2015-03-11
IS-houseリフォーム(宇都宮市 東浦町)
リフォーム
自然素材

築29年の木製玄関ドアの断熱性と気密性を高めるリフォーム、連続施工写真でご覧あれ

昨年、大規模リフォーム工事(リノベーション)をしたIS-house今年1月に行った和室の断熱内窓設置に続いて、玄関ドアの気密性と断熱性を上げるリフォームを行いました。

 

普通のアルミ玄関ドアの断熱性と気密性を高める方法なら、簡単にドアだけを交換するということになります。業界内では、玄関ドアカバー工法と呼ばれている方法です。既設のドア枠を残して、その上に枠を被せて玄関ドアを交換して新しくする工法。1日で玄関ドアが新しくなり、良いモノを選べば温熱性能も上がります。壁を壊す必要なく玄関ドアが交換できるので、一般の消費者には有益な工法です。仕事から帰ってきたら玄関ドアは新しくなっているので、驚くかもしれません。しかし、玄関ドアカバー工法は、いろんな住宅業者のwebで取り上げられているので、私のブログでは取り上げません。

 

もっと手作り感のある方法で、築29年の古い木製玄関ドアの断熱性と気密性を上げた事例です。今回、断熱性と気密性を高めるリフォームを行ったIS-houseの玄関ドアは、29年前の新築時に、設計者がデザインしたオリジナルの木製造作玄関ドアで、この家のチャームポイントの1つです。施主のISさんはこの玄関ドア、ベランダ手摺、屋根の破風形状、窓の配置や大きさ等、設計者の意図や思いが感じられる意匠や質感に魅力を感じて、この中古住宅を買ってリフォームしました。ですから普通のアルミ玄関ドアにすることは考えられませんでした。また、29年間と長く使われた玄関ドアですが、傷みがほとんどなく、メンテすればまだまだ使える状態だったので、壊さずリフォーム出来たのです。is-house玄関ドアリフォーム既存

29年経った玄関ドア。木製でドアの左右と上がガラスになっている天井まで一体型のデザイン。深い屋根が掛かっているので雨が掛からず傷みが少ない

何故、玄関ドアの断熱性、気密性を高めたかったのか?

IS-houseの1階部分は、昨年の大規模リフォームと今年1月の断熱内窓設置で、玄関ドアを除いて、全ての窓に内窓が設置されており、トリプルガラス(3枚ガラス)の状態です。開口部からの熱損失がだいぶ防げているので、部屋の中は暖かい。しかし、玄関ホールは寒い。玄関ドアのガラス面積が大きく、1枚ガラスであるため寒いのです。部屋と玄関ホールの温度差を少なくするのが木製造作玄関ドアの断熱性・気密性を上げるリフォームをした理由です。

 

既存玄関ドアの特徴

ドアと枠は木製です。外部から見るとドアと枠が一体で造られており、天井まで一体型のデザイン。ドアの枠と欄間ガラス枠はテーパーをかけて細くスッキリ見えるようになっています。分かりやすく言うと、設計にも施工にも手間の掛かった仕様になっています。ガラス面が大きく、シングルガラスです。ドアはヒバ材が使われており、雨が掛からないように屋根に覆われているので、29年経過した木製の玄関ドアとは思えないほど、傷みがありません。何度か塗装のメンテナンスはしていると思われます。木製玄関ドアを長期使用することを考えると、屋根の軒先からドアまでの距離は1.8M程度は必要なのかもしれません。ドアと枠の隙間から隙間風が入ってくる状況でした。現在も木製造作玄関ドアの気密性を高めるのは難しいです。29年前には気密性を高めるための金物さえ無かったと思います。

 

造作玄関ドアの気密性と断熱性を高める具体的方法

まず、ドアと枠の隙間を無くす事にしました。ドア枠の戸当たり部分にゴムパッキンを付けた木材をビス留して(上枠と左右枠)、下はタイルが戸当たりになっているので、下だけはドアにゴムパッキンを付けた木材を取付ました。タイル床とドアの隙間は大きいので、大きめのゴムパッキンをアルミのフラットバーで木材に取り付けて丈夫にしています。is-house玄関2ドア枠の戸当たり部分にゴムパッキンを付けた木材をビス留めした。ドア枠を一部細く削り、外からも室内からもスッキリ見えるようなデザインになっていて泣ける

is-house玄関3建具屋さんが気密パッキンをつけた木材をビス留め

is-house玄関4気密工事完了。ドアを閉めるとピッタリ気密性が取れた

is-house玄関5床タイルとドアの隙間は太めのゴムパッキン部材を造作。アルミのフラットバーで補強している。建具屋の柳さんのオリジナル。しっかり気密性が確保できた

is-house玄関6それをドアに取り付けて大きな隙間を無くした。これでドア廻りの気密性は確保された

 

窓ガラスはシングルガラス(1枚ガラス)なので、ガラス部の断熱性も高めたい。最初はガラスに内窓を付けるとか、断熱材を入れて窓では無く壁にするとか、いろいろ考えましたがデメリットが多くて却下。最終的には断熱レール付のハニカムサーモスクリーンを入れて、断熱性を高めることにしました。これがベストバランスだと判断しました。ドア本体のガラス部分は施主がフィルムをはる予定です。施主のISさんが暖かく過ごせることを期待しています。

is-house玄関8ドアの左右と上のガラス部分に断熱レール付ハニカムサーモスクリーンを取り付けた。。採光タイプで断熱性をアップ

ハニカムサーモスクリーンハニカムサーモスクリーン

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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