SH-house(宇都宮市), 高断熱高気密省エネ住宅.

外周基礎立ち上がりに施工された断熱材。床のコンクリート上にも全面断熱材を貼る。

 

宇都宮市の街中で建築中の延床面積24.5坪の小さなQ1.0住宅、SH-houseの基礎工事が完了しました。

 

このお宅では、暖房を床下エアコン1台でまかなうために、基礎断熱にしています。

 

栃木県でも、いまだ珍しい基礎断熱の基礎工事を、工程ごとに連続写真でご紹介します。

 

国が出している資料によると、関東地域では床断熱が80%で、基礎断熱の割合は20%にもなっていません。

 

SH-houseは長期優良住宅の認定を取得し耐震等級3にした上で、制震ダンパー「evoltz(エヴォルツ)」を設置し、断熱性と耐震性が極めて高い住宅になっています。

 

SH-houseでは構造見学会を予定しています。見学希望の方は、このブログの最後をご覧ください。

 

基礎断熱にした理由は2つ

SH-houseの暖冷房エネルギー計算結果。Q値1.19。

 

基礎断熱にした理由は2つです。

 

1つは床下エアコンにするため。

 

床下エアコンは、室温+2度くらいが床表面温度となるマイルドな暖房で、床の表面温度が高くなってしまう床暖房よりも快適性が高く省エネです。

 

具体的には、室温が20度の場合は22度くらいが床温度になるのでとても快適です。冬でも素足で歩けて、足裏がポカポカ暖かい感じです。

 

機械モノである暖房機はいずれ壊れますが、床暖房を交換するよりも床下に設置したエアコンを交換するほうが安く済みます。

 

エアコンは日本で一番使われている冷暖房技術のため、本体の値段が安めな上に、技術革新も早く省エネです。

 

このお宅の温熱シュミレーションデータ(上の表)説明はこちら。

Q1.0住宅SH-houseのQPEX(キューペックス)による温熱シュミレーションデータを説明します

 

実際に建っているQ1.0住宅と床下エアコンの快適性を書いたブログはこちら。

私が設計施工した断熱性能Q値1.35、C値1のお客さんのお宅に宿泊した感想と室内温度

 

Q1住宅(キューワン住宅)の無暖房状態での夜から朝にかけての外気温と室温の変化をカメラに収めた

 

また、床暖房だと無垢フローリングは使えず合板フローリングになりますが、床下エアコンは無垢フローリングが使えます。合板フローリングは見た目が安っぽいので、リフォームも含めて出来る限り採用しないようにしています。

 

無垢フローリングは合板フローリングよりも長持ちするという「耐久性」が高い上に、素足で歩いて気持ちの良い「快適性」でも上回ります。

 

無垢フローリングと合板フローリングの違いを分かりやすくブログにしました。

無垢フローリングと合板フローリングの違いとメリット・デメリットは、カットサンプルの断面から分かる

 

基礎断熱にした理由の2つ目は、床断熱よりも基礎断熱のほうが、気密性能を確保しやすいためです。

 

床断熱にする場合、床合板下の大引きか根太の間に断熱材を入れて、そこが断熱気密層になります。しかし、配管や配線が多数その断熱気密層を貫通するので、気密性が確保しにくいのです。

 

基礎断熱の場合は、土台と基礎の隙間に気密パッキンを施工してしまえば、基礎が気密層になるので、いくら床に配管しても関係ありません。

 

北海道だと床下の配管が凍ってしまうということで、基礎断熱が採用されていますが、関東地域では床下の配管が凍るということはないので、床下エアコンにするためと、気密性能が確保しやすいという2つの理由で基礎断熱にしているのだと思います。

基礎断熱のデメリット

基礎断熱はデメリットになる可能性もあります。メリットがあれば必ずデメリットがあります。

 

基礎断熱は床断熱よりも断熱材が地面近くに設置されるため、床断熱よりは白蟻の被害に合いやすいと思われること。これについては、白蟻が上がってきやすい配管の隙間を防蟻ウレタンウォーム等で塞いで対策しています。

 

床下の高さを高くして(基礎の立ち上がり高さを上げて)、床下で白蟻等の事態があった時のメンテナンス性を上げるということをしている方もいらっしゃるのですが、基礎高さを上げると建物の高さが高くなってしまいます。

 

当社は街中の狭小地で小さな家を建てることが多いのですが、その場合、道路斜線等の建物の高さを規制される法律にかかる場合が多く、基礎の立ち上がり高さを上げて、床下空間を高くするという方法は適していません。

 

このSH-houseも道路斜線ギリギリで、建物をこれ以上高くすることは出来ないので、基礎高さを上げて床下高さを確保するという方法は取れません。

 

何より建物の高さを上げると外観のバランスが悪くなる上に、基礎工事のコストも上がりますし、膝を折らないと歩けない床下にそんなに頻繁に入るのか?を考えると、基礎高さを上げて床下を高くするという方法は、当社には適していません。

 

関東地域での「基礎断熱」と「床断熱」の割合は2:8

 

国から出されている、住宅の省エネルギー設計・施工の実態を見ると、全国各地の断熱工法と断熱材料の実態が分かります。

 

関東地域では床断熱が80%、基礎断熱の割合は17%くらい。基礎断熱を施工したことがある会社が20%近くもあるというのが、多くて驚きでした。

 

そして床もしくは基礎の断熱材の種類は、8割近くが発砲プラスチック系です。

 

逆に外壁と屋根・天井の断熱材は、8割近くがグラスウールまたはロックウールという繊維系断熱材になっています。

 

まさに断熱材の種類は当社と同じ仕様です。一番コスパが高いので、この断熱材仕様にしている会社が多いのだと思います。

 

関東地域での外壁付加断熱(W断熱)は5%程度

上の表を見ると、関東地域での外壁付加断熱(W断熱)は5%程度です。

 

さらに付加断熱部分も厚さはピンキリだと思います。付加断熱部に厚さ105mm以上の繊維系断熱材を使っている会社は1~2%かもしれません

 

さて、Q1.0住宅の基礎内側断熱の基礎工事を、工程順に連続写真でご紹介します。

 

やり方

やり方と根切りが完了。

基礎工事の一番最初に行う作業が「やり方」です。

 

配置図に従い、木杭と貫(ヌキ)と呼ばれている木材を使って、基礎の配置と基礎の高さを出す作業です。地面と水平に設置されている木材の下端が基礎立ち上がりの高さ。

 

やり方で使われる木杭と貫は仮設物なので、基礎工事が完了すると撤去となります。

 

やり方は、基礎工事の職人が行うことが多いが、当社では20年程前まで基礎も自社施工していた為、現在でも自前で行っている。

 

根切り(ねぎり)

根切りとは、基礎を造るために地面を掘る工事のこと。建物には必ず基礎が必要です。

 

基礎は地盤の下につくるため、地面を掘らないと工事できません。

 

今回は、やり方をする前に擁壁業者に根切りもお願いして、やり方前に根切りを完了させておきました。

 

砕石敷及び転圧

根切りが完了すると、砕石を敷いて転圧し、強い地盤を造ります。

 

SH-houseの敷地は工事着工前の地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験)で、地耐力20KN/㎡以上を確認しており、基礎はベタ基礎となりました。杭等の地盤補強は必要ありませんでした。

 

土壌防蟻処理は天然青森ヒバ油、木部はホウ酸

砕石を転圧した後で、防蟻用のヒバ油を散布して、その上に防湿シートを敷いたところ。

 

砕石を転圧した後で、白蟻業者に来てもらい、砕石に防蟻効果のある天然青森ヒバ油を散布しました。

 

上棟後に木部は、ホウ酸(エコボロン)で防蟻処理します。木部だけホウ酸で防蟻処理すれば白蟻の保証は付くのだが、土壌こそ防蟻処理をやっておくべきだという白蟻業者の考えに同意して、土壌の防蟻処理もたっぷりヒバ油を使って行った。

 

ちなみにホウ酸は水溶性のため、土壌の防蟻処理には適さない。雨に濡れると効果が落ちてしまうためだ。

 

当社の施主は、化学物質過敏症気味の方も多いため、15年前から農薬系の防蟻材は使わないようにしている。特に住みながら行うリフォーム工事では防蟻材の選択に注意が必要である。

 

砕石にヒバ油を噴霧したあと、基礎業者が砕石上に防湿シートを敷いた。基礎下と砕石の間に防湿シートを敷くのは、土壌の湿気を基礎内部、しいては室内に上げないため。

 

防湿シートの下側に湿気が溜まっているのは、ヒバ油を充分に噴霧したからである。

 

捨てコンクリート及び基礎配筋

これが捨てコン。

砕石上に防湿シートを敷いた後は、外周の型枠を建てるために「捨てコンクリート(捨てコン)」を打設する。

 

捨てコンは、砕石を転圧した後に、基礎外周型枠の墨出しと、型枠及び鉄筋の受け台として設けるものである。捨てコンは通常3~5㎝程度の厚さで打設する。

 

基礎配筋写真は各所撮影しておく。

 

その後、基礎業者が作業場で造ってきた鉄筋を並べて緊結する。これが基礎配筋である。基礎業者による配筋工事が完了すると、コンクリートを打つ前に、設備業者が基礎に埋める排水管、給水及び給湯管等の配管をやりに来る。

 

この時に基礎立ち上がりのガス配管用スリーブ50パイと、床下エアコンにする場合は、VU65の塩ビパイプを基礎立ち上がりに設置しておく。

 

事前にスリーブを入れておかないと、完成後に基礎コンクリートに穴を空けることになり、せっかく配筋した鉄筋を切断することになるからだ。

 

基礎配筋検査と擁壁の話

基礎配筋が終わると配筋検査をする。

 

現場管理者及び設計者が基礎配筋検査をしたあとで、瑕疵保険会社の配筋検査を受ける。

 

配筋検査の内容は、鉄筋が所定の箇所に設置されているのかと、鉄筋と型枠にコンクリートが入る隙間があるかをチェックする。

 

保険会社の検査員は擁壁で苦労した人らしく、検査が終わった後、SH-houseに施工された擁壁について話しあった。

 

実際には表に出ていないが、脆弱な擁壁も多く、擁壁が傾いてしまい敷地の価値が無くなってしまう案件もかなりあるのではないか?とのこと。

 

家は建て替えられるが、擁壁は隣地や道路との境に設置されるので、一度設置されると、家も建ってしまうため、擁壁交換するのが極めて難しくなる。

 

家を建てるよりも擁壁を建てるほうが大切なのである。

 

擁壁についてはブログを書きました。

 

家を建てるよりも大切な擁壁の話

 

基礎スラブコンクリート打設と近隣対応

基礎スラブコンクリート打設風景。

 

自社と保険会社の配筋検査に合格すると、コンクリート打設です。

 

通常、ベタ基礎は捨てコンを除いて、3回に分けてコンクリートを打設するのが一般的。

 

1回目は「スラブコンクリート(床のコンクリート)」を打設します。

 

SH-houseでは、敷地内にコンクリートポンプ車を配置し、道路に生コン車を配置してコンクリート打設を行った。

 

街中の現場では、敷地や道路が狭いので、道路に生コン車やポンプ車を配置してコンクリート打設を行うことが多い。

 

現場管理者(現場監督)がやるべきことは、書類を作り警察に行って道路使用許可証をとること、また、道路を車両通行止めにするので、近隣の方に事前案内する。

 

近隣への案内は、工事内容と日時を書いたチラシを作製して、車両通行止めの影響が出そうな30軒ほどにポスティングした。

 

迂回できる道なので特別問題はないのだが、日ごろ作業音や工事車両で迷惑をかけているかもしれない近隣のお宅には、挨拶しておくべきである。

 

街中で工事するのと、敷地の広い郊外ではコンクリート打設前の準備が全く違うのだ。

 

よかったらこちらのブログもご覧ください。

リフォーム前の近隣挨拶の具体例。近隣挨拶文と手みあげも公開します。

 

基礎立ち上がりコンクリート打設

立上りの型枠が完了。外周立上りの内側に厚さ100mmの断熱材が入っている。

 

基礎スラブコンクリート打設が完了した後、コンクリートの上に型枠を建てるための墨出しを行い、型枠を建てこむ。

 

基礎外周立上りの内側には、押出法ポリスチレンフォーム、商品名はミラフォーム3種bを建てこんで立上りコンクリートを打設する。断熱材の厚さは100mm。

 

外周と直行する立上り面とスラブ上全面は、大工工事で押出法ポリスチレンフォームを貼る。

 

コンクリートを密実に打設するために、バイブレーターをかけてコンクリートを打設する。

 

基礎立ち上がりは、密実にコンクリートを打設するために、コンクリートにバイブレーターを入れて、振動させながらコンクリートを打設する。

 

打設した後に、セルフレベリング剤という自然と平らになる材料を基礎天端に流しこんで完了。

 

玄関内部と外部階段コンクリート

玄関内部の床下地にも、立上りと水平面に断熱材が入っている。

養生期間の後、立上り型枠を解体。玄関内部に再度断熱材を入れて、玄関外部の階段と共にコンクリート打設。立ち上がりしか断熱材を見えていないが、水平面にも断熱材を入れてからコンクリートを打っている。


基礎完成

基礎完成。

 

構造見学会を7月の終わりか8月初めに予定しています。見学希望の方には、こちらから日時をご連絡致します。下記お問い合わせからお申込みください。

 

お問い合わせはこちら

 

ユーザー評価の高い、このサーモスの高断熱タンブラーを買ってビールを飲んでいます。飲み口が薄くなっていて口触りも良いです。おススメ。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士

栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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