2019-06-05
A-house(上三川町)
Q1.0住宅宇都宮の家 SH-house(宇都宮市)
庭・外構

新築中の施主と一緒に、OB施主の家に行って、庭づくりと植栽のレクチャーを受けた話

今年4月、DIYした植栽や土間の大谷石について説明してくれているAさん。

今年2月。

 

事務所で、現在Q1.0住宅を建築中のSHさんの奥様と、打合せ後に世間話をしていたら、10年前に完成引き渡しをしたAさん海外出張のお土産を持ってきてくれて、3人で話をする機会がありました。

 

その時にAさん宅の「家造り」と「庭づくり」の話になりました。

 

特に「庭づくり」は植栽から大谷石のアプローチまで、約2年かけて全て自分で行い、10年経った今も手入れを続けています。

 

新築中のSHさんも、自宅の完成後に、自分達で植栽等の庭造りをしたいということで、経験者のAさんのお宅にお邪魔して、庭と家を見せてもらうことになりました。

 

4月のAさん宅訪問

4月訪問時、植栽について話をするAさんとSHさん。土間の大谷石幅は車の轍幅になっており、奥の車庫まで車で行ける。そこがバイクを分解できるスペースにもなっている。

 

4月にSHさんご夫妻と私の3人で、Aさん宅に伺う予定でしたが、旦那様に急用が入ってしまったので、奥様と私で伺いました。

 

Aさんからは、最初にスケッチや配置図を描くことが大切であること、樹種の選び方や植え方、塀用の分厚い大谷石40本を解体現場から軽トラで運んだこと、失敗したことや現在の様子まで、ざっくばらんに話を聞きました。

 

Aさんの描いたスケッチ。ほぼスケッチ通りに完成している。

配置図

 

室内→ウッドデッキ→庭のつながり。

 

その時のAさんの話が分かりやすく、魅力的だったこともあり、先週6/1日曜日は旦那様も一緒に伺うことが出来ました。

 

Aさんは樹木を植える時に深めに土を掘らなかったので、根っこが上手く張らずに植えた木を掘り起こしてやり直した話や、ほぼ毎週土日に2年間に渡って庭づくりをしたので体脂肪率が7%になり、健康診断で医師に注意された話等を面白く話してくれたのでした。

 

失敗談も入ると身近に感じて、自分も出来そうだと思えてくるから不思議です。

 

また、庭木として定番になっている樹木は基本的に育てやすく、あまり名前の聞かない変わった樹木は定番になりにくい理由があることも話に出ました。

 

6月のAさん宅訪問

6月の樹木。4月に比べると緑が濃く茂っている。木の下は涼しい。AさんとSHさんご夫妻。

 

まず4月の訪問時よりも緑が濃く茂っています。道路から入ると涼しい林を抜けて玄関に行く感じ。

 

高い枝を切る時に使う4.5Mの脚立。普通のお宅には無い長さ!。脚立を収納するパイプも木製でなく金属製に交換して、白蟻対策をしてもらった。

 

地面を固めるオリジナルの突き棒。あまり重くなくて施工性が良い。主に土間の大谷石下の地面を転圧するために使った。

芝刈り機。頑丈そう。

 

前回訪問時の話にプラスして、樹木の購入先、どのような道具を使って、どのような手入れをしているかといった具体例をお聞きしました。

 

実物の7種類程度の樹木が目の前にあり、経年したその樹木の大きさや色や枝ぶりが見えるので、購入の参考になったかと思います。また、その購入先と手入れの方法までレクチャーしてもらいました。

 

同じ種類でも、幹や葉っぱの様子で全く違う木に見えるのは発見でした。同じ種類なのに、葉っぱの色や形も違い、かつ葉がウェーブしていたりしていなかったり。人間にも肌の色の違いや、髪の縮毛等があるように、よくみると樹木も1本ずつ個性があります。

 

その後、お庭に用意して頂いた椅子座って、お湯を沸かしてもらいお茶(チャイ)と地元上三川産のブルーベリージャムを載せたパンを頂き、寛ぎながら庭づくりと家造りについてお話ししました。

 

家とセットで庭も造るへきだと再確認。樹木があると建物が良く見えますし、落葉樹は日差しをコントロールできるので機能性も伴います。小さな家の場合は、1本でも良いのでシンボルツリーを植えたり、玄関脇に植栽したりすると家の雰囲気が良くなります。

 

庭づくりのレクチャーとお茶の時間で、気が付いたら1時間半近く経ってしまったので、その後、築10年経った室内も案内してもらいました。

 

Aさんの庭づくりブログはこちら。現在と比べると樹木が大きくなったのが分かります。

 

https://plaza.rakuten.co.jp/pinholeshot/diary/201305060000/

https://plaza.rakuten.co.jp/pinholeshot/diary/201305070000/

https://plaza.rakuten.co.jp/pinholeshot/diary/201305200000/

https://plaza.rakuten.co.jp/pinholeshot/diary/201305210000/

https://plaza.rakuten.co.jp/pinholeshot/diary/201309060000/

https://plaza.rakuten.co.jp/pinholeshot/diary/201402230000/

 

 

A-houseの室内と庭のつながり

畳部分が小あがり。天井高さは≒2.1M。低い天井の畳リビングは2間続きになっている。障子の外が庭。

 

室内にお邪魔して、SHさんのお宅でも使う3㎝厚の栃木県産の杉フローリングを素足で歩いてもらいました。私も素足で歩くなら、杉フローリングが一番気持ち良いと再実感。

 

Aさんは、特にダイニングキッチンから40㎝上がった、天井高さ約2.1Mの低い和室(畳リビング)の機能性と居心地が気に入っているとのこと。

 

40㎝の小あがりは、腰掛けるのにちょうど良い高さで、ダイニングテーブルに腰掛けるご家族や、キッチンに立つ奥様と、リラックスして話をする「椅子替わり」にもなっているようです。そのままゴロンと寝ころぶと昼寝も出来ます。

 

また、ダイニングテーブルを畳側に移動すると、和室のコタツの天板高さとほぼ合うので、人が集まった時に長いテーブルのようになって機能的。そのように使う前提で照明計画しておいたのを思い出しました。

 

畳の上に座って寛いだり、寝そべる場合、2.1Mの低い天井はリラックス出来ます。座って生活する畳の部屋の天井高さは2.4Mでなく、2.1M以下にすると良いかもしれません。

 

畳リビングの天井は2.1Mと低いですが、ダイニング側の天井高さが2.5Mであり、続くキッチンの上は吹抜けになっています。1つの空間の天井や床に高低差があると、視線が斜めに行くためか、広がりを感じるようです。

 

さらに庭に樹木があると、ダイニングテーブルに座った場合、和室→ウッドデッキ→庭の樹木と視線が行くので、より広がりを感じますし、季節の良い時の「風」は、林のような庭の樹木とベランダ下で冷やされて「そよ風」になり、逆に和室の窓からダイニング側に入ってくるので合理的。

 

このお宅のエアコンはダイニングの1台だけですが、1年のうち強烈な暑さの数日しかエアコンを付けていないとのことです。庭木の落葉樹が、夏は日よけになり、冬は葉が落ちて室内に太陽熱が入ります。

 

2.1~2.2mの低い天井高さを造れるようになったきっかけはA-house

話をしているうちに、ダイニングの隣の畳リビングの天井高さを2.1Mと決める時に、Aさんと何度も話し合ったことを思い出しました。

 

私はそれまで、2.1Mなどという低い天井の家を造ったことが無かったので、「室内が窮屈な感じになってしまうのではないか?」と「後からやっぱり天井が低いので直してくれ」と言われるのが心配でした。

 

新築時は、施主のAさんが「低い天井推進派」で、造り手の私のほうが「低い天井慎重派」でした。

 

それでも「天井が低くても大丈夫だから」という施主Aさんの言葉に後押しされて、初めて低い天井がある家を造ったのですが、これがとても良かったのです。

 

このA-houseを設計施工することで、低い天井を造る場合は、高い天井も造っておくと、低い部分は「より落ち着き」がでて、高い部分はより広がりを感じるということを経験し、低い天井を造ることも出来るようになりました。

 

低い天井と高い天井の高低差があると、低い所から高いスペースに出た時に広がりを感じますし、低い天井から高い天井へと視線が斜めに遠くに飛ぶので、人は広がりを感じるようです。

 

畳リビングのテレビラックと棚。

 

今では、この畳リビングに座ると、畳の柔らかさもあり落ち着いてしまい、天井高さ2.1Mにして良かったと思う次第です。畳に座った時のテレビボードの高さや棚の奥行もかなり検討したので良い具合になっています。

 

Aさんのブログ。お家の天井高さ考察

 

その後、低い天井も造れるようになってからのブログはこちら。ブログ下の掲示板に天井高さについて色んな意見が書き込まれています。天井高さに悩まれている方は参考にしてください。

天井高さは何センチが最適なのか?天井高さ2200㎜を考える

 

天井の低い家は、狭く圧迫感を感じるのか? 天井高さ2.2Mの家の感想をレポートするよ

 

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

この記事をシェアする
コメント