2015-02-27
インテリア・家具・収納

お家騒動で有名な大塚家具。騒動の原因は、ニトリやイケアでなくネットの普及だった

大塚家具写真出典

 

父と娘が対立し、経営権を巡って法廷闘争にまで発展している大塚家具。今回は私が体験した大塚家具の添乗員接客と、新築・リフォーム後の家具購入事情に絡めて、お家騒動の原因はニトリやイケアでなく、ネットの普及だったということを書きたいと思います。住宅と良い家具は切っても切れない関係です。

 

大塚家具の特徴は、広大なショールームと添乗員接客

大塚家具の特徴は、広大なショールームと添乗員接客だと言われています。正確には、最初に受付で顧客情報を取ってからの添乗員接客です。添乗員接客という言葉は、今、私が思いついた。社員である店員が、旅行の添乗員のように客に寄り添い対話し、客のニーズを汲み取って接客するのが「添乗員接客」です。

 

大塚家具のお家騒動をネットで見ていたら、東京に住んでいた1998年(今から17年前)に1度だけ有明ショールームを訪れたことを思い出しました。当時は、IDCと書かれた大塚家具の旗を持ちながら文字通り添乗員のように接客されたような記憶があります。

 

ショールーム訪問の2~3日前に電話予約をしました。当時はネットが一般的ではありませんでした。ショールームを訪問した経緯は、これから結婚するので何を買うとは決めていないが、必要最低限の家具くらいは揃えないといけないな→大きなショールームで有名な大塚家具を見に行ってみよう→電話予約した。という流れでした。

 

ネットが普及し、家具好きな人ほど広大なショールームが必要なくなった

 

塚家具有明ショールーム写真出典

カミさんと2人で行ったのですが、大塚家具の有明ショールームは、とてもとても広い。ナビしてくれる添乗員がいないと、どこに行って良いか分からず、ぐるぐる歩き廻って疲れ、早々に店を出ることになりそうなほど広いです。

 

今は、検索やSNS等で、欲しい家具の情報が事前に取れますが、当時はそれが出来ませんでした。ネットが普及していなかったことも広大なショールームと添乗員接客が必要とされた理由の1つだと思います。今なら、例えば北欧家具の定番「ハンス・J・ウェグナー」の家具が欲しければ、ネット検索するとピンポイントで、多数のハンス・J・ウェグナーを扱っている北欧家具の専門店が探せますから、自分の欲しいものが分かっている家具好きな人ほど、広大なショールームは必要ありません。

 

大塚家具の添乗員接客は素晴らしいものでした

大塚家具の社員さんが1人、1時間以上添乗員のように付いて回り、こちらが恐縮してしまうくらい丁寧に説明してくれました。ダイニングテーブル、椅子、ソファ、ベッドとザックリ説明してもらいましたが、結局買いませんでした。当時、大塚家具はアメリカ製のものが一押しで、とても品質の良いものが多い印象でしたが、私にとってはデコラティブすぎて、好みではなかったのです。私好みの、北欧のシンプルな家具が日本で一般的になったのは、ネットが普及した2003年以降くらいでしょう。

 

大塚家具は創業者である大塚勝久が取り入れた、広告宣伝費の大量投入と「入店時に顧客名簿を作成し(=会員制の導入)、店員が顧客について回る」という積極的な接客により“結婚後のまとめ買い”需要を取り込むことで成長。2001年12月期には営業利益75億円でピークを迎えた[8]が、その後住宅需要低迷やニトリ・イケアをはじめとする新興勢力の台頭、さらには自社株買いに伴う不祥事に伴い業績が低迷[9]。このため2009年3月の株主総会で、創業以来社長を務めてきた大塚勝久が会長に退き、後任に勝久の娘(長女)で旧富士銀行(現みずほ銀行)出身の大塚久美子を社長に昇格させた。wiki

 

ウィキペディアには、ニトリ・イケアをはじめとする新興勢力の台頭が業績を低下させた原因とありますが、ネットで自分の好きな家具を事前に知ることができるようになったことが、広大なショールームが必要無くなった大きな原因になっていると思います。ニトリやイケアの影響よりも、ある程度お金のある家具好きがネットの影響で、ピンポイントで自分の好きな家具を見つけられるようになったことのほうが大きい。個人の家具屋さんでも、海外から簡単に家具が買い付けられるようになり、こだわりの小規模店舗も増えています。下記のウィキペディアには接客方法の話が出ていますが、家具好きな人ほど広大なショールームが必要無くなったので、接客方法以前の問題だと思います。ソフトバンクがヤフーBBでモデムを無料配布し一気にネットが広まったのが2003年くらいだったと思います。上記ウィキペディアの2001年には営業利益75億円でピークを迎えたがその後、業績低迷にとあります。ネットの普及と業績低迷し始めた時期がほぼ合っています。

 

久美子は勝久の用いた接客方法が「利用客の心理的な負担になり、客足を遠のかせる」と判断、「(一人でも)入りやすく、見やすい、気楽に入れる店作り」を目指し、店舗にカジュアルな雰囲気を施して積極的な接客を控える手法を取り入れ、10年以上減り続けてきた入店者数を増加に転じさせるなど業績改善に一定の効果をもたらした[8]。しかし、これが「自身の築いた経営路線の否定」と映った勝久は2014年7月、取締役会で業績不振を理由として久美子社長の解任を提案[8][9]、これが成立した。wiki

新築・リフォーム後の家具購入事情はこだわりの専門店に移行

ラーメン店主写真出典

当社で注文住宅を新築・リフォームした方の中で、家具にこだわりのある方は、ピンポイントの専門店で買っていることが多いです。例えば、前述したようなウェグナーを多く取りそろえる東京の小規模店舗だったり、栃木県内の中古北欧家具の専門店だったりします。

自分の好みが事前にネットで分かっているので、大塚家具のような大規模ショールームに行ったという話は聞いたことがありません。大塚家具を飲食店に例えると、和洋中何でもある大規模大衆店のデニーズ。対して中古北欧家具の専門店は、オヤジが1人で頑張って営業しているこだわりのラーメン屋か、ちっちゃなフレンチレストランという感じなのかもしれません。顧客心理としては、後者に親近感を持つ人も多そうです。私も後者を目指して営業中です。

そんじゃーね。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

この記事をシェアする
コメント