YM-house(下野市).

10年経って味わいを増した外観。米杉貼り+しらすそとん壁。玄関ドアも造ってました。

3/9(土)、下野市のYM-houseに完成引き渡し後10年の点検に行ってきました。

 

10年点検は、直接お客さんに「10年間の住み心地や使い勝手」を聞けるので、その後の設計と施工の参考になります。

 

10年点検をどのように行っているのか見てみましょう。

 

フローリングの色が薄いのは新築時の写真です。

 

10年点検は「施主に10年間の使い勝手や住み心地を聞く機会」という意味合いが大きい

点検の際には、お客さんと一緒に建物の内外を見て廻ります。

 

一緒に、10年経った建物の不具合や耐久性の確認しながら「10年間の使い勝手や住み心地」も聞けるので、その後の設計や施工の際の建材選択にも役立つからです。

 

建物引き渡し後の、半年点検や1年点検、もしくはその後のメンテナンスで不具合は解消されていることが多いので、10年点検は「施主に10年間の使い勝手や住み心地を聞く機会」という意味合いが大きいです。

 

また、今後の建物メンテナンスの予定をザックリと話し合う場でもあります。

 

具体的な今後の建物メンテナンスの予定とは、外装のメンテナンスと床下の防蟻処理です。

 

10年点検時のチェック項目、収納は使いやすいか?

1階の玄関近くに設けた4.5帖のウォークインクロゼット。

10年点検の際には、収納扉も開けさせてもらい、収納内がどのように使われているかも見せてもらいます。

 

収納や家具がどのように使われているのかが分かると、今後の設計の参考になります。

 

収納が適切に配置され、広さと内部の棚も使いやすくないと、室内が片付きにくくなります。

 

値段の安い住宅をよく見てください。収納や家具が少なくて、がらんとしていることが多いはずです。

 

収納が多くなるとドアやドア枠が増えてお金が掛かりますし、家具を造り付けるとお金が掛かるので、値段の安い住宅は極力ドアと家具を省略します。ですから、室内に見えるのは壁が多く、ドアや収納は少なくみえるのです。もちろん、収納と造り付け家具がないと、室内が片付きません。

 

このように値段の安い住宅は、室内の「インテリアの密度」が低い等、必ず理由があるので、よく観察してから決断することが大切なのです。

 

逆に質の高い住宅は、室内の使いやすい場所に適切な収納や造り付け家具が配置されて、収納が多く「片付く室内」が実現されています。

 

YMさんのお宅は、1階の玄関近くに4.5帖のウォークインクローゼット(WIC)を設けました。新築時には、家から戻った後に、そのWICで洋服を脱いで、普段着に着替えて、出勤するときは逆に使うという計画でした。

 

今回、10年間のWICの使用方法を聞いたところ、計画どおりに使っているということでした。うれしいことです。

 

オーダーキッチン(造作キッチン)にして良かった

キッチン背面の天板も奥行のあるステンレスとして使いやすい。丸いダイニングテーブルと椅子はウェグナー。

YMさんは、オーダーキッチンにすることを強く希望されました。理由はインテリアに違和感なく馴染むような既製品のキッチンが無かったことと、シンク下をゴミ箱にしたかったからです。

当社ショールームのオーダーキッチンを参考にして、キッチンを設計しました。

シンク下のゴミ箱。既製品のキッチンではこのレイアウトが無い。レンジフードも掃除しやすいとのこと。

未だに、既製品のキッチンでは、この2つを実現出来ているものはありません。

今回の10年点検で、オーダーキッチンにして良かったかを聞いたところ、「オーダーキッチンにして使いやすく、本当に良かった」とのことでした。

 

家事導線にこだわった間取りのポイント

キッチン脇の引き戸を開けると、水廻りが一直線になっている。

このお宅は、家事導線にこだわって設計しました。間取りのポイントを見てみましょう。施主に聞いたところ、この家事導線もとても使いやすいとのこと。良かったです。

 

キッチン脇の引き戸を開けると、ユーティリティ兼物干し。壁はキッチンパネル。室内物干しを4本にしておけば良かったとのこと。

 

働きのため、簡潔に家事が処理できる動線とユーティリティが求められました。このお宅の場合のユーティリティは、アイロンを掛けたり、運動靴を洗ったり、室内物干しをする場所のこと。

 

1.玄関ホール側の「表動線」に対して、「裏動線」はキッチン→ユーティリティ→洗面所→お風呂と一直線になっている。「表動線」と「裏動線」階段によって明確に分離されると共に、階段を中心とした回遊性のあるプランになっている。

 

2.回遊性のあるプランは行き止まりがないため、1階部分をグルっと1周すれば掃除が完了する。

 

3.WICから掃除機を出して、洗面所→ユーティリティ→キッチン→リビング→玄関ホール→WICと、戻ることなく1周廻って掃除をすれば清掃完了である。

 

4.戻る必要のない掃除方法は合理的だし、掃除も楽しくなるかもしれない。

 

5.また、洗濯物もキッチン隣のユーティリティに干せるようにして家事動線を短縮しています。それぞれの水廻りは家事を行う場所なので、関係性も計画すると家事が楽になります。

 

6.階段も2つある為、上下方向にも回遊可能。行き止まりの無いプランは広がりを感じます。

一直線に伸びた家事導線を反対方向から見る。洗面台の理科実験流し用ボウルも、大きく深くて使いやすいとのこと。

失敗したのは、室内天井物干しを3本にしたこと

失敗したのは上記写真のユーティリティの天井物干しを3本にしたことだそうです。3本では足りないので4本欲しかったとのこと。またユーティリティの水栓は、洗面台のように、お湯も出る混合水栓にしておけば、冬でもより有効に使えて良かったとのことです。

 

自然素材や造作家具は10年経つと「味わい」が増す、対して既製品の建材の家はどうなるのか?

無垢材の笠木やドア枠の色が濃くなって落ち着きを増した室内。

室内は無垢フローリングに造作家具、造作建具で仕上げました。新築時よりも「味わい」が増して、良い雰囲気になっています。

 

そのような素敵な経年変化(経年美化)が体感できるので、10年点検は、室内は無垢フローリングと造作家具、造作建具にすべきだということを再確認する瞬間でもあります。

 

逆に最近、リフォーム工事では、大手ハウスメーカーで新築されたお客さんから、無垢フローリングへ張り替えるリフォームの依頼が増えています。お宅にお邪魔すると、フローリングもその下地も、まだしっかりとしています。

 

しかし、カラーフロアの「経年した際の味気無さ」から、無垢フローリングを貼りたいという要望があるのです。

 

また、窓枠やドア枠も木目の塩ビシートの貼ってある新建材(既製品の建材)ですから、木目シートが結露等で変形して「しわ」がよったり、傷がついてそこからシートが剥がれたりして、安っぽさに拍車が掛かっていることが多いです。

 

「ホントはフローリングだけでは無くて、ドアまで造作建具に変えたいんだけど」という要望も出てきますから、新築時には家を小さくしても、断熱仕様と共に内外装の仕様も上げておきましょう。

 

新築時の断熱性の低さから、無垢フローリングへの貼り替えと共に、内窓設置もセットで要望されることが多いので、それが必要ないように、新築時に断熱性能はQ1.0住宅くらいに上げておくと良いでしょう。

 

しらすそとん壁の10年後の経年変化

新築時の外観。一番上の写真と比べると板貼り外壁の経年変化が分かる。

このお宅の外壁材は、しらすそとん壁という、左官の塗り壁外壁材です。多少の汚れはありますが、目立ったものはありませんでした。

 

ただし、左官外壁材のため、地震等によるヘアークラックは何か所かありました。

 

このしらすそとん壁、どのようなメンテナンスをすべきか、検討する必要があると思いました。

 

置き家具が上質だと10年経っても室内が素敵に見える

ウェグナーの裁縫机。パインフローリングも色が濃くなった。

YM-houseの置き家具は、北欧家具のウェグナーのものが多いです。この裁縫テーブルはビンテージだそうですが、味が出て、とても素敵でした。

 

置き家具が良いと、室内が素敵に見えます。

 

断熱性能と暖房と住み心地

YM-houseの熱損失係数Q値は2.38w/㎡Kでした。ざっくりした断熱仕様は、壁・床・天井が羊毛断熱材105mmの充填、窓は樹脂サッシペアガラス。気密性能はシート気密で確保しました。

 

暖房は薪ストーブ。今の当社は付加断熱が標準のQ1.0住宅なので、それに比べると断熱性能は劣ります。

 

ただし、冬場にも何度か伺っているのですが、薪ストーブ上の吹抜けを介して、1階も2階も開放的な間取りになっているので、トイレをお借りしても温度差を強く感じたことはありません。

 

無料で薪を大量に確保しており、暖房は薪ストーブのみなので、暖房費は掛かっていません。ただし、薪にする時間と労力がないと、できない方法だと思いました。

 

白蟻の発生もなし

10年点検は特に問題なし。YM-houseの10年点検は、特に問題はありませんでした。大量にストックされた薪も、地面に直接置かないようにしていること。外壁から薪までの「離れ」をとることで、基礎外周からの白蟻の侵入を予防しています。

 

木材を地面に直接置くと、白蟻が発生することが多いです。また段ボールの大好物。ですから、建物周囲に木材を含めてモノを置かないことが重要なのです。

 

白蟻は明るいところからは侵入しません。暗いところから侵入するので、外壁や基礎にモノが立てかけられていると、その裏側から白蟻に侵入されることがあります。また家の外壁廻りにモノが多いの良くないのです。

 

当社では10年点検の際、白蟻業者にも同行してもらい、床下に白蟻が出ていないかのチェックもするようにしています。床下をくまなくチェックしてもらいました。

 

エアコンのフィルター掃除をできない人は換気システムの掃除もできない

お邪魔すると、換気システムの掃除をしていないお宅は、室内に生活臭があるので分かります。

 

YMさんは定期的に換気システムの清掃をしてくれていました。このお宅は第3種換気システムです。

 

エアコンのフィルター掃除をできない人は換気システムの掃除もやっていないことが多いです。

 

今後、日本は少子高齢化が進むので、メンテナンスしにくい換気システムや暖房は避ける必要があると思います。

 

私も有料で年に1回、高齢の方のお宅に換気システムの清掃と室内外のチェックにお邪魔していますが、高齢になると壁付けの換気システムさえメンテナンスするのは、難しくなる場合もあると思うので、メンテナンスが少なく、シンプルにできる方法を考えなくてはいけません。

 

YM-houseは住宅雑誌に掲載予定

 

リクルートの住宅誌『HOUSING by suumo』4月発売号の間取り特集、「毎日【Fantastic】な間取りアイデア(仮)」に、回遊性のあるプランで、家事と掃除がスムーズな家ということで取材を受け、掲載予定です。

 

掲載されたらブログに書きます。

 

まとめ

自分の建てた住宅の10年後の姿も見るのは、とても懐かしい気持ちになります。あの時、「こうやって造ったな」とか「ここは苦労したな」とか思い出が蘇るからです。

 

YMさんのお宅では、最近お子さんが生まれて3人暮らしになっていました。そのようなご家族の変化が分かることも趣深いです。

 

YM-houseの新築時のお客様の声はこちら

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士

栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

  1. ヤンさん

    今回も大変参考になる話でした。大変参考になりました。
    我が家は、某Mハウスメーカーでの一応注文住宅。1Fは無垢材フローリングにしましたが、中々味わい深くて良かったです。しかし、築3年も過ぎると、どうやって手入れをしたら良いのか?都度、水拭き後即から拭きしていますが、表面は結構汚れがあるようです。(よく見えていないのかもしれません)また、物を落として出来る凹み・傷も無数出てしまっています。
    無垢材の手入れは難しいとから拭きが基本とありますし、補修剤もあるようですが、油や身体からの皮脂汚れなど、傷凹みなど効果的に、出来れば楽に(年金生活者でも可能な)出来る方法があれば、是非ご教授ください。

    返信
    • yoshidacraft

      質問ありがとうございます。体調どうですか?

      ■ヤンさんのお宅の無垢フローリングに新築時に浸透性の塗料が塗られている場合の話です。

      当社では、最近は無垢フーリングや無垢の窓枠、ドア枠や室内のドアの木部には、オスモの商品を使うことか多いです。
      https://osmo-edel.jp/product/osmocolor/

      床の汚れは、硬く絞った雑巾で水拭きて汚れを落として、乾燥したあとに、オスモフロアークリアーエクスプレスような浸透性の塗料を塗ります。このフロアーエクスプレスは乾きが早いので、1日に2回塗れます。
      https://osmo-edel.jp/osmocolor_lineup/category/flooring/

      水拭きの際には、オスモウォッシュアンドケアを使うと良いかもしれません。
      https://osmo-edel.jp/osmocolor_lineup/osmowashandcare/

      頑固な汚れには、オスモワックスアンドクリーナーが良いと思います。
      https://osmo-edel.jp/osmocolor_lineup/osmowaxandcleaner/
      上記のオスモワックスアンドクリーナーのページには、「小さなキズや頑固な汚れはオスモポリッシングパッドにワックスアンドクリーナーをつけて軽くこすると落とせます」とあるので参考にしてください。

      当社にも無垢フローリングを貼っているのですが、傷や汚れも味だと考えていることと、面倒だということもあり、何もやっていないのが現状ですw。
      http://yoshidacraft.net/spec/interior/

      ■ヤンさんのお宅の無垢フローリングに新築時にウレタン塗装がしている場合。

      ウレタンの塗膜の寿命は通常20年程です。

      ウレタン塗装のフローリングのメンテはしたことが無いのですが、日ごろのメンテナンスは、上記のオスモウォッシュアンドケアか、オスモワックスアンドクリーナーが良いのかもしれません。

      オスモやその他の塗料メーカーに、「無垢材にウレタン塗装がしてある場合のメンテナンス方法」を問い合わせしてください。

      ウレタン塗装の寿命が来た場合は、表面のウレタンを機械で取って(かなり埃が出ます)、浸透性の塗料を塗ります。

      またウレタン塗装が良い場合は、表面のウレタンを機械で取って、ウレタン塗料を塗ります。

      おススメは素人でも塗れて、メンテもしやすい浸透性塗料です。ウレタン塗装を現場塗りする場合は、プロでも仕上がり良くするのは難しいからです。

      返信
      • ヤンさん

        専門家ならではの詳細なご説明ありがとうございました。本当に参考になりました。
        無垢材の汚れも傷も味と感じてはいるものの、でも素人でも出来る簡便な方法とコスパの良い方法は、ネットでも中々検索できませんでしたので、実に助かります。
        子供・孫と一緒に、少し暖かく(今日くらいの気候でしょうか?)なったら、挑戦してみます。どちらの塗装をしている無垢材かは私は分からないので、ハウスメーカーのカスタマーセンターに聞いてみます。
        体調ですが、「ケンさんブログ」に昨日コメント書き込みしました。造影剤CTと心電図はいずれも順調で、リクシアナ離脱です。これは大変嬉しいです。二日目、既に歯磨き時の歯茎から出血は、かなり減りました。でも、午前中を中心に(一度目のカテアブの時と酷似していますが)期外収縮と思われる不整脈が長い時で2時間くらい(ずーとではありませんが)感じます。喉のつまりの不快感は嫌ですね~!仕方が無いと諦めていますが、5月の3ヶ月検診を待ちたいと思います。社長の方はアミオダロンの効果を感じてられていますか?私も5月まで50㍉に半減しましたが継続中です。

        返信
        • yoshidacraft

          フローリングの手入れ方法、参考になって良かったです。
          wo手術の2つの特典は、心臓で血栓が出来にくくなることと、リクシアナを飲まなくても良くなることですから。
          アミオダロンは効いてると思います。これで酒も減らせればよいのですが。
          来月は私の母親もWO手術受ける予定です。

          返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*