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日本は戦後の人口激増の反動で、人口激減の時代に入りつつあります。

 

人口減・少子高齢化は、全ての産業に大きなマイナス要素です。

 

先進国のGDPは、生産性の向上というより人口の多さに比例するので、これ以上日本が貧しくならないためには、人口を増やすしかないということが、分かりやすい表と言葉で解説されている本である。

 

人口が増えるのは、日本の戦後に起きた自然増か移民の2種類だけであるが、日本の人口が自然増に転じるには何十年かかるか分からないし、島国の日本には移民を受け入れた歴史もない。

 

著者は、日本が観光大国となることが、効率よく人口を増やすことと同義だと説く。

 

日本に長期滞在し、大金を使う短期移民(海外からの観光客)が増えれば、日本経済が潤うので、人口が増えたと同じだからだ。

 

この本は、観光大国になることで日本がこれ以上貧乏にならないロジックが書かれた名著である。

 

私のいる注文住宅建築、リフォーム業も例外でなく、人口減・少子高齢化の影響をモロに受ける業種だ。日本が貧しくなれば、住宅建築にお金を掛けなくなるのは明らかである。

 

 

著者はデービッド・アトキンソン氏

写真出典

 

著者はデービッド・アトキンソン氏。

 

私情を入れず、どこまでも冷静に現状分析して対策を打とうとする。

 

氏は、元ゴールドマン・サックスの金融アナリストで、バブル崩壊後の日本の銀行に眠る巨額の不良債権を指摘。ほどなく不良債権問題が顕在化し、その名を高める。

 

現在は、日本の国宝や重要文化財などを補修している小西美術工藝社社長。

 

小西美術工藝社は、日光東照宮を造営した職人の起こした由緒ある会社であり、最近完了した東照宮の大規模補修も小西美術工藝社の仕事。

 

私なりに「デービッド・アトキンソン 新・観光立国論」を要約してみる。

 

観光立国の4条件は「気候」「自然」「文化」「食事」

観光立国の4条件は「気候」「自然」「文化」「食事」であり、フランスやスペインは4条件がそろっているので、観光大国になっている。

 

日本は、4条件がすべて揃っているにも関わらず、「顧客目線でサービスをして、お金を頂く」という発想が欠如しているので、国際観光収入は世界21位、アジアでも中国やタイに大きく水をあけられている。

 

日本は無料で観光案内を行うことが多いが、お金を頂くという発想にしないと、経済はうまく回らない。

 

星野リゾートの分析も、滝川クリステルの「お・も・て・な・し」も観光動機としては弱い

星野リゾートのホームページにある観光大国の3条件「国の知名度」「交通アクセス」「治安のよさ」や、日本の「おもてなし」である気配り、マナー、サービスなどは、上記4条件に比べれば観光動機としては弱い。

 

データを見ると「おもてなし」が素晴らしいという、外国人観光客の声があまりないのも実態だと、バッサリ。

 

観光立国への5つの具体的提案

1.ゴールデンウィークは廃止すべきである。「大量の日本人観光客を一時的にさばく」という供給者視点の効率の良さを追求しているが、ゴールデンウィークのみに日本人観光客が集中し、ほかの時期に来ないという点で設備投資を難しくさせている。

 

ゴールデンウィークは、観光客が飽きずに何度でも訪れたくなるような仕組みを構築できない原因になっている。

 

2.世界の富裕層にお金を落としてもらうためには、滞在日数を延ばすことが鍵だが、富裕層の宿泊するホテルがない。そういうホテルがないと、富裕層は他国に流れる。

 

3.なぜ成田―東京間に新幹線を走らせないのか。新幹線は海外でも有名なので、到着して直ぐに新幹線に乗ることでアピールになるし、移動時間も減らせる。

 

4.富士山はもっと外国人向けの観光資源になる。

 

5.なぜ観光地にもっと「ゴミ箱」を設置しないのか。ゴミがあると、お土産がカバンに入りきれないので、お土産の購入量が減る。

 

今日のわかった

GDPは人口に比例するので、これ以上日本が貧しくならないためには、人口を増やすしかない。

 

しかし、日本が人口増に転じるには何十年かかるか分からないし、島国の日本には、移民を受け入れることも向いていない。

 

残された道の1つが、観光大国となり、短期移民(海外からの観光客)を増やすこと。これが、効率よく人口を増やすことと同義だと説いている。

 

短期移民を増やす具体的方法が明記されており、とても論理的で分かりやすい本でした。

 

おススメ!

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士

栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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