2016-08-20
Q1.0住宅宇都宮三番町の家 SI-house(宇都宮市 三番町)
高断熱・高気密住宅

初めての基礎断熱+付加断熱、どのような部分に戸惑ったのか?

SI-houseでは初めて基礎断熱+床下エアコン、付加断熱を採用しています。今、大工が窓枠、建具枠等の造作材を削っており、仕上げ工事に入る時期です。

 

仕上げ工事に入る前に、初めての基礎断熱+付加断熱、どのような部分に戸惑ったのか?を書きたいと思います。

 

土台敷き

大工のまたいでいる基礎幅が、室内の基礎幅と比べて太いのが分かる

 

気密パッキン

土台を敷きます。外周部の土台下は通気する基礎パッキンでなく気密パッキンで基礎下に外気を入れないようにしています。外周部以外は、基礎立ち上がりを外周部より2㎝低くして基礎パッキンとしています。(基礎パッキンの高さが2㎝なので、土台の高さはそろう)床下の空気がなるべく動くように計画しました。

 

気密パッキン

土台を固定するとゴムが潰れて気密性を確保する

 

土台下に敷いた気密パッキンは、土台をボルトで締めると黒い2列のゴムが潰れて、気密性が高まるという仕組みです。気密パッキンは日本住環境の天端リスト100を使用。床断熱は、床で断熱し気密性を確保するので、床を貫通する柱と配管廻りの断熱、気密施工が難しいのですが、基礎断熱は、1階床の柱と配管廻りで気密性を確保する必要がないので楽でした。基礎コンクリートを打つことで配管廻りの気密処理できるので、気密は取りやすいです。

 

付加断熱部分のサッシュと外壁の荷重を受ける為に基礎外周を太くした
SI-house土台

土台を2重にするため基礎幅が太い。付加土台はダイライトを施工してから。

 

外周部の基礎幅は、全て24㎝としました。通常の基礎幅にして、木材を土台と柱に抱かせて、付加断熱部分の下地を付加するか迷いましたが、基礎幅を厚くすることにしました。これは真岡市のやなぎたハウジングさんに倣っています。

 

基礎幅を太くした理由は、土台も2重に設置して、付加断熱する納まりとしたから。樹脂の掃出しサッシュはとても重く、その荷重を土台と基礎で受けたかったからです。

 

日本での付加断熱は、約10年前に始まった新しい技術なので、慎重に行う必要があると判断しました。

 

今回のサッシュで一番重いのは、シャッター付引違いテラス戸16522(YKKのAPW-331)。幅1690×高さ2230のLOW-Eペアガラスで、1つの窓の重さが104.2kg。ちなみにガラスをトリプルガラスにすると7.5kg重くなり、111.7kgだそうです。(YKKに電話してサッシュの重さを聞いた)

 

掃出しサッシュの下地木材には常に100kg以上の荷重+外壁材等の荷重も掛かる上に、窓なので開閉もします。樹脂の掃出しサッシュを含む付加断熱部分の荷重は土台と基礎で受けておかないと、長い年月が経つと、サッシュが垂れて(下がって)しまうのではないかと不安だったので、基礎幅を広くしました。

 

サッシュが垂れてしまうと大変で、調整できる範囲より垂れてしまうと、開閉が出来なくなったりします。そうなると、外壁を剥がして、サッシュを付け替えるしかありません。

 

同じ状況ではありませんが、重い外壁材を既存の外壁材の上に重ねて施工して剥がれて垂れてしまった、以下のブログに書いたような状況を見ると、経年変化がどのような状況を及ぼすかは、想像を超える場合もあります。

 

人気の外壁リフォーム。外壁サイディングのカバー工法にはデメリットもあるという実話

 

上記はINAXの商品で、商品開発する際にいろいろと想像や計算、実験等もしたはずです。しかし、新商品を出す際には、経年変化の実験は難しく、やってないのだと思います。例えば10年間経年変化の実験をしていたら、商品が世の中に出せなくなってしまうから。

基礎断熱は、断熱材を室内側に貼る「基礎内断熱」
基礎断熱

基礎内部、自分で掃除機かけた。

 

また、基礎断熱は、断熱材を室内側に貼る「基礎内断熱」としました。これも基礎外断熱としていたあるお宅で、白蟻に基礎断熱材を食われた上に1階の柱まで白蟻に食べられてしまったのを見た経験からです。防蟻処理した断熱材を使っていなかったということもありますが、白蟻の居る地域では、「基礎内断熱」が無難だと判断しました。

 

リフォーム工事等で経年した施工例を見たことが、施工方法の選択基準になりました。

 

白蟻が浸入しやすい配管廻りの隙間を「防蟻ウレタンスプレー」で処理。普通のウレタンスプレーの約6倍という目ん玉飛び出るような価格のウレタンスプレーです。見積で見ていなかったので自腹。それもバラ売りはしていない6本パックの箱売りでした(涙)。

 

防蟻ウレタンスプレー

配管廻りのオレンジ色が防蟻ウレタンスプレー。土台と断熱材の立ち上がりの隙間のベージュが普通のウレタンスプレー。

 

床の下地合板を貼る前に、掃除機で基礎底板上を掃除する必要があります。

 

基礎断熱及び付加断熱という初めての経験なので、積算の甘かった箇所が何か所かありました。物づくりは、なるべく同じ材料で同じことをやり続けないと、質が上がりません。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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