断熱性能と暖房

住宅性能とは「耐震性能」と「断熱性能」の2つを指し、躯体性能と同義語です。外観デザインや仕上げ材の種類はもちろん重要ですが、住宅性能は、安全性・快適性・健康に直結するので、更に重要です。「耐震性能」と「断熱性能」を構成する構造や断熱材は、仕上げ材で隠れています。構造や断熱材は、一度キチンと造ってしまえば、建物の寿命が終わるまでメンテナンスの必要が無いので、新築時に予算をかけて造っておくことをおススメしています。

 

付加断熱(W断熱)のすすめ

高性能グラスウールでの付加断熱

ヨシダクラフトではSI-houseで壁の付加断熱(W断熱)を行い、Q値=1.35、C値=1の住宅を建築しました。基礎断熱を採用し「床下エアコン」で暖房を行っています。私も冬の寒い日に宿泊させて頂きましたが、エアコン1台で室内の温度差がほとんどなく、非常に快適なことから、今後全ての住宅でQ値=1.35以下、C値=1以下を目指すことにしました。

快適な室内にするには、機械に頼るのでなく断熱性能と気密性能を上げる事が基本です。ヨシダクラフトでは、計画段階から、熱損失計算プログラムを使い断熱性能を確認します。

快適に暮らすには暖かい家にする必要があり、それには断熱性能を良くするのが基本ですが、熱損失計算プログラムを使い断熱性能を数値で確認しないと、本当の高性能住宅は造れません。

数値で断熱性能が分かると、暖房で必要なエネルギーが計算できて、最適で省エネな暖房計画が出来ます。

付加断熱
付加断熱(W断熱)とは、「充填断熱+外張り断熱」のことです。2000年頃に、「充填断熱派」と「外張り断熱派」との間で断熱論争がありましたが、その後、両方の良い点を取った付加断熱(W断熱)が普及し始めて断熱論争が終わりました。
付加間柱

当社の断熱材の種類は、費用対効果が高く、防火関連法規にも省コストで対応しやすい高性能グラスウールです。基礎断熱は、基礎の内側からポリスチレンフォームを施工します。私の断熱材遍歴は、グラスウール→硬質ウレタンパネル(FPの家)→羊毛断熱材→高性能グラスウールと、断熱性能や外壁材の仕様により、より最適な断熱材に変わってきました。断熱材の種類は多く、それぞれ長所・短所がありますが、丁寧な施工が性能確保の鍵だと思います。

私が高性能グラスウールを選択している理由

私が、高性能グラスウールを選択している理由は、一番費用対効果が高い断熱材であること以外に、外壁材に耐久性の高いガルバリウム鋼板や木を使うことが多いからです。全ての外壁材は、火災に対する壁下地の仕様が法律で定められていますが、ガルバリウム鋼板や木を使う場合、一番合理的な壁下地として使える断熱材が、高性能グラスウールです。高性能グラスウールは、耐火性の高い断熱材として国から認められており、下地をシンプルに出来ます。羊毛断熱材や硬質ウレタンも優れた点のある断熱材ですが、外壁材にガルバリウム鋼板を使う場合、耐力面材ダイライトやモイス以外に延焼のおそれのある部分に、石膏ボード等を貼る必要があり、手間とコストが掛かる下地になってしまうのでありました。建築関連の法律で規定されるので、住宅会社や設計事務所は、仕上げ材の種類によって断熱材を決めています。

付加断熱(W断熱)をしている方は、コスパが高く、仕上げ材も選択しやすい高性能グラスウールが多いです。

ちなみに外壁材の種類は、耐久性と持続性の点から言うと、一番長持ちしてメンテナンスにお金が掛からないのが、無垢の木製外壁材、次がガルバリウム鋼板だと思います。この2つは、軽いので壁を分厚くする付加断熱(W断熱)にも合っています。

無垢の木の外壁材が一番長持ちする理由は、工業製品ではないので、廃盤になることが無く、唯一部分的に交換可能な外壁材であるからです。一番早く廃盤になりやすいのは、窯業系サイディングなので、最近はリフォーム以外では使わないようにしています。

気密性能

気密シート

高気密にすることは非常に重要です。グラスウール等の繊維系断熱材は、石膏ボードの下に防湿気密シートを張ることで気密性、防湿性を確保します。断熱材内部の空気の流れを防湿気密シートでキチンと止めて「断熱材内部の空気を動かさないように」して初めて断熱材は効果を発揮します。また、室内の湿気を断熱材の内部に入れない防湿の役割も重要です。気密試験を行い気密性能を示す隙間相当面積C値=1.0以下とします。

建物の隙間を塞ぐ細かな作業をしないと気密性能は上がらないので、気密工事は工務店の作業姿勢が確認できる場面でもあります。コンセント・スイッチ廻り、配管廻りも専用部材等を使い、しっかり隙間を塞ぎます。

防湿気密シートを張らない「低気密・中気密の家」や「気密性の乏しい呼吸する家」では、断熱材の内部に室内の湿気のある空気が入り、暖房して暖められた空気は上に逃げてしまい断熱材が効きません。低気密の家では、上に逃げた空気の代わりに下から空気が入るという悪循環。低気密・中気密の家は、暖房するほどに寒くなるので、高気密にするのが必須です。キチンと高断熱高気密住宅に取り組んだ経験の無い工務店や設計事務所は、高気密にすることの重要性が分かっていない方もいます。そういう方は、気密工事の適切な方法を知りませんから注意が必要です。気密工事をしていないと、住み始めたら断熱材が入っているのに寒いなんてこともあり得ます。

パッシブデザイン

日射熱の利用
冬期に開口部から日射を取得し蓄熱して夜間に利用
暖房エネルギーを5~40%削減できます。

エアコンや給湯器、太陽光発電等の設備機器は10年程度で壊れることがありますが、躯体性能(断熱気密性能)と開口部(窓と玄関)は、建物がある限り使えます。だから設備機器にお金を掛ける前に、断熱気密性能と開口部にお金を掛けるのが合理的です。10年で壊れる機械に頼ったZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)でなく、断熱気密性能にお金をかけた上で、余剰資金があるなら設備機器にお金をかけるべきでしょう。ZEH住宅を比べる場合も、断熱性能Q値の比較が必要です。

「パッシブデザイン」とは、太陽の光や熱、通風といった自然の恵みを上手に採り入れることで、エアコンなどの機械をなるべく使わず快適に暮らすことを目指した設計手法です。

機械的(アクティブ)に対して、自然の力を使う受け身(パッシブ)な手法なのでパッシブデザインと言われています。断熱性能・気密性能も機械を使用しないのでパッシブデザインに入ります。

制御すべき最大の外部要素は太陽光です。そのため「窓まわり」と「屋根」をどのように設計するかが重要になります。冬の低い太陽の陽射しを窓から室内に採り込み、日射から暖かさを得る「冬期日射取得」。夏は高い太陽の陽射しから、軒の出やベランダで日射を遮る「夏期日射遮蔽」ができるように、「窓まわり」と「屋根」を設計すること。

ザックリ言うと、南面の窓を大きくして冬の採光を得て、夏は大きな窓からの陽射しを遮る工夫をすること。

自然風利用
外気を取り入れ涼しく過ごす工夫
冷房エネルギーを10~30%削減できる

また、夏のエアコン使用を最小限にするために、どのように窓を設けて通風させるか。断熱気密性能と合わせて、「窓まわり」と「屋根形状」の計画をするのがパッシブデザインの中心です。
 

ヨシダクラフトの床下エアコンシステム

床下エアコン

Q1住宅(キューワン住宅)くらい断熱性能を上げて、出来るだけ間仕切りの無い開放的な間取りにして、パッシブデザインで南面の窓から太陽熱を取り入れれば、最小限の設備とランニングコストで暖房することが可能になります。市販のエアコンは、ヒートポンプという一番効率の良い省エネ技術で動く暖房機です。一番普及しており値段も安いので、エアコンを使って暖房するのが一番合理的だと考えます。

 

しかし、壁掛けエアコンによる暖房は、温風が身体にかかるので不快です。頭寒足熱状態が非常に心地よく、健康にも良いと言われていますが、ハウスメーカーが標準仕様にしている床暖房は、無垢フローリングが使用できない上に、床の表面温度が高すぎて、実はそれほど快適ではありません。

当社が現在、快適性やコストから一番良いと考えているのが、「床下エアコン」です。床下エアコンとは、市販のエアコンの一部を1階の床下に入れて、床下に暖気を送風することで、床下と基礎自体を暖め、1階床にガラリを設けて床下の熱を室内に放出する暖房です。床下エアコンなら温風が身体に当たることが無く、床面温度を室温よりも2度程度高く保ち、1フロアの暖房を可能にします。頭寒足熱状態になるので非常に快適です。無垢フローリングが使えるので、見た目も肌触りも良く、カラーフロアより耐久性も上がります。

寒冷地で多く採用されていますが、最近は関東、関西でも採用されるようになってきました。

今まで様々な暖房器具を使いましたが、SI-houseで、初めて付加断熱(W断熱)+基礎断熱として床下エアコンを採用し、快適性に驚き今後も採用することにしました。