2026-02-28
リフォーム
高断熱・高気密住宅

家が寒い本当の理由は「断熱不足+気密不足」|家を壊さずに出来る、費用対効果の高い3つの断熱リフォーム

冬になると

  • 「暖房を入れても家が寒い」
  • 「足元が冷える」
  • 「暖房費がどんどん上がる」
  • 「窓が結露する」
  • 「壁の下の方が結露して、カビが生えている」

このような悩みを持つお宅は、少なくありません。

その原因の多くは、断熱不足と気密不足による、室内及び壁内空気の異常な流れです。

この記事では、まず断熱気密が不足している住宅で、冬に何が起きているのかをイラストで解説します。

その上で、

  1. 費用対効果が高い
  2. 家を壊さないで出来る
  3. 住みながら工事できる

という条件を満たした3つの断熱リフォームを、住宅の断熱改修を行っている工務店の立場から解説します。

家が暖かくならない理由は、断熱気密が不足している家で起きる、「冬の空気の流れ」

断熱気密不足の家の、冬の空気の流れ

断熱と気密が不足している住宅では、冬に次のような現象が起きています。

まず、1階で暖房をすると室内の空気は温められます。暖かい空気は軽いため、自然に上昇します。

すると、

暖かい空気が上昇する

暖房(エアコン・石油ファンヒーターなど)をつけると、暖められた空気は軽くなるため上昇します。

暖かい空気は

  • 1階天井
  • 1階天井裏
  • 2階の壁内部
  • 2階天井裏

へ上昇していきます。

床下の冷たい空気が1階に侵入する

1階の暖かい空気が上昇すると、その分だけ室内の下部に空気の不足(負圧)が発生します。

暖かい空気が上昇するので、それに伴い、

・1階床と壁の取り合い
・1階床の隙間
・コンセント周辺
・配管まわり

などから、床下の冷たい空気が室内に入り込みます。

昔の住宅では、家の気密性は、ほとんど取られていません。また現在新築されている住宅でも、気密工事を行い、気密試験を行っている住宅は少ない。そのため、床下空気が1階室内や、壁内に入りやすい構造になっています。

壁の中で上昇気流(壁内気流)が発生する

床下の冷たい空気は、

1階の壁の中に入り
→暖められて軽くなり
→壁内を上昇

します。

この上昇気流を

壁内気流(へきないきりゅう)、もしくは壁体内気流(へきたいないきりゅう)

といいます。

壁内気流が起きると、壁の断熱材内部の空気が上昇するため、本来効くはずの、既存の壁断熱材の性能が著しく低下し、かつ壁内結露も起きやすくなります。

壁の下部で結露とカビが発生する

壁下部のカビ 出典

床下の冷たい空気と、室内の暖かい空気が混ざる場所は1階の壁の下部です。

この部分で

・温度差
・湿気

が重なると壁内結露が発生することがあります。壁内結露が何度も起きると、カビが生えてくることが多いです。

実際にカビが見える位置は、床から30〜40cm程度の場所です。1階壁の下のほうが黒くなっているのは、結露によるカビであることも多いです。

暖房しても寒く、光熱費が上がる

気密性の悪い家の空気は、気球と同じように上昇し続けるため、床下の冷たい空気も入り続ける

このような住宅では

・暖房しても暖気が上へ逃げて
・床下の冷気が入り続ける

ことが連続して起きているため、暖房を強くしないと暖まりません。

しかし暖房を強くすると

・暖気がさらに上昇して
・冷気侵入が増える

という、悪循環の家になります。

気球は、空気を暖めることで上昇します。それが「気密性の悪い家で起きている」と考えると、分かりやすいと思います。気密性の悪い家の空気は、気球と同じように上昇し続けるため、床下の冷たい空気も室内に入り続けます。

結果として光熱費が高く、寒い家になってしまいます。

次の項から、寒い家を暖かくする具体的な対策を書きます。

効果的な断熱リフォーム① 内窓設置・玄関ドア交換(開口部断熱)

窓から出入りする熱 出典

家を壊さずにできる断熱リフォームの中で、最も費用対効果が高いのが窓の断熱です。

住宅の熱の出入りは


約50%が窓から逃げる


約68%が窓から入る

と言われています。

つまり、窓を改善するだけで家の断熱性能は大きく改善します。

●開口部の断熱リフォームの主な方法

内窓施工例 BEFORE 
内窓施工例 AFTER 出窓に内窓を付けた

・内窓(二重窓)の設置
・ガラスを複層ガラスに交換
・玄関ドア交換

などです。

特におすすめなのは樹脂製の内窓設置です。既存窓がアルミサッシの1枚ガラスのサッシでも、樹脂複層ガラスの内窓を設置すると断熱性能は大幅に改善します。

内窓のメリット

内窓には断熱以外にも多くのメリットがあります。

・結露が大幅に減る
・防音性能が上がる
・防犯性が上がる
・冷暖房効率が上がる
・ヒートショック対策になる

体感温度が最も変わりやすいのも、内窓設置などの「窓の断熱リフォーム」です。

30坪程度の住宅であれば1日程度で工事完了するケースがほとんどです。

 効果的な断熱リフォーム② 床下断熱リフォーム

床下断熱リフォーム事例。防蟻処理後に、木材が乾いてから床下断熱工事(発砲ウレタン)を行う。土間の防湿シートは断熱工事の後に施工した。

「足元が寒い」と感じる住宅では、床断熱が不足しているケースが多くあります。

床下断熱を強化すると

  • 足元の冷え改善
  • 壁内気流の抑制
  • 1階の壁下部の結露とカビの予防

という効果があります。

床断熱リフォームの施工方法

床下に入り既存の床断熱材の下や上に発泡ウレタン断熱材などを吹き付けて断熱補強します。既存の断熱材にプラスして100mm厚さ程度吹付することが多いです。

床を剥がす必要がないため住みながら施工できます。

当社では

  1. 床下木部等の防蟻処理
  2. 防蟻処理後の木部の乾燥期間確保
  3. 床下発泡断熱材施工
  4. 土間の防湿シート施工

という順序で施工しました。

床断熱リフォームのメリット

床断熱を強化すると

・足元の冷えが減る
・上下温度差が減る
・壁内気流が減る
・既存の壁断熱が効きやすくなる

などの効果があります。

効果的な断熱リフォーム③ 天井断熱リフォーム

冬の暖房効率を上げるには、天井断熱リフォームも重要です。

暖かい空気は上昇するため、天井断熱が弱い住宅では暖房の熱が屋根から逃げてしまいます。

また、天井断熱は夏の暑さ対策にも非常に有効です。

天井断熱リフォームの施工方法

天井裏に職人が入り

・壁の気流止め施工(天井裏に吹き込んだ断熱材が落ちないようにという意味もあり)
・断熱材施工

を行います。

天井断熱材の種類は

・グラスウール敷き込み
・グラスウールもしくはセルロースファイバー吹込み

などがあります。

天井裏に断熱材が吹き込める高さがある場合、300~400mm等の充分な厚さの断熱材を吹き込めます。

●天井断熱リフォームの効果

天井断熱を強化すると

  • 暖房効率向上
  • 夏の2階の暑さ軽減
  • 冷房効率向上
  • 雨音が小さくなる

などの効果があります。

3つの断熱リフォームの優先順位

費用対効果で考えると

一般的には


②床
③天井

の順で行うのがおすすめです。

断熱リフォームの優先順位を付けた理由は、2つあります。

理由①

窓が最も熱損失が大きいため。

住宅の熱の出入りは窓が圧倒的に多いため、窓の断熱強化するのが一番効果的です。

最初に行いたいのが内窓設置です。

一度内窓を設置すると、室内の寒さが和らぐため、他の部屋もリピートするほど、内窓を付けたくなるお宅が多いです。

理由②

床断熱リフォーム+天井断熱リフォームを行うと、壁の上下に気流止めができる形になります。

これにより壁内気流が止まり、既存の壁の中に入っている断熱材が本来の性能を発揮できるようになります。

外壁(壁)の断熱リフォームが高額になる理由

断熱リフォームできる場所として

・窓
・床
・天井
・壁

があります。

この中で、最も費用がかかるのが「壁の断熱リフォーム」です。

理由は、解体工事と下地工事と内装工事のやり替えが必要だからです。

外壁(壁)の断熱リフォームの一般的な工程

外壁の断熱リフォームは、

  1. 外壁廻りの、室内側の天井石膏ボードと天井下地を撤去して、外壁の室内側の壁を解体できるようにする(外壁に接する、幅450mm程度の天井も下地木材まで撤去が必要)
  2. 室内側から壁紙等を剥がして、壁の石膏ボードを撤去してから、断熱材を入れ替える
  3. 壁の断熱材の上から、気密シートを貼る
  4. 石膏ボードを新設
  5. 天井下地木材と天井ボード貼り
  6. 巾木を含む、壁と天井の内装材を仕上げる

という工程になります。

壁の断熱リフォームは、他の3つの断熱リフォームとは違い、壊してから新設するという手順になるため、時間と手間と材料費が掛かります。

結果としてお金が掛かるため、壁の断熱リフォームは、内装を全て撤去するスケルトンリフォームのような、大規模リフォームの場合にのみ行う事が多いです。

内窓設置に使える、リフォーム補助金のご紹介

今年も、住宅省エネ2026キャンペーンで、内窓リフォームに補助金が出ています。

代表的なのは先進的窓リノベ事業です。

補助額は窓の性能とサイズによって数万円〜十数万円/1つの窓あたりになるケースもあります。

内窓設置は補助金を使うとお得に設置できます。

https://jutaku-shoene2026.mlit.go.jp/

断熱リフォームまとめ

寒い家の多くは、断熱不足+気密不足が原因です。

特に

・窓
・床
・天井

の断熱を改善するだけでも、住宅の快適性は大きく改善します。

費用対効果の高い順に整理すると

① 窓(内窓)
② 床断熱
③ 天井断熱

です。

家を壊さなくてもできる断熱リフォームは3種類あります。

寒さや光熱費でお悩みの方は、まずは、窓の断熱リフォーム(内窓設置)から検討するのがおすすめです。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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