2017-11-29
メディア掲載実績
高断熱・高気密住宅

住宅雑誌「北関東の高断熱住宅」に掲載されている金言を咀嚼してピックアップ

北関東の高断熱住宅6号が発売になりました。

 

この雑誌は、Q1住宅(合理的な超高断熱省エネ住宅)で有名な新住協の関東支部の有志によって作られている住宅雑誌です。今号が最終号とのことで、初めて私も4ページにわたり出稿しました。

 

「北関東の高断熱住宅」はローソン、ファミリマート、ツタヤで販売

「北関東の高断熱住宅」は、関東4県(栃木群馬茨城埼玉)のコンビニ(セブンイレブンをのぞく)、ローソン、ファミリマート等で販売されています。ツタヤにも置いてあると思います。

 

内容は濃いのに、価格は280円とお買い得です。

 

どんなふうに内容が濃いのか、「北関東の高断熱住宅」第6号座談会の金言をピックアップしてご説明します。

 

「北関東の高断熱住宅」第6号座談会の金言ピックアップ

この本の注目は、巻頭の「座談会 つくる側からのホンネのアドバイス」。

 

座談会には、雑誌に毎回出稿していた新住協の関東支部の会員さんが出席しており、これから家づくりする人に非常に参考になる金言が満載です。

 

私は座談会には出席していませんが、特に読んでおいたほうが良い金言を、私なりに咀嚼してピックアップします。

 

■「国の断熱の基準を満たしています」と説明する住宅会社の家は、かなり寒い家になる可能性が高い。→国の断熱基準というとレベルが高そうに感じるが、実はレベルが低いので注意が必要。

 

■「いい家を建てようと一生懸命、高断熱住宅を勉強して、その住宅会社にたどり着いたはずなのに、結果は寒い家だった」→これ、結構あるあるです。冬暖かく、夏涼しい快適な家に住みたければ、設計時に温熱計算ソフトでQ値等を計算して、完成した住宅の「温度データ」を取っている会社ならほぼ間違いないです。なぜなら、室温が暖かいからこそ、データが取れるから。悪かったらデータが取れないし発表もできません。

 

■冬暖かく、夏涼しいOB宅を「体験訪問」させてくれる会社はお客さんとの信頼関係も、ちゃんとしている。

 

■「大手ハウスメーカーに依頼することで安心感を覚えてしまう人もいると思いますが、私たちは、大差ない費用で(実際は安い費用で)、その何倍もの断熱性能を出せます」

 

■暖かい家だと、床が冷たくないので冬でもスリッパが履きたくなくなる。

 

■断熱がしっかりすると、「床暖房」は全く不要。床暖房を薦める会社の断熱性能はあまり良くないことが多い。

 

■床暖房を使っている人が、床暖房は燃費が悪いなんて言ったりするが、それは床暖房が悪いのでなく住宅の断熱性能が悪い。

 

■関東は冬の日射が多いので、(冬の南面からの日射は暖房として使うべきで)、夏暑いからといって南面に遮熱ガラスを使うのは省エネの観点からも間違い。冬に日射取得できなくなってしまう。

 

■フランチャイズの高断熱住宅で、何々工法ですという売り方をしている工務店は、高断熱住宅の全体を知らない人なのではないかと思います。→私も断熱材メーカー系の何々工法の高断熱住宅を造っていた経験があるので非常によく分かる。その場合、特定の断熱材しか使えないので、高断熱住宅全体を見渡せない。

 

■燃えやすく、燃えたら危険な断熱材が急速に普及している。ロンドンの高層マンションで大惨事になった火災も断熱材の種類が原因の1つ。

 

■断熱材それぞれには、メリット・デメリットがあるので、それらを全部話した上で断熱材を薦める。

 

住宅同士の性能比較をするのは、同一の温熱計算ソフトで計算すれば良い。住宅の性能数値は住み心地に比例する。熱損失係数Q値等の数値が悪くて、実際の家の住み心地が良い家はない。Qpex等の温熱計算ソフト(断熱性能や冷暖房エネルギー消費量計算プラグラム)で性能を計算することが大切だと思います。

 

高断熱住宅の仕上げ材と坪単価

また座談会では、住宅価格(坪単価)の話もしていますが、断熱性能がほぼ同じである場合、仕上げ材の質、デザイン性が高いと坪単価は高くなり、ほぼ比例していると思います。

 

だから坪単価だけでなく、建物の総額とデザイン性と仕上げ材の質もよく考える必要がある。

 

デザイン性・仕上げ材の質・長期使用出来そうかも含めて、自分の生活や考え方に合っているのかを判断すべき。

 

どういうことかというと、新建材のドア等の既製品の価格の安めな内装建材と、窯業系サイディング等の価格の安めな外壁材の組み合わせを使っていると、当然坪単価は安めとなる。

 

ただしサイディングだと外壁塗装も10年~15年程度毎に1度必要になりメンテ費用が多めに掛かるし、外観デザインも凡庸になりがち。新建材ドアを使うと室内がローコストビルダーのようになる上に、部材が廃盤になった時点で修理は効かない可能性が高い。

 

対して、造作建具、造作家具等を使って室内を構成すると、既製品ではないので、ローコストビルダーっぽさは無く、普遍性が出て室内に違和感がないし、廃盤にならないので長く使える。

 

テレビボードや本棚等の家具も造作だと、住む人に合わせた使いやすい室内になり、かつ修理が効くので長く使えるのも共通だ。

 

外壁材も無垢板、ガルバリウム鋼板、そとん壁等の長期使用できる建材は、普遍的であり、廃盤になる可能性が少ないので長く使える。

 

ただし、新建材ドアと窯業系サイディングという組み合わせと比べて坪単価も高めとなる。手間が掛るかどうかを含めた仕上げ材の質と価格の高さは長期使用できることとも比例する。

 

私は、イニシャルコストが少し高くても普遍性があり、修理しながら長く住める家のほうが結果としてコスパも高いと考えるので、自分のページでは、住宅の普遍性と仕上げ材についてを書きました。

 

Q1住宅を建てたい方や、断熱リフォームにご興味ある方で、この本が欲しくて本屋やコンビニを探してもなければ、ご連絡ください。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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