なぜ造作建具と自然素材を使うのか?

造作建具

住宅の室内は、床・壁・天井のみで構成され、とてもシンプルなのが普通です。室内における建具(ドア)の占める面積は大きく、そのデザインと材料が与える印象も大きい。

室内ドアは、人が手で触って開いたり閉じたりする部分なので、印象はより大きくなります。

私の造る家の室内ドアはシンプルなものですが、自分でデザインして金物も決めて、建具職人に造ってもらう造作ドアです。

そこに落ち着くまでに、日本の大手建材メーカーの無垢材の既成品ドア、アメリカやスウェーデンの無垢材の既製品ドアと、いろいろと使いました。

結果として、地域の建具職人に造ってもらう造作ドアが、様々な面から一番良いという結論です。

既成品のドアを使うと、ハウスメーカーやローコストビルダーのようなありふれた室内になってしまう上に、既製品のドアは何年かすると廃盤になって生産中止になるので、リフォームの時期に修理して使うことができない可能性が高いです。

廃盤になり部品も無い場合は、ドアの周りの壁を壊して、ドア枠ごと交換となります。

対して、造作ドアにすると、インテリアに馴染んでハウスメーカーやローコストビルダーのような、ありふれた室内にはなりません。

ハウスメーカーとローコストビルダーを代表とする量産型住宅会社と、手造り系地域工務店とアトリエ系設計事務所を代表とする手づくり系住宅との1番の違いは、室内ドアです。

ドアの幅や高さも自由になることから、リフォームでも状況に合わせて、大きなドアや幅の狭いドアにすることも可能。

また、床材と窓枠とドア枠も自然素材(無垢材)にすることを基本としています。理由は造作建具と同じです。長く使えて見た目も良く、呼吸する材料なので心地良いからです。

床材はパインか杉が多いです。針葉樹は素足で歩いた時に柔らかく気持ちが良いのでよく使います。値段も無垢フローリングの中では安めです。お客様の希望によっては、広葉樹を使うこともあります。

床材、ドア枠、窓枠に木目シートラッピングされた新建材を使うと見た目も悪く、経年劣化で表面の木目シートが剥がれたり、接着剤の耐用年数が切れてシート下の心材がボロボロになってしまうこともあるので、無垢材を基本としています。

「洋服」ならブランド品の偽物を好んで着る人はいませんが、なぜか数万倍高価な「住宅」だと、木目シートの建具、合板フローリングといった偽物で満足している人が多いのが不思議です。

壁と天井は、白く質感の良い珪藻土クロスが基本ですが、板を貼ったり珪藻土を塗ったりすることもあります。

展開図や建具表を描いてシンプルな室内する理由

展開図

展開図とはインテリアの図面です。室内の東西南北の各面を描いたものが展開図になります。この図面が無いと、施主はもちろん設計者・現場監督・職人も室内の収納やドアや窓の位置関係がどうなるのか想像出来ないのですが、実際には描いていない住宅会社が多いです。

建具表

建具表は、造作建具のデザインや金物が描いてある図面です。この図面が無いと設計者、現場監督はもちろん、施主と職人もどのようなドアにするのか理解できません。造作建具にする場合は必須の図面ですが、造作ドアを標準仕様にしている住宅会社でさえ、建具表を描いてない場合があります。

設計者が図面を描かないと、現場監督が「この前と同じで」と建具業者に発注せざるを得ず、施主は何となくしか、ドアの仕上がりが分かりません。

例えば収納ドアの高さが展開図もしくは建具表で分からないと、収納にどんな大きさの物が入るのかさえ分からないでしょう。

また、建具表が無いと、シルバー色だと思っていたレバーハンドル(取っ手)がゴールド色になっていたなんてこともあり得ます。ですから、住宅会社が造作建具にするには、施主と打ち合わせを重ねた上で、展開図や建具表を描く必要があります。

既製品ドアを使えは、カタログに掲載されているので、打ち合わせ時間が減らせて、展開図や建具表を描く手間も必要ありません。これが既製品ドアが普及した理由でもあります。

ですから、依頼先を決める前に住宅会社に図面を見せてもらい展開図や建具表を描いている会社に依頼することが必要です。施主と打ち合わせして展開図や建具表を描くのは手間が掛かりますが、使い勝手の良いスッキリとした室内にするには必要な作業です。

流行りの内装にはしません

また、内装のデザインも出来るだけシンプルにする必要があります。例えば、今現在流行しているインテリアで「ブルックリンスタイル」というものがあります。室内の壁に外壁用のブリックタイルを貼った店舗のようなインテリアです。このような特徴的なインテリアの家は、シンプルさが無いため、住まい手の趣味の変化に対応出来ないので、「あのとき流行ったインテリアだね」と一過性のデザインになってしまうことに問題があるのです。

一般的な日本人は、年齢を重ねるとシンプルなインテリアを好むようになりますから、特徴的なインテリアにしないことが長くつかえるコツだと考えます。