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家づくりサイトsumikaのQ&Aに掲載されていた「杉の外壁について」を8/23にfacebookにシェアしたら、注文住宅建築のプロからたくさんのコメントが付きました。

 

建築材料として自然素材を使った場合、「経年美化」の本質は「経年変化(劣化)」を「味わいのある魅力的なもの」と捉えることにあります。

 

Q&Aとfacebookコメントを読んで、施主が自然素材である杉板外壁材の「経年変化」を、「経年美化」と捉えるか「経年劣化」と捉えるかで、住宅に対する満足度が180度違うものになることを再確認しました。

 

造り手側は、施主に対して適切な説明と共に経年変化した施工例の様子を見せて、十分理解してもらってから計画にはいることが大切ですし、施主さんも自身で理解を深めることも必要だと感じました。

 

なぜ施主さんは、木の外壁材の経年変化を理解しないで家を建ててしまったのか?

質問内容は、

 

「築7年の住宅について。自然素材にこだわり外壁に杉を使ったのですが、外壁材の塗装がはげ、特に雨の日は見た目がものすごくなってしまいます。この上から塗装をしなおした方が良いのか?自然素材ではないものに張替えた方が良いのか?塗装しなおしても結果また同じようになるのか?」

 

というもの。(ほぼ原文のまま)

 

質問文には、「杉板外壁材が考えていた経年変化と違う結果になった」というニュアンスがあることから、質問者さんは、経年変化した外壁材を見学せずに家を建ててしまった可能性があります。

 

もしくは見学はしたが、軒の出ている住宅だったので外壁が雨がかりになっておらず、経年変化が緩やかな状態のものを見たので、違いにびっくりしたのかもしれません。

 

または経年していない、新築に近い住宅の木製外壁材を見学したのかもしれません。

 

いずれにしても、施主さんは、木の外壁材の経年変化を理解しないで家を建たと考えられます。

 

木の外壁材は、雨が染みて黒っぽくなるのが普通なので心配する必要なし

事務所のレッドシダー外壁材、無塗装で10年経つ。雨がかりはシルバーグレー、雨が掛かりにくい部分は茶色のまま。

 

質問者さんは、「特に雨の日は見た目がものすごくなってしまいます」と雨の日の木製外壁材の色の変化を心配している。

 

軒の出が無い建物なので、外壁全体に雨が掛かり、外壁が真っ黒に見えるのが心配なのだと思います。

 

当社の木製外壁材も築10年で軒の出が無いため、雨が降ると一面真っ黒に変わります。木に水が染みこむと黒っぽく見えるのが普通なので心配する必要はありません。

 

ただしうちの娘2人は、上記の写真のように乾いてシルバーグレーと一部茶色になった木の外壁材を見て、汚いから貼り替えてほしいと言います。

 

特に雨の後は全体的に黒くなるので、何度も貼り替えて欲しいと言われています。

 

質問者さんの感じ方は、これに近いと思います。

 

建築やインテリアが好きな人は、雑誌やwebでこのような木の外壁材の経年変化を見ていますから、味わいがあって魅力的だと好む人も多いですが、建築やインテリアに興味のない人には、汚い板だと感じるのも理解できます。

 

※軒の出とは外壁から出っ張っている屋根部分を言います。軒の出がないと、外壁に雨が掛かりやすくなります。

 

そもそも木の外壁材の窯業系サイディングに対する優位点は何か?

 

事務所のレッドシダー外壁材

 

木の外壁材は、窯業系サイディングと違い基本的に廃盤になることがなく、劣化したら部分交換ができる外壁材なので、メンテナンスコストが安く済むことが優位点です。

 

この部分交換できるというのが大切で、わりと簡単に長期に渡って部分交換できるのは、木の外壁材以外は無いと思われます。材料は木なのでいつの時代でも手に入る更新性が優位点。

 

住宅の過半数を占める窯業系サイディングの場合、塗装リフォームができないほど傷んでしまうと、剥がして交換になりますが、その時には外壁材はほとんど廃盤になっており、部分的に貼り替えが効かないので、全面貼り替えとなります。

 

窯業系サイディングの場合、既存と違う材料で部分貼り替えすると「つぎはぎ」のようになってしまうので、傷んでいない部分もすべて解体処分して貼り替えになり、外壁貼り替え工事代金として、数百万円掛かります。施工経験済。

 

また、窯業系サイディングの場合は古くなると劣化したとしか感じられませんが、木の外壁材は経年すると「自然な味わいが出た」と感じる人も多いことが利点。

 

木の外壁材は少数派なので珍しく、希少であることも優位点だと思います。

 

杉板外壁材のメンテナンス質問に対する回答

 

sumika Q&A杉の外壁について

 

回答者は5人おり、ざっくり共通しているのは、

 

「シルバーグレーとなった杉板外壁材の経年変化は正常であり「いい味わい」であると思うが、そのシルバーグレーとなった変化が嫌であれば、浸透性の塗料を塗るという回答です。ただし、軒の出が無い建物なので、雨がかりになるから色落ちは早いだろうということ。」

 

私が質問されたとしたら、同じように浸透性塗料でメンテナンスして、様子をみてはどうかと回答すると思います。また、軒の出が無いことが外壁材の経年変化に影響していることもお話します。

 

facebookのコメントから杉板外壁材にする方に参考になるものをピックアップ

 

私、吉田武志のfacebook 8/23のコメントには、日本で一番多く杉板外壁材の住宅を手掛けていると思われる、オーガニックスタジオ新潟の相模さんをはじめとして、木の外壁材を手掛けているプロのコメントが集まりました。

 

見てみましょう。

 

オーガニックスタジオ新潟の相模さん、写真を見たところ、あと20年建っても、たいして問題は出ないのではないかというコメント。

 

 

大阪の一級建築士事務所 Eee works の日下さんのお施主さんは、早く写真のようなシルバーグレーになら無いかなと心待ちにされているとのこと。

 

 

名古屋のシンプルハウス平松さんと大阪の天野事務所天野さんは、軒の出が無いのは、外壁に色むらが出ないので、それもよいのではないかというコメント。

 

有名な西方先生のアトリエ。軒の出の無い杉板外壁材の建物で25年経っています

下記の写真は、西方先生のアトリエです。木の外壁材の耐久性の高さが分かる実例でもあり、軒の出が無い建物で25年経っています。

 

私は、西方先生のアトリエは見ていませんが、多くの住宅のプロが訪問してブログを書いており、杉板外壁材の経年変化にも言及、こんなに耐久性が高いのか!という声があります。

 

軒の出の無い建物でこんなに耐久性が高いのですから、軒を出して外壁の雨がかりを少なくすれば、もっと耐久性は高まると思います。

 

写真出典 西方設計 

 

秋田の西方先生のアトリエは、足元は多少傷んでいたという神奈川 富士ソーラーハウス 大澤さんのコメントもありましたが、

 

築25年で軒の出のない杉板外壁材の建物。芝屋根で黒ありの蟻道もあり、木材腐朽菌もいる過酷な状況で築25年。地面に近い部分の劣化も少ないようです。

 

外壁の土間に近い部分のメンテナンスは、水はねによる土壌腐朽菌の影響で先にダメになる。それを防止するのは防腐塗装。クレオトップがおススメとのこと。

※WLEはウッドロングエコのことです。

 

今日のわかった

 

施主が、自然素材である杉板外壁材の「経年変化」を「経年美化」と捉えるか「経年劣化」と捉えるかで、住宅に対する満足度が180度違うものになることを再確認しました。

 

造り手側は、施主に対して適切な説明と共に経年変化した施工例の様子を見せて、十分理解してもらってから計画にはいることが大切ですし、施主さんも自分で理解を深めることも必要だと感じました。

 

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吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士

栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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