ガス衣類乾燥機「乾太くん」が栃木県で普及しやすい3つの地域特性を、リンナイ宇都宮営業所長、樋口様にお聞きしました

先日、「ガス衣類乾燥機『乾太くん』を、20年以上愛用されているお客様へのインタビュー」をブログに掲載しました。
すると翌日、リンナイ宇都宮営業所長の 樋口政一様からお電話をいただき、「当社の乾太くんをお選びいただきありがとうございます。ぜひ御社に伺って製品のご紹介をさせてください」とのお申し出があり、ご訪問いただきました。
樋口様からお聞きした、以下の内容を整理してお伝えします。
- なぜ「乾太くん」は、近年普及してきたのか?
- コインランドリーvs「乾太くん」を自宅設置した場合のコスト比較
- ガス衣類乾燥機「乾太くん」が、栃木県で普及しやすい3つの地域特性
- ネットには載っていない「乾太くん」の歴史
- ガス衣類乾燥機「乾太くん」は、便利でランニングコストも安いのに、なぜ広く普及しないのか?
- 栃木県の新築注文住宅のうち、「乾太くん」の普及率は〇%?
- 「乾太くん」を標準仕様にして敷地に都市ガスを引き込むなら――という観点からガス+電気のハイブリッド給湯器「ECO ONE」のご提案を受け、エコキュートと比較しました
- まとめ
目次
ご紹介:リンナイ宇都宮営業所長 樋口様
今回ご来社いただいたのは、リンナイ宇都宮営業所の所長、樋口政一様です。2年前に栃木県へ赴任される前は、東京都八王子市の営業所に勤務されていたそうです。
なぜ「乾太くん」は、近年普及してきたのか?
樋口様から「ガス衣類乾燥機 乾太くんが、近年、普及してきた理由は何だと思いますか?」と尋ねられました。
私が「YouTubeなどのSNSで、住宅関連の専門家や実際のユーザーが、乾太くんの良さを発信したからでは」と答えると、
樋口様はこう付け加えられました。
「それもあると思いますが、最近、街に増えたおしゃれなコインランドリーで、ガス乾燥機を使ったことがきっかけなのです」
以下の話を聞いて納得しました。
実際に「乾太くん」が広がってきた理由として、主に以下の2点が挙げられます。
コインランドリーの体験が「乾太くん」導入のきっかけに
- おしゃれで便利なコインランドリーが、街中で増えており、コインランドリーの多くがガス衣類乾燥機を採用。
- ガス衣類乾燥機の「短時間でふかふかに乾く」「生乾き臭がしない」「洗濯物がふわふわ」などの体験が多くの人に好評。
- 実際にその利便性を体験したことで、「自宅にもガス乾燥機=『乾太くん』を導入したい」と考える人が増えた。
YouTubeなどで専門家・ユーザーが「乾太くん」のメリットを発信
- 住宅の専門家や家電や住宅設備に詳しい人たちが、動画で「乾太くん」の高性能さ、電気式との違い、コスト面の優位性などをわかりやすく紹介。
- 動画を見た多くの人が、「自分の暮らしに取り入れたい」と感じ、導入を検討するようになった。
- SNSや動画の影響力が、普及の後押しになっている。
コインランドリーvs「乾太くん」を自宅設置した場合のコスト比較

- 多くのコインランドリーでは、「洗濯+乾燥(まとめて)」で1回あたり 約800円〜1,200円が相場。
- 洗濯と乾燥を別々に行う場合は、洗濯で約500〜700円、乾燥で約300〜500円、合算で およそ900〜1,200円。
- これに対し、自宅で「乾太くん」を使った場合のガス代は、1日あたり 約58円(当社のお客様実例)。
このように、「乾太くん」を自宅設置すれば圧倒的に安く、かつコインランドリーに行く「移動時間+手間」も省けるため、コインランドリー利用者が自宅導入を真剣に考える理由になったとのことです。
ガス衣類乾燥機「乾太くん」が栃木県で普及しやすい3つの地域特性

樋口様は、栃木県の地域特性(気候風土や住宅事情)が、「乾太くん」に非常にマッチしていると指摘されました。
そのポイントは、以下の3点です。
- 雷雨やゲリラ豪雨が多く、屋外に洗濯物を干しにくい
- 栃木県宇都宮市は「雷都(らいと)」と呼ばれるほど雷が多く、夏は夕立やゲリラ豪雨もある
- ベランダやウッドデッキなど、屋外に洗濯物を干すと天候に左右されやすく、「乾太くん」のような室内乾燥機が重宝されやすい
- 「花粉王国 栃木県」——スギ・ヒノキ花粉の飛散数が多く、外干しに抵抗がある
- 栃木県はスギ・ヒノキ花粉の飛散数が全国でもトップクラス
- 花粉や黄砂、PM2.5などが気になるため、外で洗濯物を干したくない家庭が多く、「乾太くん」のような乾燥機のニーズが高い。
- 統計情報にはありませんが、上記のように花粉が多いためか、栃木県に引っ越してきた花粉症の方は、症状が酷くなる方が多いそうです。
- 敷地が広く、平屋住宅が多めで、サニタリールームやランドリールームが設けやすい
- 栃木では注文住宅の約3割が平屋とのこと。平屋は2階建てのようにベランダがないので、室内に洗濯スペース(サニタリールームやランドリールーム)を確保する傾向がある。
- ちなみに、総2階建て30坪以下くらいの住宅の場合、洗面脱衣室は2畳ほどで、そこを物干しスペースを兼ねてサニタリールームとして使いますが、栃木県の平屋は3畳ほどの洗面脱衣室(サニタリールーム)を取ることもあるそうです。「乾太くん」があれば、物干しスペースは、ほぼ必要なくなります。3畳あると収納も確保できて、ゆとりがあると思いました。
ネットに載っていない「乾太くん」の商品歴史
- 詳しく分かったら改めて書きます
このような経緯はネット上にあまり情報がないため、今回ご紹介いただいた貴重な裏話です。
ガス衣類乾燥機「乾太くん」は、便利でランニングコストも安いのに、なぜ広く普及しないのか?

都市ガスの配管が必須だが、未整備地域が多い
- 電気はどこでも使えるが、ガスを使うには都市ガスの引き込みが前提。
- 宇都宮市内でも、都市ガスが整備されていない地域が多く、そこに導入するには配管工事が必要で、コストと手間がかかる。
- たとえ近くに「本管」が通っていたとしても、敷地内への引き込みや宅内配管が必要になるため、手続きや費用が導入のハードルになる。
- 過去には複数の住宅がまとまって「ガス配管を敷設してほしい」と要望し、本管延長が行われた地域もあったが、人口減少や少子高齢化の現状では、新たな配管の敷設は難しい現況。
プロパンガス地域では現在「ガス機器導入」に抵抗がある
- 都市ガスが通っていない地域でも、プロパンガス用の「乾太くん」を使うことは可能。
- しかし、2024年7月に改正された 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法) により、「ガス会社が給湯器や配管を無償で設置し、後で高いガス料金で回収する」ような慣習は禁じられた。
- これにより、プロパンガス業者側が「乾太くん」を住宅会社やエンドユーザーに勧めにくくなっており、導入の障壁になっている。
栃木県の新築注文住宅のうち、「乾太くん」の普及率は〇%?
栃木県の新築注文住宅のうち、〇%に「乾太くん」が設置されるとのことです。何パーセントかを教えて頂いたのですが、数字は言わないでくださいということなので、書きません。
先日書いたブログに書いたように、「乾太くん」は時代に合っていますが、その割には、まだまだ普及していない印象です。
「乾太くん」を標準仕様にして敷地に都市ガスを引き込むなら――という観点から、ガス+電気のハイブリッド給湯器「ECO ONE」のご提案を受け、エコキュートと比較しました
上記したように、ガス衣類乾燥機「乾太くん」は、都市ガスが使える地域で、都市ガスを宅地内に引き込んで使うことが前提になります。都市ガス未整備地域で、プロパンガス用「乾太くん」を使う場合は別です。
樋口様からは、「乾太くん」を標準仕様にして都市ガスを引き込む前提なら、給湯器も、エコキュートではなくハイブリッド給湯器「ECO ONE」にしてはどうですか?という提案を受けました。
私は、ハイブリッド給湯器「ECO ONE」を使ったことが無いので、チャットgptにエコキュートとエコワンを比較してもらいました。
比較表:エコキュート vs エコワン(ハイブリッド給湯器)
| 比較項目 | エコキュート | ハイブリッド給湯器(エコワン) |
| 熱源 | 空気(ヒートポンプ)+深夜電力 | 空気(ヒートポンプ)+ガス(補助) |
| ランニングコスト | ◎ 安い(主に深夜電力使用) | ○ 比較的安い(効率よくガスと電気を使い分け) |
| 初期費用 | ○ 比較的安い(50万~80万円前後) | △ やや高め(70万~100万円以上) |
| 設置スペース | △ 貯湯タンクが大きく、場所を取る | ○ コンパクト(貯湯タンクが小さくて済む) |
| お湯切れの心配 | △ 使いすぎるとお湯が足りなくなることも | ◎ 足りない時はガスですぐ沸かせる |
| お湯の使い方 | 時間帯を意識して使う必要がある | 気にせずいつでもお湯を使える |
| 停電時の対応 | △ お湯は出せるが、電気制御が使えないことがある | △ 同様に一部制限あり |
| 故障リスク | ○ シンプルな構造で耐久性高め | △ 機構が複雑で部品点数が多く、故障時は修理費がやや高め |
| 環境負荷 | ◎ CO₂排出が少ない | ◎ ヒートポンプ優先で環境負荷は小さい |
| 有利になりやすい条件(エコワン有利) | 有利になりやすい条件(エコキュート有利) |
| お湯を大量に使う/給湯+暖房など多用途で使う | お湯は普通に使うだけ(給湯中心)、暖房は使わない |
| 夜間電力ではなく、昼間の電気やガスとの組み合わせで効率よく使える | 夜間電力プランが使える/電気代が安価な地域・契約 |
| ガス契約が安い(都市ガスなど) | 電気の単価が安く、電気給湯が効率的に働く |
どちらが有利か?
- ECO ONEが有利 な条件
- お湯を大量に使う、または給湯+暖房など多目的に使いたい場合
- 昼間の電気やガスを上手に使える環境
- 都市ガス料金が比較的安価
- エコキュートが有利 な条件
- 給湯だけ、暖房を使わない、電気代が安価な夜間電力プランが使える
- 初期費用を抑えたい、設備更新金額を抑えたい
まとめ
今回、リンナイ宇都宮営業所の樋口様のお話を通じて、「乾太くん」が近年普及してきた背景や、栃木県で導入が進みやすい理由、そして普及が頭打ちになりがちな事情まで、リアルな現状がよく見えました。
栃木県では――
- 雷やゲリラ豪雨、
- 花粉・黄砂・PM2.5など外干ししづらい気候
- 敷地が広く平屋も多く、室内洗濯スペース(サニタリールーム・ランドリールーム)を取りやすい住宅事情
――などが、「乾太くん」の需要を自然に押し上げる条件となっています。
しかし、栃木県は宇都宮市も含めて、都市ガスの配管が整っていない地域があること、法制度と関連したプロパンガス業者の事情などがネックになり、普及はまだ限定的です。
「乾太くん」は、お客様が時短・家事楽できることが最大のメリットです。またランニングコストが安いためメリットが大きい。かつ栃木県の気候・住宅事情に合っています。
あとは「乾太くん情報の普及」が進めば、もっと身近な選択肢になる可能性が高そうだ――というのが、私の今回の実感です。
今後、栃木県内で乾太くんの導入を検討される方や、住宅設備に関心のある方にとって、この「乾太くんブログ」が参考になれば幸いです。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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