建築いろいろ.

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新築やリフォームをする時、住宅設備機器や建材を施主が買って、施工者に支給することを施主支給(せしゅしきゅう)と言います。一部の施主の中には、施主支給にすると安くて良い家が造れてお得だと考えている方もいらっしゃると思いますが、私はどう考えても施主にメリットがあるとは思えませんので、今日のブログは施主支給について書いてみます。ちなみに当社のお客様で施主支給を希望する方は皆無です。

 

施主支給のメリットとデメリット

ネットやTVCMの影響もあり、一部の施主の中には、施主支給にすると、安く良い住宅設備機器や建材で家が建てられて、お得だと考えている人もいると思います。また、業者で取り扱っていない好みの商品やこだわりの建材で理想の家が建てられると思っている方もいるようです。

 

メリットは後述します。デメリットは多々ありよく考えなければなりません。まずは施主が自分で建材を調べなければならないこと。これは楽しみの1つにもなりますが、初めて買う建材が良い建材なのか?:また現場に適しているか、ネットで初めて買う場合は、プロの住宅屋でも判断が難しいところです。また、施主にとっては購入先と住宅会社で窓口が2つになるので、住宅会社への納期、納入先、施工範囲、商品仕様の説明が必要になり、また購入先に先払いで代金を支払うので、その準備も必要です。

 

施主支給でモノを支給されて、その商品に問題があった場合、住宅会社は責任を取れませんので、その場合の話し合いも必要になるでしょう。住宅設備や建材は、設置して終わりでなく、将来のメンテナンスも必要となるので、設置した後、どうメンテナンスをしていくのかが重要。その打ち合わせも必須ですが、お客さんが直接買った住宅設備や建材自体に瑕疵があった場合は、当然、住宅会社は責任は取れません。また、貸があった場合は、モノ自体に問題があるのか、施工に問題があるのか、分かりにくいことが多いものなのです。このことも、施主、施工会社双方にとって、施主支給しないほうが良い理由の1つです。

 

施主支給の金額的メリットは、住宅会社が「見積の出し方」を変えるメリットではなくなる

しかし実際。金額面で施主支給が良いと誤解されているのは、ネット時代に合わない住宅会社の「見積の出し方」に問題があります。ネットで誰でも住宅設備や建材の(だいたいの)値段を知ることができる時代なのに、住宅会社は建材業者から出てきた見積項目に粗利益を載せて見積作成してしまうので、施主がネット検索した建材単価より高くなってしまい、相場よりも高い買い物をしたくない施主は、「施主支給したい!」となるわけです。

 

施主支給の金額的メリットは、住宅会社が「見積の出し方」を変えるとメリットではなくなります。建材の値段と施工費用を原価公開して、設計料と施工管理費を別項目で作成すると、住宅会社が出す建材の値段と施工費用は、施主支給の金額よりも高くなることはあり得ませんから、施主支給の金額的メリットは無くなります。

 

住宅会社が、設計料と施工管理費を安くみせようとして、建材の材料費と取付費用に粗利益を載せると、高めの価格となります。設計料と施工管理費は、造った住宅に対して責任を持つためにも、どうしても必要なものなので、そこを明確にして見積作成すると、施主支給はあり得ないという事になります。

 

例えば既製品のキッチンを施工する場合の、見積の構成は、①キッッチンの材料費+②キッチンの取付費用+③キッチンの施工管理費です。①と②を原価公開すると施主支給金額より高いことはありえません。また、何かの理由で施主支給になった場合でも、②③の取付費用と施工管理費は必要となるので、施主支給より値段が高くなることはありません。取付費と施工管理費が安い業者がいるので、その部分のみ別の業者で行いますとなったら、元請の住宅会社にとっては、万一瑕疵が起こった場合に責任の所在が曖昧になりますから、怖くて仕事ができないので、「やりません」となるのが普通です。

施主支給で住宅会社で取扱いのない建材を使うのは注意が必要

また、施主支給のもう1つの魅力とされる、「住宅会社で取扱いのない建材を使えること」ですが、施主に買えて、住宅会社に買えない建材はありません。「住宅会社で取扱いがない建材が存在する理由」は、住宅会社からすると、その建材を使った経験が無く、「品質の保証が出来ない」という事だと思います。とくに安い住宅設備機器や建材は品質の悪いことが多く、私も一度、安い建材で大失敗したことがあります。無垢フローリングでしたが、安くて見た目も良さそうという理由で買って使ってしまったのですが、すぐに大きく変形剥離してしまい、2度と使わん!と思いました。

 

「モノの値段」は良く出来た指標で、安い物には、ほぼ良いモノはありません。住宅会社からすると、床や壁等の広い面積に使う建材は、広い面積だけに、失敗すると大変なので、自分が長年使っている実績ある建材が存在します。当社でもずっと使い続けている珪藻土があります。例えば、施主がどうしても他の珪藻土を使いたいとなったら、癖が分からない建材だけに身構えてしまうものなのです。特に自然素材や無垢の材料は、どのような変化をするか、何度も使わないと分からないことが多いです。

 

施主支給や分離発注などはせずに、一括して住宅会社に依頼したほうがお得

建築は、多数の部材が集まって出来ています。不具合は、モノ同士の取合いや、職方同士(例えば大工と左官とか別の職種同士)の仕事の取合いで発生することが多いです。職人同士が責任を取れない中間領域の責任を持つのが住宅会社です。しかし、住宅会社も責任の所在が曖昧なモノやコトに対しては、責任を持つことはできません。ですから住宅を新築、リフォームする方は、施主支給や分離発注などはせずに、住宅会社に、材料費+取付費+施工管理費と建物を一括して責任を取ってもらうようにしたほうが、施主にとってはどう考えても良いと思います。現在、施主支給ビジネスで唯一、ちょっとだけ得をしているのは、ネットの建材業者だと思います。

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