建築いろいろ, 心房細動 カテーテルアブレーション.

猪股邸/設計吉田五十八(よしだいそや)の門扉。昭和42年に新築されているので築50年。私と一緒の年齢の住宅。樹木で道路から建物は見えない。

 

昨日は、東京の病院に行ってきました。10月までの2ヶ月に1度、心房細動が起こっていないか千歳烏山の病院まで検診に行くことになったので、診察後は東京の一般公開されている住宅を見に行くことにしました。ちなみに禁酒+運動効果が出たのか、体調はとても良く検査結果も良好です。

 

住宅見学、第一弾は、旧猪股邸(猪股庭園)/設計吉田五十八@世田谷区成城5丁目

 

京王線の千歳烏山駅から、猪股邸のある小田急線の成城学園まではバスで20分ほど。住宅街のクネクネした狭い路地を、電柱と歩行者スレスレにバスが進んで成城5丁目に着いた。乗客のほうが冷や冷やしてしまう。

 

門扉をくぐり敷地内に入っても、植栽で建物は見えにくい。

玄関引き込み戸。非常にシンプルな玄関。

玄関扉もシンプル

玄関扉の内側は障子

玄関扉と障子は壁の中に引き込まれる。窓も同じ。

成城に着くと一転、整備された広い道路、広い敷地の豪邸が並ぶ。旧猪股邸(猪股庭園)は(財)労務行政研究所の理事長を務めた故・猪股猛氏ご夫妻の住宅として建てられたものを、「一般財団法人 世田谷トラストまちづり」が管理している。

 

主屋は文化勲章受章者の建築家・吉田五十八(よしだいそや)の設計によるもので、外観、内観共に、スッキリとした意匠の近代数寄屋造りの平屋の住宅です。施工は水澤工務店。

 

窓と建具に設計施工の心血が注がれた住宅

リビングの引き込み窓。窓が壁の中に全て引き込まれて室内と庭が一体化する。戸袋ではなく全て壁を2重に設けてその間にサッシ等が納まる仕組み。

内観は、よくある和風住宅の柱や長押、天井の回り縁といった木の部材をできる限り取り除き、シンプルに見せることに設計施工の心血が注がれています。

 

庭から室内を見る

窓は既製品のサッシュは一切なく、全て造作です。窓を開け放つと庭と一体になるように、壁の中に窓一式が引き込まれるようになっていますし、室内の建具も引き戸は基本的に壁の中に入る引き込み戸です。家具も全て造作家具でシンプルに見せる工夫がされています。

 

木製窓には全て低く深い軒が掛かって、木製窓が雨で傷まない造りになっている。造作引き込み窓は、外側から雨戸、網戸、ガラス戸、障子。全て壁の中に引き込まれる。木製レールの幅が広い。

外観は、低い軒の瓦屋根が印象的ですが道路からは樹木で建物の形は分かりません。室内から庭を見た時に、シンプルな建物自体が額縁だとすると、広い庭は反対でシンプルではない。庭に面した一帯にスギゴケを植え、桜、アカマツやウメ、モミジをはじめとする多くの樹木が配されている。造作引き込み窓を設けて家と庭を一体化しているのに、家と庭の関係が遠い気がするのは、建物の床が高いことと、庭につながるコンクリートの幅が広いからだと感じた。

 

敷地面積は約1861㎡(562坪)、延床面積は371㎡(112坪)です。

 

ボランティアスタッフに案内してもらうのがおススメな住宅

あれっ!障子戸が外部にある。障子紙が濡れちゃう!

と思って障子戸を外したら、障子紙の外側にガラスが入っており、簡単にガラスが外せて、障子紙が濡れず交換もできる仕組みの窓でした。許可を頂いて建具を外しています。

案内して頂いたボランティアスタッフいわく、庭と室内の一体化、部屋と部屋との一体化が分かるように、冬でも夏でも窓や室内建具は全て開け放たれているので、冬は寒さとの戦いであり、夏は蚊との戦いであるとのことです。

 

造作の引き込み窓の現実的な魅力は、他の建物には無い意匠を他人が見て驚いてくれることにあるのかもしれません

床にも仕掛けがあり。

掘りごたつが出てきた。

側面の溝から細い木材が出てきて、斜めにセットされます。木の上にこたつを載せる仕組み。よくできている。

普通の住宅の窓は、アルミサッシや樹脂サッシ等の既製品のサッシなので、窓が壁の中に入るような仕組みになっていない。このように全て引き込める窓は珍しいので新鮮に感じますし、内部と外部が一体となる窓の意匠と論理も魅力的。ただし、自分が設計するかは微妙です。普通の住宅で、普段このように窓を全て開け放つのは、年に何度あるのか、よく考えなければならないし、造作窓はお金が掛かる上に気密性が悪くなりがちなので、冬は隙間風が入って寒いと想像できるからです。

 

経験したことのない意匠や自然と一体となるという論理の魅力に反比例して、この窓はとてもお金が掛かって寒いのがデメリットなのです。

 

造作の引き込み窓の現実的な魅力は、他の建物には無い意匠を他人が見て驚いてくれることにあるのかもしれません。

 

施主の猪股氏が創業した(財)労務行政研究所は、現存する人事関連の企業調査を主とした出版会社のようです。設立当初から手がけている専門誌『労政時報』は大手企業の大半にご利用いただいています。となっているので、その専門誌がヒット商品で、こんな豪邸が建てられたのかもしれません。

 

ハウスメーカーの既製品なんちゃって住宅とは対極にある、本物の材料を職人の手技で造り込んだ、シンプルでモダンな和風住宅です。この素晴らしい住宅が無料で見学できます。建築に興味のある方は是非見学をお勧めしたいと思います。

 

約2時間、ボランティアスタッフの方にマンツーマンでご案内頂いたので、案内頂かないと知りえない話や、建物の仕掛けがいろいろ分かって良かったです。

 

第二弾は、放浪記で有名な林芙美子記念館に行く予定。

 

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