安いのに、なぜ広く普及しないのか?

ピンクが都市ガス供給エリア。環状線内側でも都市ガスが使えない地域が多々ある

都市ガスの配管が必須だが、未整備地域が多い

  • 電気はどこでも使えるが、ガスを使うには都市ガスの引き込みが前提。
  • 宇都宮市内でも、都市ガスが整備されていない地域が多く、そこに導入するには配管工事が必要で、コストと手間がかかる。
    • たとえ近くに「本管」が通っていたとしても、敷地内への引き込みや宅内配管が必要になるため、手続きや費用が導入のハードルになる。
  • 過去には複数の住宅がまとまって「ガス配管を敷設してほしい」と要望し、本管延長が行われた地域もあったが、人口減少や少子高齢化の現状では、新たな配管の敷設は難しい現況。

プロパンガス地域では現在「ガス機器導入」に抵抗がある

  • 都市ガスが通っていない地域でも、プロパンガス用の「乾太くん」を使うことは可能。
    • しかし、2024年7月に改正された 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法) により、「ガス会社が給湯器や配管を無償で設置し、後で高いガス料金で回収する」ような慣習は禁じられた。
  • これにより、プロパンガス業者側が「乾太くん」を住宅会社やエンドユーザーに勧めにくくなっており、導入の障壁になっている。

栃木県の新築注文住宅のうち、「乾太くん」の普及率は〇%?

栃木県の新築注文住宅のうち、〇%に「乾太くん」が設置されるとのことです。何パーセントかを教えて頂いたのですが、数字は言わないでくださいということなので、書きません。

先日書いたブログに書いたように、「乾太くん」は時代に合っていますが、その割には、まだまだ普及していない印象です。

「乾太くん」を標準仕様にして敷地に都市ガスを引き込むなら――という観点から、ガス+電気のハイブリッド給湯器「ECO ONE」のご提案を受け、エコキュートと比較しました

上記したように、ガス衣類乾燥機「乾太くん」は、都市ガスが使える地域で、都市ガスを宅地内に引き込んで使うことが前提になります。都市ガス未整備地域で、プロパンガス用「乾太くん」を使う場合は別です。

樋口様からは、「乾太くん」を標準仕様にして都市ガスを引き込む前提なら、給湯器も、エコキュートではなくハイブリッド給湯器「ECO ONE」にしてはどうですか?という提案を受けました。

私は、ハイブリッド給湯器「ECO ONE」を使ったことが無いので、チャットgptにエコキュートとエコワンを比較してもらいました。

比較表:エコキュート vs エコワン(ハイブリッド給湯器)

比較項目エコキュートハイブリッド給湯器(エコワン)
熱源空気(ヒートポンプ)+深夜電力空気(ヒートポンプ)+ガス(補助)
ランニングコスト◎ 安い(主に深夜電力使用)○ 比較的安い(効率よくガスと電気を使い分け)
初期費用○ 比較的安い(50万~80万円前後)△ やや高め(70万~100万円以上)
設置スペース△ 貯湯タンクが大きく、場所を取る○ コンパクト(貯湯タンクが小さくて済む)
お湯切れの心配△ 使いすぎるとお湯が足りなくなることも◎ 足りない時はガスですぐ沸かせる
お湯の使い方時間帯を意識して使う必要がある気にせずいつでもお湯を使える
停電時の対応△ お湯は出せるが、電気制御が使えないことがある△ 同様に一部制限あり
故障リスク○ シンプルな構造で耐久性高め△ 機構が複雑で部品点数が多く、故障時は修理費がやや高め
環境負荷◎ CO₂排出が少ない◎ ヒートポンプ優先で環境負荷は小さい
有利になりやすい条件(エコワン有利)有利になりやすい条件(エコキュート有利)
お湯を大量に使う/給湯+暖房など多用途で使うお湯は普通に使うだけ(給湯中心)、暖房は使わない
夜間電力ではなく、昼間の電気やガスとの組み合わせで効率よく使える夜間電力プランが使える/電気代が安価な地域・契約
ガス契約が安い(都市ガスなど)電気の単価が安く、電気給湯が効率的に働く

どちらが有利か?

  • ECO ONEが有利 な条件
    • お湯を大量に使う、または給湯+暖房など多目的に使いたい場合
    • 昼間の電気やガスを上手に使える環境
    • 都市ガス料金が比較的安価
  • エコキュートが有利 な条件
    • 給湯だけ、暖房を使わない、電気代が安価な夜間電力プランが使える
    • 初期費用を抑えたい、設備更新金額を抑えたい

まとめ

今回、リンナイ宇都宮営業所の樋口様のお話を通じて、「乾太くん」が近年普及してきた背景や、栃木県で導入が進みやすい理由、そして普及が頭打ちになりがちな事情まで、リアルな現状がよく見えました。

栃木県では――

  • 雷やゲリラ豪雨、
  • 花粉・黄砂・PM2.5など外干ししづらい気候
  • 敷地が広く平屋も多く、室内洗濯スペース(サニタリールーム・ランドリールーム)を取りやすい住宅事情

――などが、「乾太くん」の需要を自然に押し上げる条件となっています。

しかし、栃木県は宇都宮市も含めて、都市ガスの配管が整っていない地域があること、法制度と関連したプロパンガス業者の事情などがネックになり、普及はまだ限定的です。

「乾太くん」は、お客様が時短・家事楽できることが最大のメリットです。またランニングコストが安いためメリットが大きい。かつ栃木県の気候・住宅事情に合っています。

あとは「乾太くん情報の普及」が進めば、もっと身近な選択肢になる可能性が高そうだ――というのが、私の今回の実感です。

今後、栃木県内で乾太くんの導入を検討される方や、住宅設備に関心のある方にとって、この「乾太くんブログ」が参考になれば幸いです。

 

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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