2018-03-24
建材・住宅設備・便利グッズ

太陽光発電を載せる家の条件と「屋根一体型太陽光パネル」のメリット

屋根一体型太陽光パネル。凹凸がなくスッキリしています。

 

3/22の午後は、金属屋根メーカー㈱カナメさんの那須工場に伺い、「屋根一体型太陽光パネル」カナメソーラールーフの説明を受けてきました。

 

今日のブログは、「屋根一体型太陽光パネル」のメリットと、太陽光パネルを載せる家の条件を書きます。

 

結論から言うと、「屋根一体型太陽光パネル」は、意匠性が高く漏水の可能性がより少ない優れた工法だと思いますが、太陽光パネルを載せるより先にお金を掛けるべきスペックとして、「断熱性の向上」と「長期使用できる仕上げ材の選択」があります。

 

建物の断熱性能G2レベルを確保し、内外装に長期使用できる仕上げ材を使った後で、予算的に余裕があれば、是非太陽光パネルを載せるという順番にすべきだと思います。

 

今後は電気料金が上がるので、断熱性能と仕上げ材のスペックを満たして、燃費と快適性の向上とメンテナンスコスト削減を達成していれば、是非行いたいのが太陽光パネルの設置です。

 

一般的な太陽光パネルの設置方法は、屋根に無数の穴を開けて設置している

一般的な太陽光パネルは、屋根表面に多数の穴を開けて設置する。

 

知らない方も多いと思いますが、一般的な太陽光パネル設置工法は、上記のように屋根材に多数の穴を開けて行います。

 

その実際の方法は、屋根材を葺いた後に太陽光パネル取付金具を屋根にビス留めして設置するので、5KWの太陽光パネルを設置する場合、取付金具を設置するために、屋根表面に500個のビス穴が開けられます。

 

屋根に開けられたビス穴は、シーリングという防水材で止水されますが、シーリングの上に直室雨水が通る工法です。

 

それに対して、「屋根一体型太陽光パネル」は、新築向けの太陽光パネルですが、1番のメリットは、雨漏りしずらい太陽光パネル設置工法であること。

 

下記のように、屋根下地の野地板にビス留めすることは一緒ですが、ビス留め箇所は雨水に触れない工法のため、より漏水対策に優れています。

 

カナメの屋根一体型太陽光パネルは、ビス留め箇所が雨水に触れず信頼性が高い。

 

 

「屋根一体型太陽光パネル」4つのメリット

「屋根一体型太陽光パネル」の4つメリットは、

 

1.太陽光パネルが金属屋根と一体化するので見た目がスッキリすること。太陽光パネルだけ浮き上がらず、屋根と一体化するので、意匠性が高い。

 

2.太陽光パネルが屋根材と一体化しているので、屋根板金工事と太陽光パネル設置が同時に出来て、施工が早いこと。

 

3.カナメさん自体が屋根材メーカーであり、雨仕舞に優れたノウハウを持っている。

 

4.そして一番のメリットは、上記したように、より雨漏りしずらい太陽光パネル設置工法であること。

 

屋根一体型パネルの納まりを見ましたが、経年劣化でビス穴から漏水する可能性は極めて低く、かつ太陽光パネル自体が、屋根材自体のカバーになっているので、屋根の経年劣化対策にも有効だと思いました。

 

また、かなりシンプルな設置方法になっているので、板金屋さんの仕事が減る可能性がありますが、従来の屋根に穴を開けてビス穴廻りをシールする施工法より、信頼性も高そうです。

 

太陽光パネル設置を考える前に、この断熱性能を満たすべき

太陽光パネルを設置して電気を作れたとしても、その建物の断熱性能が悪ければ、寒くて燃費の悪い、電気が垂れ流しの家ということになります。それは穴の開いたバケツに水を入れているのと一緒。

 

住宅会社は、「暖かい家」「高断熱高気密住宅」を謳って宣伝していますが、具体的な基準は無く「ピンキリ」なので、「断熱性能は設計前に数値で示してもらいましょう」

 

新築前に計画すべき断熱性能の目安は、栃木県宇都宮市だと断熱の地域区分は5地域なので、5地域のG2レベルであるQ値1.3(Ua値0.34)くらいが良いです。

 

断熱性能を上げると、快適性が高くなり、燃費も良くなります。Q値1.35の住宅で、夜暖房を止めた時の朝にかけての温度変化を書いたブログはこちら

Q1住宅(キューワン住宅)の無暖房状態での夜から朝にかけての外気温と室温の変化をカメラに収めた

ちなみに、この住宅は延床面積37坪。オール電化で年間の2016年12月から2017年11月までの年間の電気代が約17万円でした。月平均だと1.4万円。12月から3月までの4ヵ月間は暖房として床下エアコン1台を24時間運転し、7月から9月の3か月間は、冷房として吹き抜けのエアコンを24時間付けていた年間の電気代ですから、かなり低燃費だと思います。猫が居るのでエアコンを付けていましたが、室温を実測した結果、冬、夏共に、人が不在である昼間は、エアコンを止めてしまっても温度変化はさほどないので、より低燃費になると思います。

 

HEAT20のG2レベルの断熱性能だと、無暖房でも室温は15度。

上記のグラフのように、G2レベルにすることにより、就寝前に室温20度で暖房を切ったとしても、無暖房で朝はマイナス5度程度の15度になっていますから、身体が楽な上に燃費も良いのです。

出典 HEAT20

 

太陽光パネル設置を考える前に、この仕上げ材にすべき

また、内外装に長期使用できる仕上げ材を使うことが大切です。

 

太陽光パネルを載せたとしても、内外装の仕上げ材に、メンテナンス費用が掛かりすぎる仕上げ材を使ってしまうと、高額なメンテナンス費用も掛かる上に、ありきたりな雰囲気の残念な内外観になります。

 

例えば値段が安いからと言って、外壁材に木造住宅の8割が使っている窯業系サイディングを使うと、15年程度に1度は繰り返し外壁塗装が必要になりますから、メンテナンス費用が高額になるので、避けたほうが良いでしょう。

 

新築時の外壁材に窯業系サイディングを使わないほうが良い理由

 

また、インテリアも建材メーカーの大量生産部材を使ってしまうと、必ず訪れる廃盤以降は、壊れても交換が効かなくなりますから、既製品のドアを使うのでなく、造作建具として、地域の職人が造り修理できる仕様にすると、長持ちするのは当然の事と言えます。

 

【会話】建具職人が造った造作ドアは、時を経ても別の建具職人が修理出来る!しかし既成品ドア (既製品建具)は古くなると修理が効かない可能性が高い!という職人との会話

 

ですから、太陽光パネルを設置する前に、「G2レベルの断熱性能」と「長期使用できる仕上げ材を使う」ことが大切です。太陽光パネルの設置は、この2つのスペックを満たした上で、余裕があれば行うのが良いのです。というか、これから電気料金は上がるので、2つのスペックを満たしたならば、是非太陽光パネルを付けるべきだと思います。

 

今日のわかった

太陽光パネルと屋根材の雨仕舞もシンプルで信頼性が高い。

㈱カナメさんの「屋根一体型太陽光パネル」の「漏水のしにくさ」と「すっきりした意匠性」と「施工が簡単なこと」は素晴らしいと思いました。

 

ただし、太陽光パネルを設置する前に、「G2レベルの断熱性能」と「長期使用できる仕上げ材を使う」ことが大切です。

 

太陽光パネルの設置は、この2つのスペックを満たした上で行わないと、いくら発電しても穴の開いたバケツに水を流し込むことになってしまう。

 

これから電気料金は上がっていくので、2つのスペックを満たしたならば、是非太陽光パネルを付けるべきだと思います。

 

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孫の手が壊れたのでこれを買いました。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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コメント
おまめ

こんばんは カナメより詳しい説明ありがとうございます。 我が家もカナメソーラールーフを明日施工します。 地味ですが、一体型とおなじようなのに固定資産税がかからないのは良いですよね。 太陽光全般ですが、欠点はパネルが黒いので、屋根材の色もあわせて黒くしないと目立つとこですかね。

2018年03月29日
yoshidacraft

そうですね。もちろん屋根材も色合わせしないとおかしいですね。

2018年03月31日