, 高断熱高気密省エネ住宅.

今日のブログは、これから注文住宅を建てる・リフォームする方へ、おススメ本を紹介します。

 

それは「住まいの基本を考える」という本です。

 

著者は建築家の堀部安嗣さん。

 

これから家を建てるには、

 

  1. なるべく小さな家にした方が良いこと
  2. しっかりとした高断熱・高気密住宅にすること
  3. 軒庇の出た家にすること
  4. 長期使用できる無垢の内外装材を使うこと

 

という4つのキーワードが重要なのですが、それぞれの効果や関連性も含めて、とても分かり易く書かれています。

 

また、設計した家の写真と平面図、施主インタビューも掲載されており、ページを行ったり来たりして、大切なことを理解しやすい構成になっています。

 

私も施主に対して、この本の文章を引用して説明しようと、たくさんの付箋を貼りました。

 

特に印象に残った部分を箇条書きにして、下にコメントを付けました。

 

何ページに載っているかも書きました。

 

本の帯に「情緒と機能性」とありますが、家を建てる上で大切なこの2つがとてもわかりやすく解説されています。

 

機能性とは、断熱性能など計算して数値化できるものと、住宅設備や間取りの便利さのこと。情緒とは、均整のとれた内外感デザインや、材料の質感を見たり触ったりした時の感動など、数値化できないもの。

 

その両方が大切だということです。

 

 

小さな家の魅力 P18~21


●これからの時代、一戸の住まいにおける住人の数は減少する方向にあります。時代の流れから考えても従来の住宅の大きさは見直さなければならない時期に入っているでしょう。

 

 

●家の建設はその家族が最大人数となる時期に計画されることが多いように思います。そんなときどうしても大きな家を建てたくなってしまうのは無理もない話ですが、しかしそれから家族は減ってゆきます。子供は独立し、親は亡くなり、そして夫婦もどちらかが先にいなくなります。

 

当社の施主を見ていると、70歳前後になると身体が動きにくくなり、家の片づけや清掃がしにくくなる方が多いようだ。

 

夫婦2人になった場合は、最大で延床面積30坪程度が管理できる広さだと思う。

 

広くなると片付けや清掃が難しくなるので、別に住んでいる家族やご親戚に、定期的に片づけや清掃を依頼している方もいらっしゃる。

 

家族同士でも、掃除や片付けは「いつも無料で」というわけにはいかないから、家の広さはコストになるし、少子高齢化が進むと「広い家の、庭も含めた様々な管理について」が家族同士の諍い(いさかい)の原因になる可能性もある。

 

●従来の日本の家は断熱性能が低いため、冬暖かく夏涼しい部屋は少なく、結局は快適なスペースは冷暖房がゆきわたる小さい範囲に限定され、そこだけで生活している状況を目にすることも多かったのです。つまりせっかく大きな家を建てても(中略)実質的に小さな家になってしまうのです。

 

これは現在建てられているほとんどの住宅が寒い家なので、あるある話。

 

無駄に大きな家のデメリットと小さな家のメリットは私も以前ブログに書いていました。

 

小さな家で大きく暮らす具体的方法

 

●(断熱)性能が悪い家や大き過ぎる家は、その家を次世代が引き継ぎたいという気持ちにはなれず、このことがいま、空き家問題の原因の1つになっているように思います。

 

寒くて大きすぎる家は不快で健康を害する可能性も高くなる上に、メンテナンスコストも余計にかかるから、誰も欲しくないという当たり前の話だが、ネットが発達して、やっとこの価値観が普及しつつある。

 

現在建っている家で、断熱性能が良くて大きな家は少ないが、そのような家でも、次世代に引き継ぐのは大変である。というのも、通常、建築費用は面積×単価で出されるため、大きな家の場合は性能に関係なくメンテコストは高めになるし大きな家は庭も広いことが多いので、庭の管理も手間が掛るからだ。

 

●そう考えると住宅は数人で暮らしても窮屈でなく、1人になっても寂しくない、そんな大きさがちょうどいいのではないでしょうか?

 

●具体的な数値にあらわすと、延べ床面積で百平米前後が1つの基本単位になるのではないかと私は経験上考えます。

 

百平米は≒30坪。4人で暮らすにしてもこれくらいまでの広さが良いと思う。最終的には1人くらしになるので30坪は広すぎるし、ご夫婦2人でも30坪は広めである。

 

本当は、4人家族でも新築時に26~28坪くらいまでに納まると良いと思う。

 

●住宅を小さくつくるとさまざまな利点が生まれます。当然ながらランニングコストのみならずイニシャルコストも抑えられます。(中略)軒庇もしっかり出せるようになります。この軒庇というのは特に木造住宅において必須といえるもので、これがあることで住宅の性能も雰囲気も格段によくなります。

 

●(軒庇をしっかり出せると)外壁は雨に当たらないため汚れにくくなり、夏の日射を防ぎ、雨の日でも窓を開けることができます。また、建物に陰翳が生まれるので景観にも寄与するでしょう。

 

軒庇がしっかり出せると、雨が外壁に当たりにくくなるので、外壁の経年劣化は少なくなる。

 

逆に、外観が真四角に見える、屋根勾配と軒の出のない家は、屋根勾配が少ないので、屋根から雨水が排出しにくく屋根材が傷みやすいし、外壁に雨が掛かりやすいので外壁も傷みやすい。言われてみるとあたり前の話だが、住まい手で知っている人は少ない。プロでも真四角のスクエアな新築住宅を造ってしまう人は、外壁塗装等のリフォーム経験が無いか、少ない人だと思われる。

 

●(良いプランニングとは)まず、プランが単調でなく抑揚があることです。(中略)建築のプランにも狭いところ、広いところ、明るいところ、暗いところ、動きのあるところ、静かなところ、といった抑揚があることが重要なのです。

 

●次に動線計画が練れているかどうかが重要です。(中略)例えば家事の動線、子供の動線、客の動線等々、人のあらゆる心身の状態にしっかりと呼応する動線が織り込まれ、さらに一方通行でなく、ぐるっと回れるようなどうせんがあるとプランに躍動感と効率の良さが生まれます。

 

●動線計画がうまく練れていれば廊下は不要となり、小さな家でも広々と感じさせることができるようになります。

 

私の家づくりの考え方で小さな家や動線について書いています。よかったらご覧ください。

 

小さな家で大きく暮らす

 

パッシブな家の魅力(高断熱住宅の効果と小さな家との関係) P46~48

●機械の力(エアコン等の冷暖房機)の力を上手に利用して省エネを実現させながら、暑さ寒さによるストレスのない環境を手にいれるにはどうすればいいでしょう?

 

●まず断熱性能を高めることが不可欠で(中略)、気密が確保されてなければ、いくら断熱を高めても効果はないため、断熱と気密はセットで考えなければならない。

 

●「断熱」「気密」というと、どこか息苦しく感じたり、自然や気候風土を遮断しているようなイメージを抱いている方もいますが、それは言葉の独り歩きからくるまったくの誤解です。

 

●断熱気密性能を建物の「保温力」と捉えてみてください。冬は太陽の熱を効率的に取り入れ、その暖かさをしっかり保つのです。

 

●気密はダウンジャケットのファスナーと捉えればわかりやすいでしょう。しっかりと閉めることができれば格段に保温力は上がります。

 

気密性をダウンジャケットのファスナーに置き換えて説明するのは、誰しも実体験があるからとても理解しやすい。断熱気密性能を「保温力」と表現するのもわかりやすい。「断熱性や気密性」よりも「保温力」のほうが普段の生活で使う単語だから。

 

●(断熱気密性能を高めて)夏は日射をしっかりと遮蔽することができれば、外気の影響を受けず、まるで土蔵の中に入ったときのような爽やかさを得られますし、冷房の効きも格段と上がります。こちらはクーラーボックスの「保冷力」をイメージすればわかりやすいですね。

 

●つまり的確な(断熱気密の)設計をすれば、季節のいいときには室内の環境を外部の環境と同じにすることができるし、真夏や真冬においては外部の気候の影響を受けにくくすることもできる。

 

●(断熱気密性能を高める)一番大きな効果は住まい手の身体が楽になるということだと思います。これは体感してみないと分からないことですが、冷え性や猫背や腰痛が治るなど、住まい手の健康に大きく貢献することが実証されています。

 

私も真冬に自分が造ったQ1.0住宅に一泊させてもらい、身体が楽なのに驚いた。真冬なのに薄い布団1枚だけで済むし、通常は夜中に2回起きるトイレももよおさず、朝までぐっすりと眠れたからだ。1泊で身体が楽になるのを実感した。

 

その様子はブログに書きましたので、よかったらご覧ください。

 

私が設計施工した断熱性能Q値1.35、C値1のお客さんのお宅に宿泊した感想と室内温度

 

●家全体の室温にムラがなくなるため(中略)四季を通じて家中の稼働率が上がり、面積の小さな家でも広く使うことができるようになります。

 

小さな家と高断熱・高気密住宅の相性が良い最大の理由が、小さな家でも室内を広く使えるようになることだ。

 

●冷暖房効率のために仕切らなければならなかったところを仕切る必要がなくなったり、吹き抜けをつくっても寒くなくなったり、北側にリビングや寝室といった居室を配置できるようになったりと、プランの自由度も増えます。

 

平面プランの自由度が上がり、吹き抜けのような大きな空間をつくっても寒くないのが高断熱・高気密住宅の利点。

 

高断熱・高気密住宅といっても、規格やキマリが無いので各社ピンキリである。宇都宮市で家を建てるなら、Q値にすると、1.35以下にするのが良いだろう。

 

暖かい家を建てるための依頼先の選択基準についてブログを書きました。

 

暖かい家を造るための依頼先の選択基準は、この3つ

 

●(高断熱高気密住宅にすると)各部屋に1台、一家に4~5台あったエアコンは半分以下になります。

高断熱住宅がウリの大手ハウスメーカーのバックヤード。エアコン多すぎ!

 

この写真は、高断熱・高気密を最大のウリにする大手ハウスメーカーの建物の写真である。普通は断熱性能と間取り(プラン)が良ければ、こんなに多くの台数のエアコンは要らないのだ。

 

●意外なのは断熱気密性能を高めると、より自然を身近に感じられるということです。例えば人は寒い環境にいると雪を見ても美しいとは感じにくいものですが、安心、安定した暖かい部屋の窓から雪を見れば、それを美しいと感じることができます。また気候風土を活かしたつくりであるため日々の天候や気温に対して敏感になり、季節の変化も以前より楽しむことができるようになります。

 

●家の断熱気密性能を高めると、より自然が身近に感じられる。その理由は、自分自身が寒い家に住んでいたら、気持ちの余裕もなくなるから。人は自分が安心・安定した暖かい部屋に居て、初めて外の雪が楽しめる。

 

「高断熱・高気密住宅にすると、より自然を身近に感じられる」という、この説明もわかりやすいので、施主と話す時に使うことにした。確かにQ1.0住宅等の超高性能住宅に住んでいる方のほうが、自然を楽しむ余裕はある。自分が寒い家に住んでいたら、外の雪景色なんで楽しめないのは、よく考えたら当たり前の話。自分が暖かい家に居ると、雪景色等の自然が楽しめるのだ。夏も同じ話。

 

高断熱・高気密住宅を知らない人の場合プロも含めてだが、「自然から一番遠いのが高断熱・高気密住宅だ」と「脊髄反射で感じてしまいがち」だからだ。

 

本当の財産とは P48

●国産の無垢の木に触れられる生活は、そこで暮らす人の心身に驚くほどの効能を長い時間にわたってもたらします。国産材の代表格は杉ですが、(中略)私たちと同じ水を飲み、同じ空気を吸って成長した木であるので、皮膚感覚や温度も共通しており、日本人にとって肌触りが良く馴染みやすいのです。

 

●(この国産無垢材の)効能と感触を経験せずして死んでゆくのは、白いご飯の味を知らずに死んでゆくことと同じような勿体ないこと

 

●なぜこのような性能が高くかつ誰もが入手しやすいものがベーシックな材料にならないかといえば、割れる、反る、傷が付くといった杉の無垢材がもつ欠点をおおらかに許容できず、クレーム回避をしてゆく体質が家をつくる人たちにあるからです。

 

住宅の寿命 P94~95

●外装の中で、日本の気候風土において最も重要な役割を果たすのが屋根です。瓦にすればほぼ「一生もの」の。瓦は地震に弱いなどといった風評被害を受けるようになりました。(しかし)現代的に改良された施工をすれば瓦がおちることはほとんどないのです。

 

●屋根の軒庇をしっかりと出せば、外壁は情感のある木の板や左官材で仕上げることが可能らなります。軒の出寸法により、外壁のメンテナンスや更新の頻度は変わってきます。

 

●ふたたび瓦屋根、自然素材の外壁材(例えば木の板)がベーシックな外装になれば、(地域の)景観がガラッと変わり、誇りのもてる日本の風景が戻ってくるのではないかと思っているのですが・・・。

 

瓦屋根(和瓦屋根)と木の板の外壁材は、普遍的で日本の景色に合い、長く使える材料である。実物の建物が証明している。

 

将来リフォーム貧乏にならないためには、新築時に杉板外壁材を採用するのがマスト

 

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士

栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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